どこでもサイエンス恒例の宇宙備忘録。予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察または参加できる、楽しめる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。今回は、平成から新元号またぎの 2019年3~6月分をば。盛りだくさんです。
3~4月
明け方に金星、木星、そして土星
明け方の空に、明るさNO.1の金星、NO.2の木星、そして明るさは並ながら有名な土星が見えていますよ。
金星は「ダントツに明るい」のですぐわかります。木星も明るいのでわかると思いますが、問題は土星です。実は、金星のすぐ近くにあるのですが「肉眼では環は見えない」ので、ちょっと悩むところです。
そんなときに役に立つのが月でございます。月ならわかるよねー! 月は地球をめぐるため場所を変えていきますが、その経路は、必ず、金星や土星のような惑星のそばを通るのでございます。
ということで、それぞれ、惑星に接近する日を6月ぶんまでのせておきますねー。まずは3月2日早朝の土星と3日早朝の金星からチェックでございます。早起きすると、惑星に会えますぞ。
月 | 金星(明け方) | 木星(夜中すぎ) | 土星(明け方) | 火星(夕方) | 水星 |
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3 | 3日 | 27日 | 2日、29日 | 11日 | - |
4 | 2日 | 23~24日 | 26日 | 9日 | - |
5 | 2日 | 20日~21日 | - | 8日 | - |
6 | - | 17日 | - | 6日 | - |
表 月と惑星が接近する日。―は、太陽に近すぎて観察が難しい |
北斗七星がベストシーズン
七つの星が「ひしゃく」「スプーン」の形にならぶ北斗七星が、6月くらいまでベストシーズンでございます。ちょっと郊外、都心から10~15kmはなれた郊外の住宅地ならすぐにみつかりますよー。前に東京ディズニーリゾートでも見えていましたなー。
業界マニアックニュース - PCソフト ステラナビゲータがバージョン11に
本稿の北斗七星やあとの南十字星の星の地図(星図)は、アストロアーツ社のステラナビゲータで作成しました。このステラナビゲータは長らくバージョンアップされてなかったのですが、この3月下旬にバージョン11が発売になるそうです。
説明を読んでも、マニアックすぎて意味がわからない人が多いかもしれません。1万5000円(税別)の専門ソフトですが、天文ファン御用達ですし、私のような天文系キュレーターには、本当に便利なソフトでございます。
宇宙探査ネタ
日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が話題ですね。
いよいよタッチダウン…は、この記事が出る直後2月22日の予定でございます。結果は…どうでしょうか。うまくいくといいのですが。かなーり慎重にことを運んでいるようでございます。
そして、3月~4月は、通常のタッチダウンの次で弾丸を撃ち込んで、地面を掘り、露出した内部の物質を採取する(4~6月)予定でございます。ニュースを追いかけるのは、マイナビニュースの「はやぶさ2まとめ」は、マジ便利でございます。
ロケット打ち上げ関係は、もう追いかけきれないくらいですね。その中でも大物というと、3月15日に予定されている。国際宇宙ステーションへの乗員送り込みでしょうか。昨年10月に事故を起こしたのですが、脱出カプセルを射出するような重大事故の2か月後には打ち上げを再開。ロシア、粛々とやりますね。日本なら5年とかできなくなるレベル。アメリカもスペースシャトル チャレンジャーの事故(あれは7人も亡くなっていますが)のあと、3年近く、打ち上げが中止されました。
宇宙関係施設ネタ - 主にプラネタリウム施設のリニューアル
キッズイベントです。3月25日~5月31日まで、東京近郊のよみうりランドで「月面キッズキャンプ」というイベントが行われます。VRによる体験、SCRATCHを使ったプログラミング教室などJAXAも協力してのキッズイベントです。遊園地で宇宙ってのも楽しそうですなー。
3~4月は、年度末/年度初めということで、公共施設のリニューアルオープンがよくあります。ピカピカ最新鋭の施設は、やはり一味違います。ぜひチェックされては。いかがでしょう。なぜか、調べていたら、西日本のプラネタリウムの情報がやたら目立ちますねー。
