『グヌン・ムル国立公園』にて洞窟探検に出発! 地底に広がる未知の世界です

ボルネオ島。そこはうっそうとしたジャングルがあり、動物たちが自由自在に木々の間をすりぬける、緑豊かな野生の王国。これがボルネオ島に対する筆者のイメージでした。暑い夏こそもっと暑い地へと向かって、ジャングル体験するに限る! と決め、その5日後には機上の人となっていました。今回は、ボルネオ島の世界遺産を紹介します。

3国が同居する島

ボルネオ島はマレーシア、インドネシア、ブルネイの3つの国が同居しています。島全体の70%が熱帯雨林で覆われていたと考えられています。今回筆者が訪れたのは、島の北側を占めるマレーシアです。そこには『キナバル自然公園』と『グヌン・ムル国立公園』の2つの自然遺産があります。ボルネオ島の玄関口となるコタキナバルを拠点として、両方を訪れることにしました。

コタキナバルは第二次世界大戦中に日本軍の占領下に置かれていました。それゆえ連合軍の空爆で破壊されつくし、戦後に復興した街です。なんとなく落ち着いた、しっとりとした風情をもつ街だと感じたのは、東南アジアでは必ずといっていいほど目にするオートバイがほとんど走っていなかったからかもしれません。

ここではほどよい街歩きやアイランド・ホッピングを楽しむことができます。世界遺産を訪れる前の手始めとして、島に渡りシュノーケリングをした際、不覚にもカメラがご臨終を迎えた(=水没ともいう)ため、ここに載せている写真は予備のタブレットで撮ったものたちです……。

コタキナバルからボートで15分のサピ島。気軽にシュノーケリングができます

キナバル自然公園で世界最大の花を目撃!

どしゃぶりの暗闇のなかに浮かぶラフレシア。怖っ!!

『キナバル自然公園』は、東南アジア最高峰のキナバル山を中心とした一帯に、世界でも有数の多彩な動植物が生息しています。ここはコタキナバルから車で2時間ほどのところにあるのですが、自力でいくにはアクセスが悪そうだったので、日本語の現地発着ツアーに申し込みました。ツアーではハイキングや植物園散策、温泉で足湯などを楽しむことができます。

職業柄、世界遺産を訪問すると、「ここの『顕著な普遍的価値』はなんなんだろう」と考えるのですが、景観美がすばらしい遺産や、地球の歴史を物語る遺産は、視覚的に分かりやすいと言えます。ただ、固有の生態系や生物多様性を特徴とする遺産は、ガイドの説明やパネル展示などがないと、価値が分かりづらいといえるかもしれません。

どんなに珍しい植物や昆虫がいたところで、教えてもらわないと見逃してしまうわけです。今回、そのことを痛感しました。そういう意味では日本語のガイドの方が丁寧にいろんな解説を加えてくれたのでありがたかったです。

ボルネオ島と言えば、「世界最大の花」「世界一臭い花」であるラフレシアが有名なのですが、植物園に到着したらちょうど土砂降りの雨。1,000円近い入場料を払って、ラフレシアへとダッシュし、10秒ほどで証拠写真を撮ってまたダッシュでバスへと戻りました。直径50cmくらいあったような。薄暗いところにまるで置物のような花が咲いていたのですが、目撃した時間があまりに短すぎたせいか、置物だったような気もしてきました……。

キナバル山。「登山しなきゃここの良さは分からないよ」とガイドに勧められました

世界最大級の洞窟で「スゴイ」を連発

洞窟から飛び立つコウモリの列。延々10分ほど続きました

そして、次は飛行機で島内を移動して『グヌン・ムル国立公園』へ。ここは、日本でもほとんど紹介されていないかと思うのですが、旅の情報も事前にほとんど得ることができませんでした。そもそも準備時間が短すぎたのですが。

国立公園内にある宿とアクティビティを英語サイトで予約しておいたものの、どんな展開になるのかまったく読めないままに現地に到着。筆者はこの旅を決めるまで、この自然遺産の存在すら知りませんでした(あっ、言っちゃった!!)。とりあえず弊法人が出している「世界遺産大事典」を読むと、世界最大規模のものを含む多くの洞窟があり、大量のコウモリも暮らしているらしい、ということが分かりました。

機内から外を眺めると、森林がどこまでも続いていました。飛行場から公園事務局から宿から、完全にジャングルの中。つまり、筆者がイメージしていたボルネオ島は、まさにこの地だったのです。

滞在中2つのアクティビティに参加して、公園内の洞窟を4つ巡ったのですが、もうこれはスゴイの連発。鍾乳洞が形成されるまでのあまりにも長い時間の蓄積が目の前に広がっていて、かつ、規模もこれまでに見たことがないくらい大きなもので、絶句するくらいすばらしかったです!

世界遺産としての教育・広報の質はトップクラス

また、この公園のエコ・ツーリズムの考え方もすばらしく、洞窟内や公園の遊歩道のいたるところに、世界遺産としての価値や生物多様性の重要性、地球の歴史を示すパネルが展示され、自然保護の重要性をしっかりと訴えていました。これまでに筆者が訪問したさまざまな自然遺産の中でも、訪問者への教育・広報をしっかりと行っているという点においては、トップクラスのクオリティーといえるものであったかと思います。

宿は公園事務局が運営する、国立公園内のバンガローにしたのですが、夜になると聞こえるのは虫と鳥の鳴き声だけ。テレビはなし。ジャングルの中とはいえ過不足なく設備が整ったバンガローの中で、安心して静寂につつまれながら眠りにつくことができました。

声を大にして言いたいのですが、これからボルネオ島の訪問を考えている人は、1泊2日(必ず初日は午前着、翌日は午後発で)、できれば2泊3日でグヌン・ムル国立公園を旅先に検討してみてください。日本では絶対に味わえないジャングル体験ができますよ!

世界遺産データ:キナバル自然公園(自然遺産)
マレーシア。2000年登録。標高約4,100mのキナバル山がそびえる自然公園。ふもとの熱帯雨林から山頂の高山帯まで、高低差によってさまざまな自然環境が広がる。世界最大の花ラフレシアや食虫植物ウツボカズラなどの奇怪な植物も見ることができる。

世界遺産データ:グヌン・ムル国立公園(自然遺産)
マレーシア。2000年登録。世界で最も洞窟が多い山と言われる、ムル山を中心とする熱帯域に位置するカルスト地域。ジャンボ・ジェットが40機も収容できる空間がある洞窟なども発見されている。夕方になると餌を求めて洞窟から飛び立つ300万のコウモリの姿を目にすることができる。

筆者プロフィール : 本田 陽子(ほんだ ようこ)

「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。

世界遺産検定とは?

世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。
主催:世界遺産アカデミー
開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)
開催地:全国主要都市
受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円
解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)
申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込み
その他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて