セミナーで初心者に投資のリスクを説明すると、いつも不安げな顔を目にします。いきなり金融の世界に迷い込んでいる訳ですから無理もありません。でも、講師を務める立場として、いつまでも見て見ぬふりはできません。

  • 損をしそうで怖いから投資に躊躇しているあなたへ/投資を行わない3大理由とは?

そんなことを思いながら、「損をしそうで怖いから」という理由で投資に躊躇している人へのメッセージを考えてみました。少しずつゆっくりと理解してもらいたいので、今回を含め3回に分けてご説明します。よろしくお付き合いください。

はじめに/投資を行わない3大理由

人生100年時代、現役世代の多くの人が投資による資産形成が必要だと感じています。一方、「そうは言っても投資にはなかなか踏み出せない」、そんな人も多いのではないでしょうか。なぜ、必要性を感じても投資をしないのか? 金融庁のアンケート調査※によれば、主な理由は「まとまった資金がないから」「投資の知識がないから」「投資は損をしそうで怖いから」の3つです。

これを私は「投資を行わない3大理由」と呼んでいますが、投資初心者向けセミナーでは、それぞれの理由に寄り添った説明を心がけています。例えば、少額からでも資産形成ができる制度として、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)やつみたてNISAを紹介します。また、初心者向け商品として、投資信託のしくみや特徴を解説します。さらに、

リスクとは損をすることではなく、値動きのブレだと説明し、リスクをコントロールする手法として、長期・積立・分散投資の有効性を語ります。

でも、リスクはなかなかうまく説明できないものです。

というのも、リスクとは値動きのブレだと説明しながらセミナー参加者の顔を見ていると、理解されていない様子がよくわかるからです。リスクを「損すること」だと考える人に、金融理論では「値動きのブレだ」と説明しても、理解してもらえないのは当然かも知れません。ですから今回はあえて「損すること」をリスクと考え、どのように説明すれば投資に踏み出せない人の背中を押してあげられるのか、じっくりと考えてみたいと思います。

次回は「損をしないためには、どうすればいいのか?」、これを一緒に考えていきます。乞うご期待ください。

※出所:金融庁「国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査(2016年2月)」