「日本を代表する城」と言われれば、真っ先に名前が挙がるのが姫路城ではないでしょうか。天守が国宝に指定されている城は4つしかないのですが、その内のひとつに数えられています(姫路城、犬山城、松本城、彦根城)。そして日本で初めて世界遺産に登録された物件のひとつでもあります。登録されている日本の城は、他にも京都の二条城や沖縄のグスクがあるのですが、単体での登録は姫路城のみです。

外壁の修復を終えた姫路城の大天守。ま、まぶしい……(撮影: 2014年南井都美子)

姫路城が評価されているのは、日本の木造城郭建築の代表例であることや、保存状態が非常にいいこと、そして、外観の美しさと防御面での実用性を兼ね備えていることなど多岐に渡ります。姫路城の象徴ともいえるのが、白漆喰と総塗籠(そうぬりごめ)の外観に覆われた大天守でしょう。その美しさは「白鷺城」とも例えられます。その大天守が、5年半にわたる大改修を終えてついに3月27日よりリニューアルオープンするのです!

博物館のガラスの壁に写った城は、通だけが知っている隠れた見どころ(撮影: 2014年南井都美子)

修復をあえて見せた逆転の発想

以前、大天守が修復されたのは45年以上前のことです。「昭和の大改修」と呼ばれ、大天守の傾きを根本的に修正するという非常に大掛かりな解体修復を行いました。それに対し今回の修復は、屋根や壁の傷みや汚れを取り除くための、いわば「化粧直し」となりました。

「平成の大修理」の時期の大天守。内側は見学施設になっていました

筆者は1年半前、その修復の際に訪問したのですが、大天守は布で覆い隠されていました。観光の目玉を失ったようで残念ではあったのですが、実は修復中ならではの工夫がこらされていたのです。2011年春から3年弱の間、大天守を取り囲むような巨大な鉄骨の展示施設を造り、常時公開して修理の現場や匠の技を間近に見ることができるようにしたのです。

「天空の白鷺」と名づけられた見学施設は、時には1時間待ちとなるほどの大人気で、筆者も閉館間際になんとか滑り込むことができました。普段は遠くから見上げることしかできない屋根や壁を目の前で見ることができるというのは逆転の発想ですし、文化財を大切に保護していく活動や日本の伝統的な技術力を広く知らしめたとてもいい試みだったと思います。

なんと最上部の屋根が目の前に!

「白鷺城」ではなく"白すぎ城"!?

そして2014年6月に覆いが外されたのですが、現れた大天守は、なんと真っ白!! ネット上では"白すぎ城"やら"驚きの白さ"という言葉が飛び交い、騒然となったのです。関係者の方によると、これが本来の白さであるとか。白漆喰は風雨にさらされることで通常1年ちょっとでカビが生え、黒ずんでしまうそうです。今回は防カビ剤を塗って3~5年はカビが生えないようにしています。

5年前の"ビフォー"姫路城。確かにうっすらと壁が黄ばんでいるような……

つまり、真っ白な姫路城を見るには早いに越したことはない、ということなのです。筆者も近々、"驚きの白さ"を目に焼き付けに行きたいと思います。当面は混雑するでしょうから、事前に「姫路城大入実況」をチェックしておくようにしましょう。

さらに注目を集めているのが、城内外15カ所に設置された「AR(拡張現実)マーカー」。これをアプリで読み込むと、歴史の動画を閲覧することができます。伝統の技とハイテクが見事に融合した大天守のリニューアル。さぁ、サムライになった気分で姫路城を攻めに行きましょう!

桜の時期も必見です(撮影: 2009年宮澤光)

世界遺産データ: 姫路城(文化遺産)
日本・兵庫県。1993年登録。戦国時代末期に羽柴(豊臣)秀吉が砦から天守をもつ城に改修した。江戸時代初期には池田輝政や本多忠政が改築して、ほぼ現在の姿となった。徳川幕府による一国一城令や明治期の廃城令、さらには戦時下の空襲も奇跡的に免れ、現在も美しい姿を見せている。

筆者プロフィール: 本田 陽子(ほんだ ようこ)

「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。

世界遺産検定とは?

世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。
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