"英語の思考"で書く難しさ

ソフトウェアに関連する仕事をしていると、英語に触れる機会は比較的多いとはいえ、ライティングはどうでしょうか? おそらく、ちょっとしたメール以外に正式なライティングが必要になるケースはほとんどないでしょうし、一番苦手とするところかもしれません。一方、米国社会ではライティングはとても重要で、ライティングの能力があれば人生が開けるといってもいいくらい、会社内でライティングが重視されているようです。とくに重要なのがbusiness Letterで、仕事探しでも、何かの依頼でも、苦情も、宣伝も、あらゆる場面でletterが活用されています。今回はBusiness letterを例に、少しでも英文らしいライティングに取り組む話をします。

「英文らしいライティング」は本当に難しいです。私は2年近くもの間、英文ライティング、主にessay(エッセイ)と呼ばれる形式のライティングをかなり厳しい学校で勉強してきましたが、試験でよい成績をとれるようになるにはまだまだ訓練が必要です。

とくに難しいのはorganization(構成)とcoherency(一貫性)です。thesis(テーマ)を明確に訴えられる複数の効果的なトピックでうまくparagraphsを構成し、各paragraph間、またparagraphの中のsentencesすべてがcoherentにgapがない、wrought(精巧)な状態で書かれていないといけません。また、それぞれの文章は誰が読んでも誤解なく、明解に理解できるようになっていないといけません。

英文ライティングに慣れていない人はoff-topic(テーマからずれている)やconfused sentence(支離滅裂な文)などの注意を受け、低い評価になってしまうこともよくあります。語彙力や英文法も大切ですが、どちらかというと考え方や言い方の順番などを英語の頭に切替えて文章を書くことのほうが難しいのです。試験ではさらに所定時間内に所定の長さ(レターサイズで2ページ半以上)を書き終わらせて、proofreading(校正)もしなければならないので大変です。

ただし、読者の方々の場合、このようなエッセイを要求されることはかなりまれだと思いますので、もっと実際的で簡単なbusiness letterを手始めに英文ライティングに慣れていくといいでしょう。

まずは形式 - フォーマットに従っていないletterはbusinessでは通用しない

Business letterは単に失礼のないように丁寧に書けばいいだけではなく、細かく決められているフォーマットに従って書くことが大切です。

たとえば、すべての行を左詰めにする「full block format」はSample Business Letters - Full Block Components、センタリングやインデントなども行う「modified semi block format」はSample Business Letters - Modified Semi-Block Compomentに詳しい説明があります。このように、どういう順番で、どの行間をどのくらい開けるのか、など、規定通り守り、正確に文書を作るのがbusiness letterです。英文ライティングではエッセイでもフォーマットを指定されることが多く、指定通りに書かないと減点の対象になることがあります。

Business letterの規定に従えば、差出人の住所/電話番号など、日付、宛先の住所/電話番号、salutation(はじめの挨拶)、本文、挨拶、サイン、差出人の名前の順番で書いていきます。それぞれをどのように書けばいいかはOnline Technical Writing:Exampls, Cases & Modelsの、たとえば「Complaint Letters」の例をひとつ選ぶと詳細な説明がありますので、ぜひご覧になってください。この順番は電子メールの場合でも同様です。いきなり「Dear Mr./Ms. ○○:」と始めるのではなく、まずは差出人、日付、宛先を書くところから始めましょう。

compliant letterのほかにも、消費者として知っておくべきリソースが盛り沢山な"FCIC"

Business letterといえば、レジュメと一緒に出すcover letterが有名ですが、今回は実際に書きそうな手紙、complaint letter(苦情の手紙)の例で本文の書き方を詳しく見てみましょう。先ほどのOnline Technical Writing:Examples, Cases & Modelsにある"complaint letter, Printer problems"を開いてください。本文はいくつかのparagraphsで構成されていますが、introduction, 状況説明、やってほしいことの主張、締めの言葉というのが一般的な構成です。このような手紙は頻繁に書かれているようで、FCIC(Federal Citizen Information Center)というサイトには便利なテンプレートもあります。これがあれば楽ですね。

そしてbusiness letterの場合、本文はsuccinct(簡潔で正確)に書くのがよいとされています。ただし英語圏ではない人が書く場合は、文章が短くなりすぎてconfused sentencesになりがちなので、長めの説明文を心がけてちょうどいいくらいかもしれません。本文を書く場合の注意点についてはインターネットで検索すると、多数のサイトで紹介されていますが、Purdue大学のOWL(Online Writing Lab)にあるBusiness Letters: Accentuating the Positivesが参考になります。ポイントは相手を非難するのではなく、正統性を主張し、どうしてほしいかを明確にすることでしょうか。このPurdue大学のOWLは英文ライティングには欠かせないサイトで、参考になる情報が英文法も含めていろいろ掲載されています。OWL(ふくろう)は賢さの象徴でもあるので、ぴったりのネーミングですね。ぜひ、ご覧ください。

以上で、complaint letterの流れが頭に入ったでしょうから、実際に何かの苦情を想定して英文の手紙を書いてみてください。「さあ、英文を書くぞ!」とあてもなく始めるよりはずっと楽しいのではないでしょうか。

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