「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第154回のテーマは「ドラえもんは理想の大人像なのでは? 」です。

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息子は、かなりのドラえもんフリークです。靴下もマスクもドラえもん、グッズはだいたいドラえもんです。アニメの主題歌を歌う星野源さんが好きなことがきっかけでドラえもんを好きになりました。そして現在我が家には大量のドラえもん関連書籍が溢れています。

久しぶりにドラえもんの漫画を読むと、「昭和……! 」と思うことが多いです。実際、原作の連載は1970~90年と、昭和後期。1967年生まれのパートナーと、1976年生まれの私が子どもだった時代がメインの時代設定です。なので、息子にしてみたら「親が子どもだった時代の物語」なんですよね。

漫画では、女の子は女の子らしく、男の子は男の子らしくが前提で、子どもは子どもらしくするべき。逆に大人がふざけていると、子どもが「大人のくせにみっともない」って言うなど、「属性に対してそれらしく振る舞え」という世界観です。たしかに自分が子どもの時、そういう社会だったな~と思い出します。

もちろん、しずかちゃんが木登りを楽しみたいエピソードなど、「らしさ」への疑問を呈するようなお話もありますが、基本はやはり「○○らしく」という世界が前提です。ジェンダー観の古さなど、昭和の価値観を子どもに植え付けてしまうのでは……という心配はありつつも、普遍的なテーマを扱い、時代を越える作品の面白さがあるので、旧来的な価値観については別に話し合いをすることとして読ませています。

で、私が気になったのは、のび太のママだったんですよね。もちろん昔は、小学生目線で楽しく読んでいたのですが、自分が母親になって、のび太のママと同じように「一人っ子の男の子の親」になると、親の目線から見るようになってしまうんですよね。

すると、のび太のママってすごく「昭和のお母さん」でした。今って子どもの宿題を親が見る前提だったり、親が子どもをサポートする割合がすごく増えているんですよね。のび太のママは子どもに「やりなさい」って言うだけ。そして、0点取ったらお説教するだけ。具体的なサポートはしないんです。

でも、昭和の母親ってそういう人が多かったな……と。実際私が子どものときも、母親に勉強を見てもらったことはありませんでした。母親は学習のサポートはしないのが一般的だったように思います(昭和にもそうでないお母さんもいたかもしれないですが)。

昭和の子どもは、小学校入学と共に学習机が与えられて、「自分で勉強する」のが一般的でした。でも今は、低学年のうちは「リビング学習」が良いとされていて、親が子どもの学習をサポートするほうが良いとされています。

のび太のママは、のび太の成績が悪かったり、失敗したりすると、お説教するだけなんですよね。いや……わかっているんです。のび太のママがサポーティブで何でも解決してくれるママなら、ドラえもんは必要ない。だからストーリー上、ママが何もしないのはしかたないのです。でも、「うまくできなくて困っているのはママじゃなくてのび太なんだから、助けてあげてよ~」と思ってしまうんですよね。

のび太を助けてくれるのはドラえもん。ドラえもんはのび太の「困りごと」を解決してくれる存在です。ん……? ってことは。ドラえもんはもしかして「子どもにとっての理想の大人像」なのでは? と、大人になってから気がつきました。

一緒に遊んでくれて、頭ごなしに叱らず、気持ちに寄り添ってくれて、問題を一緒に解決してくれて、そして成長を促して見守ってくれる……。子どもだけじゃできないことをサポートしてくれて、頼りになって、偉そうじゃなくて、同じ目線でいてくれる。そりゃみんなドラえもんのことが好きだよなあ……と思いました。

だったら自分は、ドラえもんみたいな親になりたいなと思ったのです。ひみつ道具は出せないけど、子どもがまだ自分だけでは解決できないことを、一緒に解決してあげたい。勉強だって、できないところがあれば「どうしてできないのか」「どうやったらできるようになるのか」考えたい。タイムマネジメントができないなら、どうやってできるか考えたい。道具がなくても大人にはアイデアがあるし、なんなら金もある。子どもだけで努力して解決できることだけじゃないと思うんですよね。

私自身、あまり勉強ができるタイプではなかったし、自己管理も苦手な子どもでした。大人になってから、「ああ、こうすればよかったんだ」と思うことが多くて、こういうことを教えてもらえたらよかったなと思うことがたくさんありました。「できない」という気持ちがコンプレックスになり、しなくていい苦労もたくさんしてしまったと思っています。

一方的に大人が困りごとを解決するのではなくて、「こうやったら解決できるのでは? 」とサポートして、成長と共に自分で自分を助けられる人になってほしい。そして、困ってる人を助けられる人になってほしい。みんなが、ドラえもんみたいな大人になったら住心地のよい世界になるような気がします。

ちなみに短編の『ドラえもん』では、約16ページの間に問題を起こして解決しないといけないので、ママもジャイアンもかなり雑な行動をとるのですが、長編になると丁寧に描写できるので、ママもジャイアンもちゃんとしてるんですよね。ページ数によってキャラクターの描写が変わってるというのも、大人になって読み直したときの発見です。

実際の人生は長編漫画より長いので、長編漫画みたいに丁寧なコミュニケーションをしていきたいです。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。