本連載ではこれまで、ユーザーのニーズを把握することと自社の強みを明確化することの重要性、そして、どういうサイト構造がSEOに適したWebサイトとして理想的であるかをお伝えしてきました。

SEO対策を順位を上げるためだけのテクニックだと考えることは、間違いなく、時代遅れであると言えます。一方で、Googleにきちんと評価されるため、サイト制作時に抑えておくべき重要なポイントはいくつかあります。今回は、そのポイントについて説明していきます。

Googleのクローラーは「画像<テキスト」

どんなにデザインが綺麗で、JavaScriptなどを用いて素晴らしい見せ方をしているサイトだとしても、すべて画像で構成されていた場合、SEOでの評価は無いに等しくなります。

サイトを巡回しランクをつけるプログラム「クローラー」は、基本的にテキストしか理解できません。人間は、画像に文字が含まれていればそれを読むことができますが、クローラーはできません。したがって、ユーザーに対し素晴らしいコンテンツを用意しても、そのコンテンツが画像内に記載されたものであれば、Googleに評価される機会を捨ててしまっていることになります。これは極端な例かもしれませんが、現在のSEOにおいてテキストは非常に重要な要素です。

しかし、これは「テキストの"量"が重要である」というわけではありません。もちろん、量が少なすぎても評価を受けづらいという側面はありますが、重複や流用コンテンツといった"質の低い"テキストコンテンツは評価されません。重要なことは、あくまでもコンテンツの"質"というわけです。

SEOで評価されるタイトルタグの付け方と考え方

以前のSEO対策というと、「HTMLのタグを調整する」「タグの中にキーワードを追加する」というようなイメージがあるかもしれません。HTMLタグは今でも大切で、その中でも特に「タイトル (title)タグ」は重要です。

タイトルタグはその名の通り、そのページのタイトルを決めるタグ。そのページに何が書いてあるか端的に明記する役目があるため、Googleも評価の際に参考にすることから、検索順位に大きな影響を与える要素であると言えます。

タイトルタグは基本的に、「ページタイトル + サイトタイトル」で構成されます。テクニック的なことを言えば、必ずページタイトルを先にし、ページタイトル内にコンテンツのメインとなるキーワードを含めましょう。また、キーワードは、3つ以内に収めたほうがよいでしょう。例え、キーワードが2つだったとしても、明確にニーズが違うものを併せて使ってはなりません。

なぜ、サイトタイトルよりもページタイトルを先に持ってくるのか ―― あなたはその理由を考えることができたでしょうか。そのヒントは、ユーザーの立場に立つことにあります。

ユーザーがキーワードを入力し、とあるサイトのページが検索結果に表示されたとします。このとき、ユーザーが知りたい情報は、そのサイトの概要でしょうか。それとも、そのページに記載されている内容でしょうか。当然、ページに記載されている内容ですよね。そのため、タイトルタグではサイトタイトルよりページタイトルを優先して記載する方がよいと考えられるわけです。

キーワードに関しても同じことが言えます。キーワードを検索してサイトに訪れるユーザーは必ず、何かしらのニーズを持っており、そのニーズを解決するためにページを訪問します。その際、明確に違うニーズを持つユーザーを、1つのコンテンツで満足させることができるのでしょうか。

もちろん無理でしょうから、提供すべきコンテンツは別々になるはずです。したがって、タイトルタグに「ニーズが明確に違うキーワードを含めるか」を検討する時点で、コンテンツの構成を誤っている可能性が高いと言えます。これはおそらく、タイトルタグをSEOのテクニックとして見ているために起こってしまうのでしょう。まずはそのコンテンツが、ユーザーのニーズに合った内容かどうか、そしてその内容に整合性のとれたタイトルかどうかを考えるようにしてください。

モバイル対応の重要性

Googleは2015年2月27日、ウェブマスター向け公式ブログにて「モバイルフレンドリーに関しての記事」を投稿しました。この概要としては、「サイトがモバイルに最適化されているかどうかをランキング要素として利用し始める」というものです。そして告知通り、4月21日に実施されたモバイルフレンドリーアップデートにより、モバイルを利用した検索結果においてモバイルフレンドリーなサイトの順位が引き上げられました。また同時期には、モバイルに最適化されていないサイトに向け、同社が提供するSearch Consoleというツール上にメッセージが届くようになりました。

Googleは、モバイルに最適化されていないサイトを対象に、このようなメッセージを送った

この一連の流れからも分かるように、同社はモバイルでの検索を非常に重要視しています。その理由は、ユーザーがPCだけでなくモバイルを用いて検索エンジンを利用するようになった、いやむしろ、PCよりモバイルで情報を検索するようになったことでしょう。

同社が2015年6月にAdWordsの公式ブログにて発表した調査結果によると、「日本では既に、モバイルからのGoogle検索がPCからの検索より多く行われている」としています。また、ヤフーが2014年11月に発表した自主調査では、「スマートフォンの検索クエリ数が2014年7月に初めてPCを上回った」ことを報告しています。この流れは今後、さらに加速していくのではないでしょうか。

また、モバイルの重要性はBtoCに限ったことではなく、BtoBの商材を扱うサイトにおいても軽視することはできません。サイト制作を今後行っていくのであれば、ぜひ、モバイル対応を前提に考えることをおすすめします。

「それ、SEOに効果なくてもやりますか?」

SEOは今でも、Webマーケティングの領域において結果を生み出す施策の1つです。しかしその結果、ついついSEO対策至上主義に陥ってしまい、SEO対策をサイトに関わるすべての行動指標の軸として考えてしまいがちです。

ですから、コンテンツやディレクトリ構造などSEOに関連して悩んだ際は、この「それ、SEOに効果なくてもやりますか?」という問いを自らに投げかけてみましょう。その結果、ユーザーのために行う必要があると判断したものは、どんなことでも積極的に取り入れるべきです。

さて、本稿ではサイト制作時に抑えておくべき重要なポイントとして、「画像よりテキストを用いること」「あくまでもコンテンツの"質"を重視すること」「サイトタイトルよりページタイトルを先にもってくること」「ページタイトルにコンテンツと整合性のあるキーワードを盛り込むこと」「モバイル対応をすること」などをあげました。これらは少なくとも必須の取り組みとして、サイト制作時に活かしていただきたいと思います。

執筆者紹介

ジオコード SEO事業部 課長 中村一浩

2009年ジオコード入社。SEO事業の技術者として活躍し、その知識欲と向上心から半年でSEOディレクターに抜擢される。その後、SEO新サービスの企画や企業全体の業務改善に取り組み、3年でSEO事業部の責任者となる。

2015年8月現在、SEOサービスの企画開発のほか、サムライファクトリーやSEO株式会社等のSEO事業の買収、「ネクストSFA」など自社サイトのSEO施策アドバイザーなど、社内外問わず幅広くSEOに従事する。