3月2日:和歌山市立こども科学館
プラネタリウムがリニューアルオープン。2018年、東京にできた、プラネタリア東京と同じコスモリープΣという最新鋭機がお目見えします。
3月12日:宮崎科学技術館
宮崎科学技術館はオープン時には、世界最大だったプラネタリウムがあります。今回、機器更新だそうです。あまり宣伝をしていないので、マイナーチェンジなのでしょうか。
3月27日:倉敷科学センター(岡山県)
プラネタリウムがリニューアルオープン。この施設は美しい天体写真や人工衛星の予報で有名な学芸員の三島さんが勤める施設。どんなリニューアルになるか楽しみですね。
3月30日:大阪市立科学館
プラネタリウムと展示場がリニューアルオープン。展示場は天文コーナー中心のリニューアルということで、楽しみですなー。プロジェクションマッピングも使うということですが、はやぶさ2の展示とかあるんでしょうかね。
4月:さぬきこどもの国(香川県)
スペースシアターが機器更新。詳しいことは書かれていませんが、新鋭機に更新でしょうね。
4月末:松本市教育文化センター(長野県)
プラネタリウムリニューアル。「オルフェウス」という名前のプラネタリウム機器が入るもよう。デジタル化の先鞭を切った施設ですが、アナログの機器を入れることになったのですね。
3月で長岡市青少年文化センター(新潟県)が閉館
さびしい話題ですが、長年地域の子供たちに、科学についても紹介してきたセンターが閉館だそうです。3月はプラネタリウムが無料開放だそうですので、近くに行くことがあればぜひ訪れてはと思います。プログラムを見ると、地域の高校生なども一緒に番組を作ったりしているんですねー。みんなでサイエンスを楽しんでいるその芽、どこかで引き継いでほしいなー。
そういえば4月30日で、平成が終わりますな。さて、次の元号は、「宇宙」ってことにはなりませんよね。そうなれば、宇宙暦XX年とかいえるのでございますが。
5~6月
5月8日:みずがめ座エータ流星群が極大
南半球では、よく見える流星群です。よく見えるというのは、たくさん流れ星が見えるということですな。ただ、北半球では観測条件が悪いのでございます。夜明け前に見えますので、大型連休の後にむしろ休みが取りやすい方は、田舎で早起きもよいかもしれませんなー。
南十字星がベストシーズン(ちっちゃい&そばに2つ星がある)
日本ですと、沖縄のほうまでいかないと全体が見られませんが、実は5月がベストシーズン。大型連休で海外という方は、南十字星を狙ってみてください。シンガポールやオーストラリアなら楽勝ですが、ハワイあたりだと、ギリギリなのでピンポイントでみるべしです。ホノルルのワイキキは南向きなので、オーシャンビューならホテルの窓から見えますぞ。
なお、図は北斗七星と同じ縮尺なんですが、南十字星はすごく小さいです。そして、そばに2つ明るい星(ケンタウルス座のα星とβ星)があるのがめじるしでございます。
6月19日:火星と水星が接近、24日に水星が夕空に見える
夕方の空に見えます。すごく接近するので、見つけられればすぐわかるのですが、なにしろ低空で暗く見えるので双眼鏡が必要かなというところ。うーん、マニアックネタが続きますねー。
なお、水星はそこそこ明るい星で、西の空が澄み切っていれば「あれなんだろ」くらいに見えます。梅雨時でボヤーっとしているか、あるいは雨が空気をきれいにした晴れ間か。晴れたら24日前後に、西北西の空の妙に明るい星を探してみてください。水星を見ないで一生を終えた天文学者にはコペルニクスがいるくらいです。
宇宙開発ネタ
元ネタとして、SPACE FLIGHT NOWというサイトをよく見ているのですが、もう、ホント、ロケット打ち上げは日常になっていますね。
宇宙探査ということだと6月にロシアが打ち上げ予定の、「Spektr-RG」というX線天文台がちょいと注目ですな。ドイツとロシアが共同して、X線で宇宙をスキャンし、ナゾであるダークエネルギーやダークマターが宇宙のなかでどう変化してきたかをさぐるのだそうです。とりま。なかなかカッコイイ衛星ですな。実用衛星とは一味違うぜ。
では、引き続き、楽しんでまいりましょー。
著者プロフィール
東明六郎(しののめろくろう)科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。