「CRM」の役割を再確認

「今さら」と思われる方もいるかもしれないが、「CRM」とは「Customer Relationship Management」の略だ。つまり「顧客との関係を管理する」ものということになる。この「関係」の部分が大切なキーワードなのだが、「CRM」に馴染みのない人には見逃されがちだ。

「関係」というキーワードを無視すると、「顧客管理」という言葉が先だってしまう。「あなたの会社はCRMを行っていますか?」という問いに対し、「CRM専門のツールは使っていないけれど会計ソフトがあるから大丈夫ですよ」という回答が返ってくるのは、この勘違いによるものだ。

よく考えてみよう。会計ソフトで管理できるのは、取引先の基本情報と入出金履歴だ。今月の入金予定や来月の入金見込みは確認できても、1年後の入金見込みまではわからない。また、見積書が発行される前段回でどういう商談が進められているのか、現在進行しているプロジェクトはどういう内容のものがいくつあるのかも知ることはできないだろう。

CRMでは、このような具体的な形になっていない顧客との関係を管理できる。例えば、パンフレットの取り寄せに関する連絡が来たかどうか、しばらく商談が成立していない顧客とどの程度関係が維持できているかなどもチェック可能だ。ここ2年間入金のない取引先が「社内の誰もアクセスしていない」あるいは「ほぼ絶縁状態にある」はたまた「毎月挨拶はできていて互いに機会があればすぐにでも商談が進みそうな状況にある」といった状況は会計ソフトから知ることはできないのだ。

手軽に誰でも使える「CRM」なら「Zoho CRM」

なぜ顧客との関係を管理するのかと言えば、小さなやりとりの積み重ねの中から顧客のニーズを察知して、ビジネスの発展につなげるためだ。

例えば、午前中に電話をするといつも留守だけれど、午後電話すれば比較的長く話しをしてくれる担当者がいたとする。午後に電話すればつながるということが社内で共有できれば、連絡のムダは少なくなるし、先方にとっても折り返し電話する手間が省けるし、「あの会社はいつもタイミングがいいな」と好印象になるだろう。

顧客との雑談の中で、最近気になっていると聞いたものがメモしてあれば、新たな商材を手がけることになった時にいち早く紹介できる。逆に顧客の声から、ニーズのある商材を生み出すことも可能かもしれない。

前回の商談が契約に至らなかったとしても、それに至る経緯や担当者の分析コメントが残っていれば、次のプレゼンテーションや企画立案に役立つはずだ。それ以外にも、相手先の担当者は誰なのか、元はどの部署にいた人なのかといった細かな情報も管理しておけば会話に役立つ。

しかし、こうした効果を出すにはスタッフ全員が情報を入力できる環境が必要だ。「操作が難しいからPCが苦手な人は使いたがらない」「外出がちなスタッフは1週間分まとめて入力するので細かい情報は忘れられてしまう」といった状態では意味がない。では、どうしたらよいのかと言えば、誰でも簡単に使えて、出張先や自宅からでも入力できるものを選べばよい。

この要求にこたえるのが「Zoho CRM」だ。クラウドサービスだからどのPCからでも使えるのはもちろん、インターネットにつながったPCさえあればどこからでも情報を入力できる。出張先のホテルでも、出勤前や直帰した後の自宅でもOKだ。さらに、スマートフォンでも情報をチェックできる。移動中の隙間時間も有効に活用できるから、ムダなくビジネスを進められるだろう。

しかも、利用料金が安い。3人までの小さなグループで使うなら無料だし、有料アカウントを利用する場合も大手CRMソリューションなどとは比べものにならない価格だ。

大量に情報が登録されても、更新された情報だけがすぐわかる「パルス」機能も用意されている

スマートフォンからも情報が利用できるから外出先でもスムーズに活用可能だ

小規模でもビジネスをしていれば「CRM」は生きる

ここまでの紹介で「うちの会社は小規模だから、CRMは必要ない」と考えた人がいるかもしれない。しかし、それは誤解だ。確かに地元密着型の小さな商店などの場合、常連客の顔や好み、住んでいる場所から家族構成、会話内容までが店主の頭に入っているかもしれない。しかし、それを従業員にまで徹底することはできるだろうか。

家族経営の小さな店だったとしても、途中から手伝うようになった子世代には親世代と同じ情報は伝わらない。それを徐々に積み上げてこそプロだと考えるかもしれないが、うまく共有できれば顧客にとっては自分のことをわかってくれる店の人が増えることになり、店に対する好感度も高まるはずだ。それには、店主の頭の中をそのまま閲覧できる「CRM」が必要になる。

システムを利用すれば、人が頭で覚えておくよりも多くの情報が保存・確認できるようになるから、これまでの常連客よりも来店頻度が少なかったり、目立たなかったりといった顧客でもしっかりと認識できるようになり、常連客のように扱うこともできるだろう。ビジネスの幅を広げるのに役立つはずだ。

1人でビジネスをしている人にも「CRM」は利用価値がある。ビジネスに関するあらゆることを記録しておけば、忙しさにかまけて請求書を発行し忘れることもなくなるし、しばらく連絡をとっていなかった取引先から久々に連絡をもらった時にすぐ前回に会った場所や会話などを引き出すことができる。「Zoho CRM」なら、小規模ビジネスの場合は無料版で足りてしまうかもしれない。

また、企業に勤めているビジネスパーソンが個人で使っても「Zoho CRM」は利用メリットがある。顧客情報が十分に管理できていないと感じているならば、「自分の顧客」の情報を整理し、活用するために無料版でスタートしてみるのもお勧めだ。

Zohoが発信しているユニークな使い方の例には、個人が「婚活」に使う方法まで含まれている。初対面の人の印象を記録しておくのが「新規顧客登録」であり、合コンで連絡先を交換した事実が「リード」となり、軽くデートした相手は「見込み客」という具合に、ビジネス用語を読み替えればおもしろい使い方ができてしまう。工夫次第でどんな環境にも活用できる「Zoho CRM」に触れてみよう。