高精度電力制御を実現するためのデジタル電力モニタ

Kabiniでは、精度の高い電力制御を行うため、デジタル電力モニタを使っている。CPUやGPUの主要部分の動作イベントをモニタし、各イベントに重みを掛けてアクティブな消費電力を求め、それにリーク電力を加えてデジタルに消費電力を計算する。そして、チップ全体の消費電力値に応じて、APUのP-State(クロックと電源電圧)を変える。この機構はRichlandと同じであり、詳細はRichlandのレポートを参照して戴きたい。

Kabiniでは精度の高い電力制御をおこなうため、ディジタル電力モニタを使っている

チップには熱容量があるので、電力消費から実際に温度が上がるまでにはタイムラグが生じる。このため、温度センサではリアルタイムに消費電力を求めることが出来ない。これに対して、デジタル電力モニタを使うとリアルタイムで電力が把握でき、精度の高い電力制御が可能になるという。

CPUコア、GPUコアの刷新や電力制御の改善の結果、Kabiniベースのシステムは、前世代のBrazos 2.0ベースのシステムと比べて消費電力が減っており、Wi-Fiを使うWebブラウズの場合、6.58Wが4.85Wに電力が減り,バッテリ寿命が6.8時間から9.3時間に延びる。また、720pのビデオのプレイバックでは、8.57Wが6.44Wに減り、バッテリ寿命は5.2時間から6.9時間に延びるという。

前世代のBrazos 2.0とKabiniの消費電力とバッテリ寿命の比較

また、エントリレベルのBrazos E1-1200とKabini E1-2100を比較すると、3DMark 11では215%、PCMark 7では136%と大幅に性能/Wが上がっている。また、メインストリームのTrinity A4-4355MとKabini A4-5000を比較すると、3DMark 11では66%、PCMark 7では42%と、エントリレベルより改善幅は小さいものの、こちらもかなり性能/Wが上がっている。

前世代のBrazosとTrinityとのエネルギー効率の比較

Kabiniはエントリからメインストリームの廉価なノートブックを対象とするAPUであるが、この価格帯で4コア化を実現し、GCNの強力なグラフィックスを搭載してゲームなどをより良く実行できる。併せて、Webブラウジングでは9時間以上のバッテリ寿命を実現し、実質的に1日、バッテリで活動ができるようになるという。