「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回のテーマは「株価が10倍以上に大化け! テンバガー銘柄の探し方」。

  • 株価が10倍以上に大化け! テンバガー銘柄の探し方

テンバガー銘柄とは?

「テンバガー銘柄」とは、ウォール街で生まれた言葉で、株価が10倍以上に達した大化け銘柄のことです。「テンバガー」「テンバガー株」と呼ばれることもあります。もともとは、1試合で10塁打という驚異的な数字をあげることを指す野球用語だったと言われています。

日本の市場に上場する3,500以上の銘柄からテンバガー銘柄を見極めるのは簡単なことではありませんが、毎年15銘柄程度はテンバガー銘柄が誕生していますので、意外と身近な存在でもあります。

例えば、ユニクロやGUを展開するファーストリテイリングもテンバガー銘柄のひとつです。他にも、スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」を手掛けるガンホーは、2012年5月の安値140円から、2013年5月の高値1万6,330円まで約117倍に上昇しています。

2018年にテンバガー銘柄となった上場企業には、「エムティジェネックス」(安値:2月13日1,921円、高値:9月25日4万5,950円、倍率:23.9倍)、「ALBERT」(安値:2月6日1,200円、高値:11月29日1万6,730円、倍率:13.9倍)、「オウケイウェイヴ」(安値:1月4日600円、高値:5月7日8,060円、倍率:13.4倍)があります。

また、2019年には「レアジョブ」(安値:1月4日217円、高値:12月2日3,125円、倍率:14.38倍)、「ホープ」(安値:1月4日900円、高値:12月13日1万1,400円、倍率:12.66倍)がテンバガー銘柄となりました。

テンバガー銘柄はベンチャー市場に多い

テンバガー銘柄になっている企業はベンチャー(新興)市場銘柄が多いため、JASDAQやマザーズ、東証2部の銘柄に注目すると良いかもしれませんね。

時価総額が小さい低位株であり、時代のトレンドに乗っている企業であれば、10倍に化けるかもしれません。2020年は、テレワーク関連の企業やバイオテクノロジー関連の企業の株価が上昇しています。

テンバガー銘柄を狙うメリットには、短期間で株価の大幅上昇が狙えることや少額からでも投資ができること(分散投資ができること)などがあります。

一方で、大幅上昇が狙えるということは価格変動の幅が大きい(ボラティリティが高い)ということですから、1日のうちに20%程度の価格変動は想定しておいた方が良いでしょう。株価に一喜一憂しないマインドを持つことも大切です。

覚えておきたい「ROIC」(投下資本利益率)という指標

また銘柄探しの際には覚えておきたい指標があります。「ROIC」(Return on Invested Capital)、日本語にすると「投下資本利益率」と言います。

投下資本利益率とは、企業が事業活動のために投じた資本(IC)に対して、本業でどれくらいの利益を出せたかを測る指標です。ROICの数字は高い方が良い、ということになります。「調達した資金を元に、どれだけ効率的に利益を生めているかを測るための指標」と覚えておくと良いでしょう。

ROIC(投下資本利益率)=NOPLAT÷投下資本(IC)※

企業価値を測るための指標は数多くありますが、有名なROA(総資本利益率)やROE(株主資本利益率)と並ぶ資本効率性指標のひとつがROIC(投下資本利益率)です。ROICは、ROAやROEに比べて企業価値との関連性が高いとされています。

とは言え、ひと口に「企業」と言っても実に様々な業界・業種があります。一つの指標で業界・業種を問わずすべての企業を一緒くたに測ることはできません。資本を必要としないIT(AI、テクノロジー)の会社などはROICが当然高くなるでしょうし、資本が多額に必要な製造業などはROICは低くなるでしょう。

日・米の上場企業の財務分析・ファンダメンタル分析を効率的に行なえるバフェット・コードというツールによると、業界別のROICの平均は、サービス業で7.3%、不動産業で4.1%、建設業で8.7%、保険業で8.2%、倉庫・運輸関連業で3.2%、卸売業で3.2%、小売業で6.5%、情報・通信業で8.8%、証券・商品先物取引業で2.4%、銀行業で3.8%などとなっています。

2020年3月期にROICランキングで第1位となったのは、値段比較サイト運営のカカクコムでした。カカクコムのROICは45.3%と驚異的な数字です。

他にも、ROICランキング20位の大成建設のROICは13.6%です。大成建設は新国立競技場の建設を担当した大企業で、「必要な建設資材や重機を多く保有しているのでは? そうなると、ROICは低くなるのでは?」と感じるかもしれません。

しかし、自社では建設に必要な資産をほとんど保有しておらず、自社で保有しているのは現場を指揮する現場監督だけです。資産規模が少ない「持たない経営」は、ROICを大きく引き上げます。

※NOPLATとは、税金を引いたあとの営業利益のこと。「営業利益」×(1-税率)で求められる。投下資本(IC)は「株主資本」(純資産)+「有利子負債」で求められる。

ROICが高い注目の企業

ちなみに第2回の連載記事でインタビューさせていただいたシノケングループは、ジェイ・フェニックス・リサーチ社が2020年10月に発表した比較類似会社におけるROICランキングで第1位(ROIC 11.6%)になっています。

シノケングループの他には、「GA technologies」(ROIC 9.3%)、「日本エスコン」(ROIC 8.9%)、「エフ・ジェー・ネクスト」(ROIC 8.1%)、「スターツコーポレーション」(ROIC 7.7%)と続きます。

シノケングループはアパートメント経営のイメージが強く、上記のROICランキングでも「マンション開発・分譲/不動産仲介」にカテゴライズされていますが、不動産セールス事業や不動産サービス事業、ゼネコン事業の他にも、エネルギー事業やライフケア事業などを行っています。

「世界中のあらゆる世代のライフサポートカンパニー」というビジョンを掲げていますし、ミッションは「REaaSで人々や社会の課題を解決する」と定めています。既存事業における信頼と実績を活かしつつ、REaaS構想を掲げ、大きな変革期にあるのではないでしょうか。不動産業界はまだまだアナログでIT化・DX(デジタルトランスフォーメーション)が遅れていると言われていますから、伸びしろは大きそうですね。

どんな企業がテンバガー銘柄になるかはわかりませんし、未来のことは誰にもわかりません。投資には自己責任の原則がありますから、様々なリスクを正しく認識したうえで自分自身の判断と責任に基づいて行う必要があります。自分で学び、自分で考えて判断し、自分で責任を取るのが投資の原則です。テンバガー銘柄誕生の可能性に夢を馳せつつ、目利き力を高めて、投資のマイルールを確立したいですね。