まずは製作途中から「コケるぞ、コケるぞ」といわれていたらしいジョニー・デップ&ジェリー・ブラッカイマーの新作『ローン・レンジャー』がやっぱりコケそうだという話をひとつ。

先週米国でジョニー・デップの新作『ローン・レンジャー』が劇場公開になったが、どうやら配給元のディズニーにとっては昨年の『ジョン・カーター』を上回る「超大型失敗作」になってしまいそうな暗雲たちこめる封切りとなってしまった。



『ローン・レンジャー』の公開一週目週末の興行収入(7月5~7日、推定)は2920万ドルで、同時に封切りになった『Despicable Me 2』(『怪盗グルーのミニオン危機一発』、『怪盗グルーの月泥棒』の続編)の8350万ドルとは対照的な結果になったという。

『ローン・レンジャー』日本公開は8月2日
(C)2013 Disney and Jerry Bruckheimer, Inc.

‘Despicable Me 2’ Leads Box Office as ‘Lone Ranger’ Misses - Bloomberg

『怪盗グルーのミニオン危機一発』は長編アニメ作品としては過去最高の1億4310万ドルを公開から5日間で稼いだということで、そういう大ヒット作と比べるのは『ローン・レンジャー』にとってちょっと不公平かもしれない。だが、どれほど利益を稼ぐか(あるいは、損を出すか)というのは避けて通れない問題。そしていまの勢い(の無さ)だと、この点が今後さらに取りざたされることになりそうだ。

『怪盗グルーのミニオン危機一発』日本公開は9月21日
(c)2013 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

Bloombergによると、『ローン・レンジャー』の出足は予想を大きく下回る3800万ドルで、昨年北米市場で大コケした『ジョン・カーター』に比べても100万ドルも少ないという。ディズニーは『ジョン・カーター』で2億ドルの損金計上をしていたが、今度の『ローン・レンジャー』(製作費は推定2億2500万ドル)もそれに近いような大赤字になりそうで、The Hollywood Reporterでは、赤字額が1億5000万ドルを超えるかもしれないといったアナリストの予想が紹介されていたりする。

Disney's 'Lone Ranger' Could Lead to $150 Million Loss (Analysis) - THR

ジェリー・ブラッカイマー(製作)、ジョニー・デップ(主演)といえば、いわずと知れた『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのコンビ。ディズニーとしてはこの作品で、劇場収入だけで売上累計額が約37億ドルとされる『パイレーツ~』シリーズにつづく「2匹目のドジョウ」を狙ったわけだが、1930年代にラジオで、50年代にはテレビで、それぞれ人気を博した往年の人気ドラマの焼き直しというだけでは観客は振り向いてくれなかったようだ。

Businessweekには劇場に足を運んだ観客の分析が出ているが、それによると全体の57%が男性で、25歳以上が68%を占めた一方、18歳以下はわずか16%に過ぎなかったという。やはり、使えるお小遣いが多そうな女性や子供たちに受けなければ、大ヒット作品は望めない、ということになろうか。

'The Lone Ranger' and the Curse of the Blockbuster Western - Businessweek

だからといって、いまの時代に西部劇が必ずしもダメというわけではないようだ。

Businessweekでは、コーエン兄弟の『トゥルー・グリット』(2010/ジェフ・ブリッジスやマット・デイモンなどが出演)や昨年末に米国で封切られたクエンティン・タランティーノ監督の『ジャンゴ 繋がれざる者』(出演はジェイミー・フォックス、レオナルド・ディカプリオら)など、興行的に成功を収めた作品があったと指摘している。興行の世界とはつくづく難しいものである。

追記:カニエ&キムのちょっといい話(?)

米国のメディアでは相変わらず「キム・カーダシアン」ネタが持ちきりで、今週は先月生まれたばかりのノース・ウェストちゃんの「初めてのお出かけ」が話題になっていた。

Kim Kardashian, Kanye West Take Baby North To Fourth Of July Party - Huffington Post

ところで、ノースちゃんの父親であるカニエ・ウェストが新作アルバム『Yeezus』の収録の合間を縫って、キム・カーダシアンのベビー・シャワーに参加していたことは以前に紹介した通りだが、実はその際に、カニエがキムに読み聞かせ用の本を数冊と、エルメスのマザーバッグを内緒で用意していってプレゼントしたものだから、キムが感激のあまり涙ぐむ、という出来事があったらしい。

Kim Kardashian Brought To Tears By Kanye West's Touching Baby Shower Gift - Entertainment Wise

このプレゼントに感激したあまり……かどうかは不明だが、キムはキムでその後カニエにかなり気の利いた誕生日プレゼントを贈った。アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウオズニアックのサインがそれぞれ入ったふたつのマウスというのがそのプレゼント。カニエがNYTimesとのインタビューで「次のスティーブ・ジョブズになる」と喋っていたのをキムが目にしてアイデアを思いついたかどうかも定かでないが、なんとも亭主(正確には恋人)想いなプレゼントである。

Kim Kardashian Gives Kanye West a Steve Jobs-Signed Apple Mouse - ABC News

この話にはさらに続きがあって、キムは6月半ばにあったノースちゃんのお披露目の会にもウオズニアックを招待し、おかげでカニエはウオズニアックと約2時間も話をすることができたらしい。

Apple Founder Describes Visit with Kanye, Kim and Baby - ABC News

ウオズニアックは詳しいことを明らかにしていないが、カニエは自分のビジネスに関する壮大なアイデアなども語ったようだ。またカニエはそうした計画の実現にかなり本気なようで、「あるやり方でイメージを思い浮かべると、どんなことでも実現できる」("when you "visualize yourself in a certain way" that anything can happen")などとウオズニアックに漏らしていたらしい。