前回でも少し触れましたがマイクロビットの開発環境が新しくなりました。ブロックエディタが新しくなり機能も向上しました。一番大きな変更点は小数計算ができるようになったことです。これによりセンサーからの入力値をもとにした計算値が、より正しく処理できます。また、生成されたHEXファイルを開いてプログラムを読み込むことができるようになりました。
新しいブロックエディタでは古いブロックエディタとは機能が異なる部分もあります。今回は新しいブロックエディタと旧ブロックエディタの違いを見ていきます。
なお、マイクロビットのサイトからプログラム環境に行くと新しいブロックエディタになります。古いブロックエディタを使う場合は以下のURLをブラウザのアドレスバーに入力してください。
古いブロックエディタを使う場合
https://makecode.microbit.org/v0/
プロジェクト画面
プロジェクト画面が新しくなりました。古いブロックエディタでは自分のプロジェクトや他のプロジェクトが別々になっていましたが、1つの画面にまとめて表示されるようになりました。
なお、古いブロックエディタで作ったプロジェクトは新しいプロジェクト画面には出てこないので注意してください。作ったプログラムのコードは一応互換性があるのでコピー&ペーストするか、バイナリファイルを読み込むことで引き継ぐことができます。ただし、一部の拡張ボードなどで機能拡張プログラムを使っているものはエラーで動作しないことがあります。(プロジェクト読み込み時にダイアログがでます)
初期画面
初期画面はほとんど変わっていません。「はじめましょう」のタブが無くなったのと、ブロックの形状が変わっている程度です。基本的な操作は同じです。
基本
基本のブロックはブロックの形状が若干変化したのと色が少し変わった程度で用意されているブロックは同じです。
入力
入力のブロックは「ボタンAが押されている」「端子P0がタッチされている」の2つのブロックの形状が大きく変わりました。他のブロックは形状が変わった程度です。
音楽
音楽のブロックはブロックの形状が若干変化した程度で用意されているブロックは同じです。
LED
LEDのブロックは「点灯かどうか調べる」のブロックの形状が大きく変わりました。また、新ブロックエディタでは「表示モードを設定する」というブロックが追加されています。これはLEDの輝度を白黒2値にするか、256段階のグレースケールにするかを決めるものです。
これ以外のブロックは形状が変わった程度です。
無線
無線のブロックは「受信したパケットの信号強度」「無線でイベントを送信する」という2つのブロックが追加されています。
これ以外のブロックは形状が変わった程度です。
ループ
ループのブロックは形状が変わった程度です。
論理
論理のブロックは形状が変わった程度です。
変数
変数のブロックは少し変更されました。古いブロックエディタでは、あらかじめ「変数」という名前の変数が用意されていました。名前からして紛らわしい面もありました。新しいブロックエディタでは変数を作成することで、定義した変数のブロックがブロックとして現れます。
計算
計算のブロックは「平方根」「小数点以下四捨五入」「数値をマップする」の3つのブロックが追加されています。
これ以外のブロックは形状が変わった程度です。
関数
関数のブロックは以前と変わりません。
配列
配列のブロックは2つのブロックの名前が変わっています。
「この値で配列を作成」→「変数「配列」を「この要素の配列(1)(2)(-)(+)」にする」
「この値で配列を作成" " " "」→「変数「text list」を「この要素の配列"a" "b" "c" (-)(+)」にする」
これ以外のブロックは形状が変わった程度です。
文字列
文字列のブロックはいくつかブロックの名前が変わっています。
「文字列の長さ"abc"」→「"Hello"の長さ」
「整数に変換する」→「数値に変換する」
これ以外のブロックは形状が変わった程度です。
ゲーム
ゲームのブロックは「set life」「add life」「remove life」の3つのブロックが追加されています。追加された3つのブロックにより体力が消耗するタイプのゲームも手軽に作れるようになりました。
これ以外のブロックは形状が変わった程度です。
画像
画像のブロックは形状が変わった程度です。
入出力端子
入出力端子のブロックは形状が変わった程度です。
シリアル通信
シリアル通信のブロックは形状が変わった程度です。
制御
制御のブロックは形状が変わった程度です。
パッケージを追加する
パッケージを追加するカテゴリは見た目はあまり変わりません。ただし、新しいバージョンでは古いモジュール(拡張機能)のライブラリは読み込めないことがあります。この場合、古いブロックエディタを使ってください。
HEXファイルを読み込む
新しいエディタでは生成されたHEXファイルを読み込んでプログラムを表示することができるようになりました。プログラムそのものがHEXファイルに内包されているので、HEXファイルだけあればよいことになります。ソースコードをなくしてもHEXファイルだけあれば、どうにかなるわけです。
それでは最後にHEXファイルを読み込む手順について説明します。HEXファイルの読み込みはプロジェクト画面から行います。プロジェクト画面の右側にある「読み込む」ボタンを押します。
するとファイルから読み込むかインターネットのGitHubなどから読み込むかを選択する画面になります。ここではローカルディスクに保存されているHEXファイルを読み込むので「ファイルを読み込む...」を押します。
Macの場合は「ファイルを選択」ボタン、Windowsの場合は「参照...」をクリックしてファイル選択ダイアログを表示します。
HEXファイルを選択します。
「つづける」ボタンを押します。
HEXファイルが読み込まれ、プログラムが表示されます。
モジュールの関係で古いブロックエディタを使わないと駄目な場合もありますが、小数値が扱えるようになったり、手軽に複雑な条件判断ができるようになるなど新しいブロックエディタには便利な面もあります。
お正月に新しくなったブロックエディタで何か作ってみるのもよいのではないでしょうか。
著者 古籏一浩
プログラミングをベースにして面白そうなものはとりあえずやってみるというスタンス。複雑なものよりシンプルで楽しめるものが好み。最近は30年前に移植したゲーム(mz-700版 SPACE HARRIER)の話などを書いたりしています。
著者サイト:http://www.openspc2.org/