ブームは去ったかのようにも感じる「仮想通貨」ですが、その普及は世界中で着実に進んでおり、今後もさまざまなシーンでの活用が期待されています。本稿では、「仮想通貨に興味はあるけれど、なにからどう手を付ければいいかわからない」というような方向けに、仮想通貨に関連するさまざまな話題をご紹介。仮想通貨を2014年より保有してきた筆者の経験から、なかなか人には聞きにくい仮想通貨の基礎知識や歴史、未来像などもわかりやすくお伝えします。

今回のテーマは、「仮想通貨の代理店ってなに?」。

  • 仮想通貨の代理店ってなに?

    仮想通貨の代理店ってなに?

仮想通貨の代理店や販売代理店とは

「代理店とは」とインターネットで検索してみると、「特定の会社と契約を結び、商取引の代理や仲介をする商店」という定義が出てきます。仮想通貨の代理店も同様で、いわば仲介業のことです。

仮想通貨の代理店や販売代理店は、

・独自の仮想通貨を開発しているわけではない
・仮想通貨取引所を運営しているわけではない
・仮想通貨の保守管理をしているわけではない

と言えるでしょう。なかには上記のような仮想通貨関連事業と代理店を兼業していることもあるかもしれませんが、代理店業(仲介業)のみ行っている方が多いように思います。

仮想通貨の代理店や販売代理店の収入源は、仮想通貨の販売によって得られる販売手数料が主です。販売手数料は、仮想通貨の開発・発行・運営などを行っている会社から受け取る報酬のことです。

紹介料・コミッションやキックバックなどと呼ばれることもあるでしょう。もしくは、仲介手数料として仮想通貨の購入者(投資家)から手数料を得ていることもあります。購入者(投資家)には「手数料はいただきません」と言っていても、開発・発行・運営などを行っている会社から受け取っていることが多いでしょうね。

仮想通貨取引所や販売所との違いは?

仮想通貨取引所とは、一言で言えばマッチングサイトのことです。仮想通貨を買いたい人と仮想通貨を売りたい人を仲介するサイトですね。詳しくは、第2回の記事をお読みいただければと思います。

仮想通貨販売所では、取引所のように買いたい人と売りたい人を仲介するのではなく、販売所自体が売り主になります。仮想通貨の在庫を抱えて、仮想通貨を買いたい人に販売するのが販売所です。

仮想通貨の代理店・販売代理店の場合、販売所のように在庫を抱えるようなことはしないでしょう。取引所のようなマッチングサイトを開発することもないと思います。つまり、代理店は在庫を抱えたり、サイトを開発したりといったリスクを負いません。始めようと思えば、ほとんど初期投資する必要もリスクもなく始められるということになります。

そもそも「代理店」ってなんなの?

「代理店」と聞くと、広告代理店や保険代理店などが思い浮かぶかもしれません。広告代理店も保険代理店も、代理店自体がなにか商品を開発しているわけではありません。商品開発は特定の会社が行い、その会社と契約を結び、商取引の代理や仲介をするのが代理店です。

広告代理店の場合は、制作会社やPR会社、スポンサーを探している会社などをつなぎ、コーディネートするのが主な仕事です。総合プロデューサーのような立ち位置ですね。

保険代理店の場合は、保険商品を開発するのは保険会社です。その保険会社と契約を結び、販売や顧客対応を行うのが保険代理店ということです。

価値ある仲介者しかいらない

代理店は仲介業のことですが、印象の悪い言葉で表現すれば「ブローカー」です。ブローカーは日本では悪意のある言葉という印象ですが、海外では特に悪い言葉というわけではありません。

言葉から受ける印象は人によってさまざまですが、仲介業・ブローカーは真っ当なビジネスですし、必要な存在だと思います。しかし、それは価値ある仲介者に限ります。

「売ったらあとは知らんぷり」「手数料をなるべく多く取ってやろう」「高く売りつけてやろう」というタイプの仲介者なら必要ないですし、本当に迷惑なだけの存在だと思います。

私が関わっている仮想通貨や海外不動産の世界は、悪徳ブローカーという感じの人が極めて多く存在します。ICOが流行った時期はこのタイプの人が数多くいました。その多くは、ネットワーカーです。

「新しく開発する仮想通貨を今なら底値で買える。私は特別に代理店契約をしている」と営業したり、なかには「元本保証します」「買値のプラス●%で買い取り保証します」などと謳ったりしている人もいました。元本保証という言葉を使ってしまっている時点で違法ですし、買い取り保証や利回り保証がしっかり履行されたという話は、ほとんど聞いたことがありません。

こういった悪徳ブローカータイプの人が横行するのは、仮想通貨や海外不動産業界にとって本当に不利益で迷惑なことだと思います。「商いは牛の涎」と言いますが、ビジネスは細くても長く続くことの方が有意義でしょう。目先の大きな利益よりも、長期的な視点で物事は考えたいですね。仮想通貨投資も全く同じだと思います。

次回は、「ブロックチェーンのノードってなに?」についてご紹介します。

執筆者プロフィール : 中島 宏明(なかじま ひろあき)

1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。
現在は、SAKURA United Solutions Group(ベンチャー企業や中小企業の支援家・士業集団)、しごとのプロ出版株式会社で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。監修を担当した書籍『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』が発売中。