前回、LifeTouch NOTEが内蔵するGPS(Global Positioning System)受信機の利用について簡単に触れた。実のところ、GPSによる位置情報は「プレイス」「天気とニュース」などのアプリケーションから利用するものであり、「測位できる環境」と「ネットに接続できる環境」の両輪が揃ってこそ、本領を発揮するのではないかと考えられる。

そこで最終回の今回は、そのGPS機能を実際に使ってみた結果としての考察、それと利用頻度が高い機能としてのWebブラウザ、そして最後に携帯デバイスでは必須となるセキュリティ関連機能について取り上げてみよう。

GPSとネット接続の両立という課題

いうまでもなく、GPSというのはNAVSTAR衛星からの電波を受けて測位するものだから、屋内では測位できないことが少なくないし、地下やトンネル内では測位不可能である。ところが困ったことに、無線LANを使ってインターネットに接続しようとすると、地下やトンネルとまではいかなくても、屋内に入らざるを得ないことが多い。

そこで、まず屋外で測位して現在位置の情報を把握した上で、その状態で屋内に持ち込んでネット接続する、というのが現実的な解決策ではないかと思われる。移動しながら利用するのでなければ、この方法でもなんとかなるだろう。もちろん、窓際や屋外に位置を占められて、かつ無線LANでインターネット接続できる場所があれば、その方が良いのだが。

無線LANを介してインターネット接続できて、かつ窓際でNAVSTAR衛星からの電波を受信できる場所で動作させてみた。バッチリである

そこで注意したいのが、GPSの測位にかかる時間だ。なにもLifeTouch NOTEに限らずGPS受信機というのはおしなべてそうだが、コールドスタート、つまり受信機を最初に起動して測位を始めるときには、位置決めまでに結構な時間がかかる。これはLifeTouch NOTEの問題ではなく、GPS自体の問題である。いったん測位して衛星の軌道歴に関する情報を取得できれば、その後の測位は迅速にできるのだが。

Webブラウザの使い勝手

地図やメールばかりでなく、やはりWebブラウザを利用する機会が多いだろう。単に情報の収集に利用するだけでなく、Webベースのアプリケーションを利用する機会も(特に法人用途では)多いと考えられるからだ。そこで登場するのが「ブラウザ」である。

「ブラウザ」では、リンクのフォーカス位置を示す赤枠が現れて、それをタップ、あるいはポインティングデバイスで移動できるようになっている。後者の場合、ポインティングデバイスを押し込むと「クリック」と同じになる(タップの場合には選択とクリックが同時に起きる)。

このほか、方向キーによる赤枠の移動も可能だが、ひとつのWebページの中に多数のリンクが含まれていると、赤枠があっちに行ったりこっちに行ったりして慌ただしい。むしろ、目的のリンクを直接タップする方が速い。ただしタップの場合には、画面が狭いので、指先でタップすると誤操作する可能性がある。画面サイズが小さめだから、なおのことだ。

そのことを考えると、Webブラウズには製品添付のペンを使う方が確実ではないかと思われる。本体が小型軽量なので、左手で本体を持って右手で指先、あるいはペンを使って画面を操作するわけで、ノートPCではちょっと難しい芸当である。これなら、電車の中で立ったままの状態でも操作できる。ただし、そういう場面でインターネット接続環境をどうするか、という問題があるが、スマートフォンのテザリングやモバイル・ルータの利用が現実的だろう。

このように、ハイパーリンクについては順番に赤枠が移動することでフォーカスを切り替える

セキュリティ機能とデータ管理の考え方

前回・今回といろいろ取り上げてきたように、LifeTouch NOTEは外に連れ出してこそ本領を発揮するデバイスといえる。もちろん、インターネットに接続できる環境の存在が前提だが。

ところが、そうなるときになるのはセキュリティである。特に、仕事で持ち歩くことになる法人モデルでは、必然的に秘密度が高い情報を扱う機会が増えるので、覗き見、あるいは盗難・紛失による情報漏洩には気を使うべきだ。

そこで、法人向けのLifeTouch NOTEでは以下のようなセキュリティ関連機能を揃えている。中には筆者の自宅の環境で試すことができないものも多いが、それが逆に「法人向け」を感じさせるところである。

・IEEE802.1X端末認証
・IPアドレスフィルタ(接続可能なIPアドレスを、事前に登録したものに限定する)
・パスワードロックとパスワードポリシー設定(安直なパスワードの禁止とロックアウト機能の実現)
・ローカルワイプ(パスワードの誤入力が、事前に指定した回数を超えると、内蔵データを消去)
・アプリケーションのインストール制限(インストールの可否、提供元不明のアプリケーションの阻止)
・ウィルス対策(McAfee社製McAfee Mobile Securityを用意)
・利用可能なデバイスの制限
・管理者パスワードの登録による設定変更の抑止と操作ログの記録

すでに、主なセキュリティ関連機能については「【連載】LifeTouchのセキュリティモデルを試す」の[第4回「強化されたセキュリティ機能」でも取り上げている。今回は既出の話は割愛して、パスワードロックの設定を試してみた。

これは早い話が、一定のアイドル時間が経過したり、あるいはスリープしたときに画面をロックして、事前に設定したパスワードを入力しなければ復帰できないようにする、おなじみの機能である。以下の画面例では、パスワードを5回続けて間違えたため、ロックアウトがかかり、30秒間は再試行できなくなる。

画面のパスワードロックを設定した状態で、スリープなどから復帰させると、こうなる

そこで「鍵」のアイコンをドラッグして復帰を指示すると、パスワード入力画面になる

入力を5回続けて間違えたところ、こうなった

さらに念を入れるのであれば、ローカルワイプ機能がある。これはデータ保全のために有用と思われるが、反面、入力ミスが原因で初期化されてしまう可能性もある。もともとクラウド環境とネットワークの存在を前提にしている製品でもあり、重要なデータをローカルに「だけ」保存しておくのは賢明ではなさそうだ。

そこで、社内ネットワーク上のクラウド環境、あるいはインターネット上のクラウド・サービスを利用して、データはネットワーク経由で取り出す運用を基本とする方が好ましいと思う。これなら、ローカルワイプなどによってLifeTouch NOTE自体が初期化されてしまっても、重要なデータは保全できるからだ。ただし、アカウント情報の保全がきちんとできていることが前提であろう。

なお、これもセキュリティに関わる問題だが、前述したGPS受信機の件が挙げられる。GPS受信機で測位が可能ということは、その位置情報が不必要に垂れ流される危険性にもつながるからだ。そこでセキュリティ機能の一環として、GPS受信機を無効化する設定が用意されているので、必要に応じて活用したい。

GPS受信機の機能は、既定値では有効だが無効化も可能だ。セキュリティ上の理由だけでなく、バッテリ寿命の面から止めたくなることもあるだろう