■被害者家族と加害者家族の現実と光

1位『それでも、生きてゆく』(フジ系、瑛太主演)

  • 瑛太

    瑛太(現・永山瑛太)

  • 満島ひかり

    満島ひかり

3位は動物、2位は子ども+動物というテレビのキラーコンテンツを生かした作品だったが、1位は坂元裕二が手がけたこれ以上ないほどのヒューマンドラマを選びたい。

ポイントは、「少年犯罪」「少女殺人」という重苦しいテーマと舞台設定だが、衝撃的な出来事が次々に起きるセンセーショナルな物語ではないこと。被害者家族と加害者家族が辛い事実と向き合いはじめ、少しずつ受け入れられるようになり、自分と家族の人生を考え直していく様子が情緒的に描かれていた。

注目すべきは、被害者家族と加害者家族の描き方。両家族の苦しみは真逆である一方、傷の深さは近いものがあり、そのことを知ったときに初めて距離が近づき、不思議な一体感が芽生える……。被害者の兄・深見洋貴(瑛太)と加害者の妹・遠山双葉(満島ひかり)にそれ以上の進展はなかったが、「ここまで辛い思いをし続けて最後の最後にかすかな光が見える」という結末は、「ドラマ史上最もプラトニックなラブストーリーなのかもしれない」と感じさせた。

そんな「ただ怖がらせたり、涙を流させたりするだけでない」「最後まできれいごとでは済ませない」、繊細かつ緻密な物語を手がけたのは坂元裕二。

「人って逃げてばかりいると、命より先に目が死ぬんだなって」「母親から子ども取ったら、母親じゃなくなるんじゃなくて、人じゃなくなるのかもしれません」「希望って、誰かに会いたくなることなんじゃないかなって」などの哲学的なセリフから、『フランダースの犬』『ドラえもん』『ワンピース』のたとえ話まで、密度の濃い脚本が冴え渡っていた。一年前の『Mother』(日テレ系)は「坂元裕二の最高傑作」と言われたが、「すぐに更新してしまったか」と思わせる仕上がりに驚かされた。

瑛太(現・永山瑛太)と満島ひかりのメイン2人はもちろん鬼気迫る熱演を見せた大竹しのぶと柄本明、それを増長させた風間俊介の怪演は出色。時任三郎、風吹ジュン、小野武彦、安藤サクラなども含め、それぞれの俳優に役柄が乗り移ったかのようなクオリティがあった。

主題歌は、小田和正「東京の空」。

■『龍馬伝』『月の恋人』『セカンドバージン』『モテキ』

その他の主な作品は下記。

最終回が視聴率40.0%を記録したこの年最大のヒット作『家政婦のミタ』(日テレ系、松嶋菜々子主演、主題歌は斉藤和義「やさしくなりたい」)。ミステリアスな家政婦が、母親の死をきっかけに崩壊寸前となった家族を救う物語。松嶋が演じた無表情で破天荒なヒロインがネット上で話題を集め、「承知しました」のセリフがブームに。ただ、“変人+壮絶な過去+非常識な言動”という遊川和彦の脚本フォーマットに忠実な作品だった。

まさかの実写化であり、しかも亀梨、杏、鈴木福が演じることに驚かされた『妖怪人間ベム』(日テレ系、亀梨和也主演、主題歌はベム・ベラ・ベロ「妖怪人間ベム」)。脚本の西田征史は一年前に『怪物くん』をヒューマン作に仕上げた実績があり、映画化されるほどの人気作に仕上げた。妖怪人間の優しさと切なさは、どこか童話的な柔らかさと深さがあり、だから子どもたちの心をとらえていたのだろう。

「恋愛できない」という時流に合う恋の悩みがテーマの『私が恋愛できない理由』(フジ系、香里奈主演、主題歌は安室奈美恵「Love Story」)。「男性に縁のない生活」「就職活動に失敗」「立場の弱い派遣社員」の女性3人がルームシェアするという物語であり、恋の行方より女性の生き方にフォーカスしたことで共感を集めた。

幼稚園を舞台にママ友の壮絶な戦いを描いた『名前をなくした女神』(フジ系、杏主演、主題歌はAlice「moving on」)。他の家庭に対する見栄や嫉妬、嘘と罠、裏切りなどのネガティブな言動をこれでもかというほど詰め込んで反響を誘った確信犯的作品。どんなに攻撃されてもめげずに前を向くヒロインを演じた杏は、当作をきっかけに主演女優への道を切り拓いた。

深夜ドラマながら宮藤官九郎でファンの多い『11人もいる!』 (テレ朝系、神木隆之介主演、主題歌はNICO Touches the Walls「バイシクル」)。貧しい10人家族のもとに亡くなったはずの先妻が幽霊として現れる……というクドカンらしいファンタジー。劇中のテレビ番組『ダイナミックパパ』などの小ネタも満載で、星野源の弾き語りシーンはファンの間で語り草に。

平均視聴率2%台に終わったため、ドラマフリークの中で「隠れすぎた名作」と言われる『鈴木先生』(テレ東系、長谷川博己主演、主題歌はROCK'A'TRENCH「光射す方へ」)。今をときめく古沢良太が脚本の過半数を手がけた上に、主演の長谷川に加えて土屋太鳳、北村匠海、松岡茉優、矢作穂香らが生徒役で出演。独自の教育理念“鈴木式教育メソッド”や女生徒への妄想に悩むシーンも斬新だった。

さらに、『江~姫たちの戦国~』『おひさま』『下流の宴』『カレ、夫、男友達』(以上NHK)、『美咲ナンバーワン!!』『デカワンコ』『リバウンド』『ブルドクター』『ドン☆キホーテ』(以上日テレ系)、『バーテンダー』『犬を飼うということ~スカイと我が家の180日』『陽はまた昇る』『DOCTORS~最強の名医~』(以上テレ朝系)、『LADY~最後の犯罪プロファイル~』『冬のサクラ』『生まれる。』『JIN-仁-(完結編)』『美男(イケメン)ですね』(以上TBS系)、『大切なことはすべて君が教えてくれた』『美しい隣人』『幸せになろうよ』『全開ガール』『絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~』『謎解きはディナーのあとで』(以上フジ系)、『最上の命医』『IS~男でも女でもない性~』『勇者ヨシヒコと魔王の城』(テレ東系)などが放送された。