石田です。先日の勉強会を経て、使用するハーブの種類を「バジル」と「ローズマリー」の2種類に決め、2パターンの基板を作ることにしました。

勉強会では、基板を葉っぱの形にするとか言ってましたが、どんな形にするかは思案のしどころです。ちなみにバジルとローズマリーの葉っぱの形は以下のようなものとなっています。

左がバジル、右がローズマリー

本物の葉っぱがあるのに、その隣にそれに似せた基板が挿さっていても、あまり面白くなさそうなので、葉っぱ案は没にしました。ハーブは自然物で、この有機的なラインがすてきでかっこいいと感じているので、この良さを殺さないようにする方向で思案していたところ思い出したのが、部屋の観葉植物にテスタを挿して実験したこと。

テスタをじかに土に挿して実験した様子

実は、自然物の中に、テスタという人工的な機械があることで、コントラストが出て、この雰囲気はなかなか面白いと感じていました。ということで、"ハーブのきもち"を実現する上でも、このコントラストを出せたら良いなと思い、基板の形は、無理に自然物を意識するよりも、シャープな形の人工物にしてしまったほうが良さそうだとの結論に至りました。

また、バジルとローズマリーは葉っぱの形も雰囲気もまったく違うので、基板も、バジルには「バジルのきもち」、ローズマリーには「ローズマリーのきもち」と違うデザインにしようと思い、理想のイメージに近づくように、スケッチを描きすすめてみました。

さらに、伊藤くんが設計した回路が載ることも考え、主要な部品の載る位置もだいたい決めておかなくてはいけません。一番体積の大きい部品は「電池ボックス」。これをどう収めるかが、基板全体の形を決めるポイントになりそうです。また、「光センサ」は反応を悪くさせないためほかの部品の陰になる場所に置かない、部品を守るために直接土に挿さる「水分量センサ」とほかの電子部品は離すなど、部品ごとに配慮しなくてはいけない点がいくつかあります。それらも考慮して、デザインを考えてみました。

できあがったイメージスケッチ。左が「バジルのきもち」、右が「ローズマリーのきもち」のスケッチ

このような考えの下、できあがった基板がハーブの鉢植の土に直接つき挿さり、「水」と「太陽」という2つのLEDライトが光り「水が欲しい!」または「太陽に当ててほしい!」と教えてくれるというものです。基板の形は、バジル・ローズマリーそれぞれを連想させる形にしました。

最終的にバジルは、育てて収穫したら、パスタにのせて食べたりするという発想から、基板をパスタを食べるときのフォークにしたいと思い、ローズマリーはハーブティに使うことができるので、基板をティーカップとマドラーのシルエットにしたいというイメージを具現化したものです。

イメージが固まれば、いよいよ基板のアートワークです。アートワークは、プリント基板設計ソフトウェア上で部品を配置し、外形を描き最後に配線を描いていく作業のことです。

もちろんわたしがこのようなソフトを使うのは初めてのことです。流石に最初はなかなか扱いが大変でした。そこで、伊藤くんにアドバイスをもらうことに。

すると伊藤くんからは 「まずは外形をラインで書く。その中に部品を、ラッツネスト(設計ソフト上で表される、配線すべき部品と部品の間に引かれた線)ができるだけ交差しないように配置する。そして最後に配線をして、仕上げる。こんな順序でやればやりやすいと思う」というアドバイス。その通りやってみると、作業のロスも少なくなり、外形線の中にきれいにまとめることができました。慣れないソフトを使ったので、途中いくつもミスが出てきましたが、その都度直したり、頻繁にチェックをかけたりして進めていきました。ここでミスがあっては、基板ができあがって部品を載せても、ちゃんと動作しない可能性がありますから、慎重に進めていきました。

実際に基板の設計を行っている様子

徐々に設計ソフトの扱いにも慣れてきて、余裕ができてくると、今度は細かいディテールにこだわっていこうという気になってきました。「バジルのきもち」は、フォークのシルエットが重要です。柄の部分と先の部分の比率をみて、ちゃんとフォークに見えるかどうかを吟味してみました。また、角は滑らかなカーブを描きたかったので、直線を連続的に描くのではなく円弧を利用しました。

CADの図面。左は基板の外形と部品を配置した後、右は配線を行った後の図面

一方の「ローズマリーのきもち」は、少し遊びを入れたかったので、ティーカップに模様をつけてみました。シルク印刷される線で菱形を並べたり、穴をあけて花の形を作ったり、ちょっとおしゃれな基板になりました。

バジルのきもち(左)とローズマリーのきもち(右)のイメージ図

それぞれのハーブのイメージがより広がるように、あと部屋に置いてもおしゃれに見えるように作ってみました。最初描いたイメージスケッチよりもすっきりまとまったと思いますが、どうでしょうか?

ちなみにアドバイスをくれた伊藤くんからも、 「四角い基板しか設計したことなかったけど、こんな基板ができると思うと面白い。普通はこんな模様とか形とかにこだわらないから、こういう視点での製作は電子工作の可能性を探求できて楽しい」という意見が。確かに、普通の基板は四角ばかりなので、逆にこんな形の基板ができるかどうかちょっと不安です。