誰でもLINEスタンプを制作・販売できる「LINE Creators Market」。このプラットフォームが立ち上がったことで、これまでの企業主体のLINEスタンプには見られなかった、個性豊かな「クリエイターズスタンプ」が数多くリリースされています。

この連載では、人気を集めているオリジナルのLINEスタンプを生み出したクリエイターたちに、スタンプのコンセプトや制作時の具体的な作業量、そして売り上げなどを聞いていきます。今回は、クリエイターズスタンプの中でも人気の高い「動物」の中でも、特に人気の高い猫……のようで猫でない。かわいいけれど少し"お下品"なテイストで人気を集めているスタンプ「にゃっちーず」を手がけたかわベーコンさんにお話をうかがいました。

――最初に、プロフィールと普段のお仕事内容について簡単にお教えください。

一児の母で子育てをしながらイラストレーターとして活動しております、かわベーコンです。仕事は主に自分のオリジナルキャラクターを使ってアプリやスタンプからグッズの展開まで幅広く行っています。

――プロフィールに付随して、スタンプや普段のイラスト制作時の作業環境についてお教えください。

パソコン:REGZA PC D713/T3JW 使用ソフト:SAI version 1.1.0 使用デバイス:WACOM BAMBOO

――「Line Creators Market」でスタンプを制作・販売しようと考えたきっかけは?

制作しようと思ったきっかけはTwitterのフォロワーの方々の「声」です。以前からカップル向けアプリではスタンプを配信していたのですが、カップル向けと特に使用が限定されていないLINEで出してほしいという声がたくさんありましたので制作しました。

――リリースされたスタンプのコンセプトをお教えください。

スタンプは「にゃっちーず」という自分のオリジナルキャラクターで制作しました。このキャラクターは自分が学生のころから考えていたキャラクターで今までずっと描き続けているキャラクターです。猫のようだけど猫じゃない未確認生物であり、かなーりお下品なことが大好きで、欲望のままにのびのびと生きています。まずは最初なので、フォロワーの皆さんの声を聞いてリクエストを取って制作した「使いやすい」スタンプになっています。

「にゃっちーず」の一部

――ラフ段階では全部で何案ほどスタンプ用のイラストを制作されましたか?

43個くらいだったかと思います。ガイドラインの境界線ぎりぎりというかアウトが多いキャラクターなので、リジェクトをされた時に素早く入れ替えができるようにすこし余分に描いてはありました。

――スタンプを作るにあたって、イラストを描く時とは異なる工夫をした点を教えてください。

普段落書きするときと違って、スタンプはいつも下書きしてから線画を描くようにしています。その方が全体のバランスを調整しながら進められるので。

――利用した人から「これは便利!」と言われるスタンプの絵柄は?

「NO!」というスタンプですかね。最近流行り(?)のLINE乗っ取りにぺったーんと送り返してる方が多いようです。あとはイイネ!みたいな親指を立ててるやつが使いやすいみたいですね。

――ご自身で特に気に入っているスタンプの絵柄はどれですか?

その「NO!」のスタンプもお気に入りですが、マッチョも好きです。みんな好きなんですけどね。

人気があるという「NO」のスタンプ(左)とマッチョのスタンプ(右)

――にゃっちーずは一見ネコのようなかわいらしいルックスでありながら、下ネタやユーモラスな表情づけによって独特の雰囲気が感じられます。キャラクターデザインを行う中で気にかけているルール、性格づけなどはありますか?

ルールといいますか、吐き出せないようなものをそのままキャラクターの表現としてぶつけていることが多いです。性格はおっさんくさいですね。雌雄同体なんですけど、男よりの性格です。

――スタンプを作ったことで変化したことはありますか?

キャラクターの新しい可能性が見えたり、お仕事が増えたりしました。ありがたいです。 ――これまでのスタンプの売り上げをお教えください。

大体にゃっちーずのみで約360万円です。

――最後に、これからスタンプを作るクリエイターに向けて、ひとつだけ「スタンプ作りのTips(豆知識)」を教えてください。

気を付けたいこともたくさんありますが、忍耐力が必要だと思います。とにかくアイデア出しからスタンプの数をこなすのも、普段絵を描かない方だと根気がいります。自分のスタンプを使ってもらいたい!自分のスタンプを使いたい!という気持ちが強ければ乗り越えられると思いますので、出したいと思っている方は頑張ってください。