うに、このわたと並び日本では三大珍味に数えられる「からすみ(唐墨)」。コンビニなどで気軽に買えるちょっとしたおつまみと違い、こちらは高級品です。が、しかし! このからすみにそっくりでなおかつお値段もリーズナブルなMade in 北海道の珍味があるんです。

  • えぞからすみ風味(70g/税込756円)(写真:マイナビニュース)

    えぞからすみ風味(70g/税込756円)

からすみとは

からすみとは一般的にボラの真子(卵巣)を塩漬けにして水分を抜き、うまみを凝縮させてから塩抜きして天日で干したもの。日本では広くボラを使うと認知されていますが、名産地の長崎県ではもともとサワラの卵巣で作られていて、今でも香川県ではサワラが用いられているそうです。

またイタリアではボッタルガといい、薄くスライスするか粉状にして、パンに乗せたりパスタに絡めたりして食べられています。ボッタルガにも、ボラの他マグロやメカジキなどを使ったものがあります。

そっくりさん食品好きにはたまらない

今回見つけたのは、函館市で海産物の加工品を製造・販売する不二屋本店の「えぞからすみ風味」という商品。「風味」と名の付く通り、ボラではなくタラとサメ(!)の卵巣に卵黄や焼酎などを加えて作った、からすみ風の加工品です。お値段もとってもリーズナブル。本物のからすみの半額以下で買えちゃいます。

カニやホタテ、ウナギの蒲焼きなどに似せたそっくりさん食品を見ると味や再現度を確かめたくなってしまう性分なので、これも買わずにはいられませんでした。

  • 見た目はまさにからすみ。少し色が鮮やか?

    見た目はまさにからすみ。少し色が鮮やか?

タラ×サメのタッグは味、見た目共に再現度高し

とはいえ本物のからすみをしょっちゅう食べられるセレブではないので、今までの人生経験から数少ない「からすみの記憶」を引っ張り出してきて、思い出しつつ味を比較してみることにします。

まずは「えぞからすみ風味」の全体を覆っている膜というか薄皮をむいてスライスし、そのままいただくオーソドックスなスタイル。本当は薄切りの大根と一緒に食べると塩気がまろやかになるんですが、味を確認するためダイレクトにいきます。

からすみより魚卵っぽさが一歩下がって、より珍味感が前に出ている印象ですが、香り、味共になかなかの再現度。好みの問題になりますが、こちらの方がむしろ食べやすい、という人もいると思います。トースターで軽くあぶると香ばしさがいっそう引き立ちます。

  • ちゅうちょなくかけまくり。勢い余ってお皿にも

    ちゅうちょなくかけまくり。勢い余ってお皿にも

高級食材(っぽいもの)かけ放題

お次はパスタ。「えぞからすみ風味」をチーズおろしでパウダー状にして、たっぷりのエクストラ・バージン・オリーブオイルとレモン汁、刻んだイタリアンパセリを加えて混ぜておきます。ゆで上がった細めのパスタとあえて、さらに上からパウダーとスライスを惜しげもなく振りかけて出来上がり。

うん、うまい! 一口頬張れば口の中に地中海、じゃなかったオホーツクの風が吹き抜けるようです。個人的にはそのまま食べるよりこっちの方が好みかな。レモンの皮も刻んで混ぜるとさらに本格的になりますよ。

  • 一味違う大人のポテサラにもどうぞ

    一味違う大人のポテサラにもどうぞ

他にも、すりおろした「えぞからすみ風味」とマヨネーズ、レモン汁、すりおろしたニンニクでゆでたジャガイモをあえると、一味違った大人な雰囲気のポテトサラダに。ジャガイモをもっと細かく潰してディップ状にすれば、なんちゃってタラモサラタ(サラダ)の出来上がり。ちなみにタラモサラタも本場のギリシャやトルコでは主にボラやコイの卵なんだとか。

単なるイミテーションと侮るなかれ、「えぞからすみ風味」はおいしくてアレンジも自在な北海道土産にピッタリの逸品でした。手渡すときも「えっ、からすみ?」「いや実は……」なんて会話のきっかけになるんじゃないでしょうか。

「えぞからすみ風味」はJR札幌駅地下街APIA「おみやげ工房なとり屋」や、不二家本店オンラインショップで購入できます。