前回は、iPhoneからRSSをチェックするなど、iPhoneでの情報収集が中心テーマでした。今週は反対に、今流行のTwitterなど、iPhoneからの情報発信というテーマでいきたいと思います。

iPhone×Twitter

iPhoneは常にネットと連携して使えるので、情報を発信する携帯電話としても活用できますね。

佐々木 たとえばTwitterなどですね。堀さんは、Twitterをよく利用されていますが、Twitterで特によいところとは、どんなところだと感じていますか?

人によって楽しみ方はそれぞれだとは思いますが、私みたいに大量に情報を集めている人は、それを自分のフォロワーに紹介することによって、逆にフォロワーから追加の情報を受け取るなど、双方向に利用できることが、お互いにメリットを生み出しているので楽しいと思っています。ちなみに私はデスクトップではタイムラインをみるのにTweetDeck、つぶやくのにはTweetieを使っていて、iPhoneではもっぱらBirdfeedを使っています。

Tweetieのつぶやき入力画面。横書きの入力にも対応している

佐々木 私はiPhoneではTweetieを使っていて、デスクトップではもっぱらTweetDeckです。あまりいろいろと使いこなせる能力に恵まれていないみたいですね。(笑)

Tweet Deck for iPhone。PCのTweet Deckといろいろな連携ができる

iPhoneで手軽に音声情報発信

iPhoneからの情報発信という話になりますと、ネット全体に情報を流すのでない場合、Skypeのグループチャットを職場のチーム内で作っておくと、出先でもiPhoneのSkypeで話題にリアルタイムで参加できるので便利ですよね。

佐々木 メールよりかしこまらずに対応できるところが楽ですね。特にiPhoneだと短く済ませられるほうがいいですね。なぜこういうものを、もっと活用する人が増えないのか、少し不思議です。デジタルの連絡はメール、というのが定着してしまったからでしょうか。

メールはどうしても手間暇かけて書かなくてはいけないという印象がお互いありますので、Skypeみたいに選択肢を増やしておくことで近道がつくり出せるわけです。たとえば、文章をいちいち書くよりも音声で伝えたほうがいいような場合は、Twitterの音声版であるAudioBooなどが最近人気です。これだと現場の雰囲気を、iPhoneのマイクで直接拾って伝えられるので、欧米では簡単なオーディオブログや、インタビューに利用しているメディア業界の人もいます。インタビューの途中に、Twitter経由でフォロワーからフィードバックを受け取れるので、とても面白い試みだとおもいます。

佐々木 iPhoneほど高級なモバイルガジェットとなりますと、音声だろうと画像だろうと、わりと手軽にTwitterから送信したりもできるわけですね。FAXというもので苦しんでいたことを考えると、隔世の感があります。しかもPCから動画や音声をTwitterで送信するより、iPhoneからのほうがより容易にやれますね。iPhoneユーザーとTwitter利用者がかぶっているというのも、わかるような気がします。

僕もよく運転中にブログの下書きを音声でやったりします。独り言を言っていて危ない感じですけど(笑)。

佐々木 つまり、情報発信の下書きも、iPhoneである程度やってしまえるということですね。もちろん個人メモであれば、EVERNOTEを起動して、Voiceメモを録音することもできますしね。

iPhoneでのファイル共有

さらに、情報発信と言えば言葉や音はもちろん動画すらiPhoneで撮影できますが、一つ残っている問題があるとすれば、出先でつくったり、手に入れたファイルを、誰か職場の人に送る方法です。

佐々木 Dropboxではダメですか?

最近DropboxのiPhoneアプリケーションが登場しましたので、便利に使えると期待していたのですが、じつは現時点でiPhone上でファイルの閲覧をすることはできても、共有用のフォルダにファイルを移動するといった操作はできません。代わりにメールでファイル転送などができますが、大きなファイルになると不便です。  そこで、こうした制限のないMobile Me iDisk用のアプリケーションであるMobile Filesなどを使えば、出先でもファイルをすぐに共有することができます。まだまだ「これ!」という決め手を欠いている状態で、この方面では今後の開発に期待ですね。

佐々木 うーん、お話を聞く限りでは、Dropboxより面倒くさそうですね。この手のことは、やってみると説明されるほどは面倒ではないのが一般的だと思いますが。いずれにせよ、一般のファイルを共有フォルダなどにアップできるようになるのも、時間の問題でしょう。そう考えてみると、iPhoneから相当に広範なタイプの情報発信が、すでにできるわけですね。

対談後記(佐々木正悟)

iPhoneの大きな特徴と思えるのが、その高性能ぶりと、携帯電話並みの機動性です。今回の対談にあるような情報発信を、携帯電話からするのはあまりにも負荷がかかるか、あるいは不可能です。ネットブックを使えばできるでしょうが、大半のネットブックは、ポケットには入りませんし、起動ボタンを押してから実際に使えるようになるのもiPhoneの方が早い。情報発信のための衝動と、情報発信する内容を記憶しておくことが短くて済む点で、iPhoneからの情報発信には、かなり大きなアドバンテージがあると言えそうです。

佐々木 正悟(ささき しょうご)
心理学ジャーナリスト

「ハック」ブームの仕掛け人の一人。専門は認知心理学。 1973年北海道旭川市生まれ。97年獨協大学卒業後、ドコモサービスで働く。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、04年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。 著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほかに『ブレインハックス』(毎日コミュニケーションズ) 『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』(ソーテック)などある。

ブログ「ライフハックス心理学」を主催

堀 E. 正岳(ほり まさたけ)
ブロガー・気候学者

1973 年アメリカ・イリノイ州エヴァンストン生まれ。筑波大学地球科学研究科(単位取得退学)。理学博士。地球温暖化の影響評価と気候モデル解析を中心として研究活動を続けている。その一方でアメリカでライフハックが誕生したころからその流行を追い続け、最新のハックやツール、仕事術や自己啓発に至る幅広いテーマをブログ Lifehacking.jp で紹介している。 著書に、「情報ダイエット仕事術」(大和書房)、「英語ハックス」(日本実業出版社、佐々木正悟氏との共著)、Lifehacks PRESS vol2(技術評論社、共著)がある。「ブログ Lifehacking.jp を主催」。