GWを迎えましたが、みなさんしっかり予定はたてていますか? 「GWはどこに行っても人が多いし、そんなにガツガツ外出しなくてもいいんじゃないの」と感じている方も多いでしょう。分かります! ですが、もしちょっと長めのお休みが取れるのであれば、日本の歴史や文化を再発見するプチ旅に出てみるのもオツなものです。それが世界遺産であれば、後から2014年のGWを振り返ったときに、ちょっと知的な休日を過ごしたなと感慨深く思えるはず。

東北にある文化遺産の世界遺産と言えば? ここは平泉にある中尊寺金色堂を覆うお堂です。金ぴかの金色堂はこの中に安置されています

前回は3日あれば十分満喫できる海外の世界遺産を紹介しましたが、今回は「GWスペシャル・思い立ったらすぐ行ける、国内の穴場世界遺産」を紹介します!

京都や日光、富士山、これらはいずれも一部の寺社やエリアなどが世界遺産に登録されています。どう考えてもGWは混雑すること必至です。では、それなりに落ち着いて観光できそうな穴場の世界遺産はどこがあるでしょうか?

平泉でイベントと世界遺産を満喫!

まず東北では平泉です。ここは『平泉─仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群─』として、中尊寺を含む5つの資産が世界遺産に登録されています。毎年5月1日~5日には「春の藤原まつり」が開催されますので、イベント情報をしっかり把握して行きましょう。

国内最大の浄土庭園をもつ毛越寺と、背後の金鶏山も世界遺産です

目玉は3日の「源義経公東下り行列」で、今年は義経公役として人気俳優の山本裕典さんが決定しているそうです。ということは、確実に混みます。「穴場の紹介じゃなかったのか」とお叱りをうけそうですが、人混みを離れて気分転換にオススメしたいのが、「無量光院跡」です。

実はここ、寺院の跡地であって地下遺構が残っているだけです。言ってみれば、ただの「野っぱら」にすぎません。ですから、まずほとんどの人はスルーしてしまうでしょう。そこで一句、思い出してほしいのです。

「夏草や兵(つわもの)どもが夢の跡」

松尾芭蕉の有名な句ですが、これは平泉のことを詠んだものです。平泉は平安後期に奥州藤原氏が拠点として、100年にわたって繁栄を誇った地方都市でしたが、源義経をかくまったことから頼朝に攻め込まれて衰退していきました。

芭蕉は江戸時代にこの地を訪れ、藤原氏や義経らが儚く散っていったさまを詠みました。無量光院は京都宇治の平等院鳳凰堂を模して建造されましたが、いまでは跡形もなく、まさしく草ぼうぼう状態です。芭蕉のように平泉の光と影を感じるには、うってつけの場所といえましょう。

これが無量光院跡です。遺構を発掘している場所もあります。ここを訪問してこそ世界遺産通!

かつてヨーロッパにも名をはせた銀山とは?

ただのトンネルにしか見えませんが、かつて銀を運び出した坑道です。れっきとした世界遺産です

「もっと穴場はないのか」と言われそうなのでもうひとつ。島根県にある石見銀山です。ここは『石見銀山遺跡とその文化的景観』として、鉱山と鉱山町、さらに銀を搬出した港と港町など、広い範囲にわたって登録されています。

鉱山町では「パーク&ライド方式」を採用しており、近くの駐車場からはシャトルバスを利用することになります。GWはこの駐車場が混みそうなので、検討している方はそちらもしっかりチェックしてほしいのですが、その分、世界遺産一帯では車を気にせずのんびりと散策することができます。鉱山町は昔ながらの情緒のある街並みが残されており、ところどころにカフェやお土産屋があるので自分のペースで周れます。

江戸時代初期、日本は全世界の銀の3分の1を産出していました。そのほとんどが石見銀山で採掘されたと言われています。当時、「イワミ」の名はヨーロッパにも伝わっていたのです。石見銀山がそんなにスゴイ歴史をもっていたってご存知でしたか? 街歩きをより楽しむために、世界遺産センターでそうした予備知識を仕入れていったり、ガイドツアーに参加したりすることをお勧めします。

鉱山町は地元の方も生活していて落ち着いた雰囲気です

電車で行くときは大田駅から

ちなみに筆者は、GW後半に国内の「世界遺産予備軍」に行く予定です。暫定リストに記載されている、将来的に世界遺産になるかもしれない物件なので、やはり穴場といえるでしょう。気になる方はネットなどで暫定リストを調べてみてくださいね。そこにも旅のヒントがあるかもしれません。ではみなさん、すてきな休日をお過ごしくださいね!

世界遺産データ:平泉─仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群─(文化遺産)
日本・岩手県。2011年登録。平安時代末期、世の中が乱れつつあった中で、平泉では奥州藤原氏によって浄土信仰に基づく理想世界の実現を目指した仏教文化が花開いた。金や螺鈿(らでん)をふんだんに用いた「金色堂」をもつ中尊寺や、国内最大の浄土庭園が残る毛越寺(もうつうじ)などが世界遺産に登録されている。

世界遺産データ:石見銀山遺跡とその文化的景観(文化遺産)
日本・島根県。2007年登録。石見銀山では、最盛期の17世紀初頭には年間40トンもの銀が産出され、東アジアやヨーロッパに輸出された。そうした銀生産に直接かかわる鉱山と鉱山町のほかにも、銀や物資を運搬する街道や物資を搬入出する港と港町など、鉱山運営の全体像が分かる資産が登録されている。

筆者プロフィール : 本田 陽子(ほんだ ようこ)

「世界遺産検定」を主催する世界遺産アカデミーの研究員。大学卒業後、大手広告代理店、情報通信社の大連(中国)事務所等を経て現職。全国各地の大学や企業、生涯学習センターなどで世界遺産の講義を行っている。

世界遺産検定とは?

世界遺産の背景にある歴史、文化、自然等の理解を深め、学んだことを社会に還元していくことを目指した検定。有名な観光地のほとんどは世界遺産になっているため、旅の知識としても役立つと幅広い世代に人気。
主催:世界遺産アカデミー
開催月:3月・7月・9月・12月(年4回)
開催地:全国主要都市
受検料:4級2,670円、3級3,900円、2級5,040円、1級9,250円、マイスター1万8,510円、3・4級併願6,060円、2・3級併願8,220円
解答形式:マークシート(マイスターのみ論述)
申し込み方法:インターネット又は郵便局での申し込み
その他詳細は世界遺産検定公式WEBサイトにて