利用の手引き
試験概要/受験ガイダンスはこちら
本連載の掲載スケジュール/学習の進め方はこちら

第1部 企業と法務 - 3.知的財産権

重要度 >>> ★★★★☆

知的財産権を構成する権利の種類は多くありますが、特に出題可能性の高い著作権について優先して学習すると得点力の確保に効率的です。情報システムについて著作権法がどのように関連しているかという視点から、権利の帰属(法人・個人・派遣・請負のケースなど)と適用(データベースは対象に含まれるか、官庁関係のWebサイトは無断で使用してもよいかなど)、違法コピー問題など、幅広く出題されることが予想されます。また、社会問題化しているファイル交換ソフトの知識と絡めてネットワーク分野との組み合わせで問われるケースも十分考えられるでしょう。

合格への攻略ポイント

■知的財産権(知的所有権)

人間の幅広い知的創造活動について、その創作者に独占的に利用できる権利を与えるものを「知的財産権」(知的所有権)といいます。これにはいくつかの種類があり概要は次のとおりです。なお、特許権、実用新案権、意匠権、商標権を「産業財産権」と総称します。

※画像クリックで拡大

※画像クリックで拡大

■著作権の基礎知識

知的財産権の中でも特に著作権法について詳細な知識が必要とされます。いうまでもなくソフトウェアは著作物であり、著作権法によってその権利は保護されます。また、著作権は次のように著作者人格権と著作者財産権から構成されています。

区分 権利構成 譲渡の可否
著作者人格権 公表権、氏名表示権、同一性保持権 不可
著作財産権 複製権、翻訳権、上映権、演奏権、貸与権など

本試験では以下のポイントについて問われやすいので、正確に理解しておきましょう。

○著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約(プログラム言語の用法)および解法(アルゴリズム)は、保護の対象外
○著作権法は必要と認められる限度において、ユーザの利用目的に合わせてプログラム変更を行うことを認めている
○他人にソフトウェアを売却や譲渡をした後、そのソフトウェアの複製を使用することは違法コピー行為であり、著作権の侵害となる
○法人の社員が業務上開発したソフトウェアの著作権は、基本的には法人側に帰属するが、著作権譲渡に関する特別の契約を交わせば社員側に移転することも可能
○データベースは「情報の体系的な構成であり創造性を有するもの」であれば、著作権法で保護される
○ソフトウェアを利用した情報処理技術は著作物であり、かつ発明の対象となり得るため、審査を受けて認められた場合には特許権が付与される

■社員以外の外部関係者が開発した場合

システム開発においては、請負業者や派遣されてきたプログラマなど社員以外の外部関係者が開発に関与するケースも多々あります。こうした場合について、試験対策上、ソフトウェア制作の場合の著作権の帰属先を判断できるようにするため、次の2つの知識を覚えておきましょう。

派遣労働者の場合
 労働者派遣法に基づいて合法的に派遣された派遣労働者は、派遣元企業(派遣会社)との雇用関係を有すると同時に、派遣先企業において派遣先事業主の指揮命令を受けて労働に従事するものであることから、派遣労働者も本来の社員に準ずることになります。
外部委託の場合
 請負や委託などの民法上の契約に基づいて外部のシステム開発請負業者が開発したシステムの場合は、特段の契約が無いかぎり、開発を請け負った業者側に著作権が帰属します。

本試験出題例

知的財産権のうち、権利の発生のために申請や登録の手続を必要としないものはどれか。

  •  意匠権
  •  実用新案権
  •  著作権
  •  特許権

【ITパスポート 平成21春期 問15】

解答と解説

我が国の著作権は特に届出等を要することなく、単に著作物を創作した時点で自動的にその権利が発生するものとされており、これを無方式主義という。一方、他の3つはいずれも特許庁に出願し、審査・登録を受けてからでないと権利は発生しない。

正解


より本格的に学習したいなら

カリスマ講師が教える! ITパスポート「絶対合格」のポイント 2009年度版


本連載は、毎日コミュニケーションズの発行する『カリスマ講師が教える! ITパスポート「絶対合格」のポイント 2009年度版』を、Web連載用にコンパクトに再構成した入門編となっています。より本格的にITパスポート試験への対策をお考えなら、同書の入手をオススメします。

・発行 毎日コミュニケーションズ
・著者 藤井淳夫
・定価 998円(税込)
・B5判 168ページ