幼少期から熱血ドラマオタクというライター、エッセイストの小林久乃が、テレビドラマでキラッと光る"脇役=バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。

第51回はタレントの原田泰造さん(ネプチューン)について。1週間で彼が出演している番組を思い返すと、演技をしている様子も、芸人としてバラエティ番組に出ている時も楽しそうな原田さんが浮かんできます。凡人に想像のつかないような大海原の芸能界だけど、彼はすごく気持ち良さそうに回遊しているように見えた印象をつらつらと。

俳優、お笑い芸人ともに一線級のポジション

原田泰造

舞台は神奈川県警察学校。同期、同部屋としてともに警察官を目指す本間快(中島健人)と一ノ瀬次郎(平野紫耀)は学生でありながら、様々な事件に遭遇して解決。そして二人にとって難関の事件となる、警察学校の立てこもりに立ち会うことになる……。

と、いうのが『未満警察 ミッドナイトランナー(以下、未満警察略)』のあらすじである。今クールは数多く放送されている"バディもの"の中でも、特に若手と言われる二人。ドラマタイトルにふさわしく、未満=若々しいビジュアルが大変すばらしく、女性には何かと目の保養ドラマとも……。原田さんはこの警察学校と同じ地区にある大黒署の刑事・柳田晋平を演じている。

前述の本間快と一ノ瀬次郎の前には、テレビドラマらしく次々に難事件が降りかかってくる。正義感から事件解決に向かおうとするけれど、警察官未満の二人にすべてを消化できるわけがない。そこにいつもめんどくさそうにしながら登場するのが柳田だ。どこも二人に事件解決のヒントを与えたり、事件に関わりたそうにしている二人を上手に誘導する。また彼も解決に導きたい過去の事件を抱えていそうだ。

原田さんにはエリートではなくて、柳田のような現場の刑事から漂う哀愁がよく似合う。以前、出演した『コントレール~罪と恋~』(NHK総合・2016年)で見せた、佐々岡滋役もそうだった。被害者家族の女性を好きになり、恋心を隠しながら彼女のもとへ通う様子は切なくて、すごく心に染みた。もちろんドラマオタクとして各所で演技を見ていたけれど、この作品で見た原田さんは色っぽかったことを鮮明に記憶している。

私たちにとって永遠"はっぱ隊"である

朝ドラ『ごちそうさん』(NHK総合・2013年)で、演じた主人公の父親役・卯野大五のような江戸っ子気質の明るい性格もいい。彼のイメージそのままが反映されている。そう、原田さんはめちゃくちゃ明るくて面白いのだ。

グループではずっと"ボケ"を担当。バラエティ番組では、天然なのか本気で笑いを取りに行っているのか分からないスレスレの雰囲気で笑わせてくれる(敬意を込めて)タイゾーだ。私からすると、昔『笑う犬』(フジテレビ系)の葉っぱ隊で笑わせてくれた頃から、ほとんど印象が変わらない。

そもそも天然であることはもちろんとして、人を笑わせる力があるのは、大きな魅力であり財産だと思う。どんなに時代が変わっても笑顔があるスペースに、人は吸い込まれていくし、何よりも簡単に手に入る力ではない。お見合い番組に出てくるセレブの男性たちが持つ資産よりも、はるかに価値が高い。

そんな大きな力を原田さんは持っている。さらに別人を演じることもできる。

野球選手から連想すると、そんな二刀流の生き方は特別な人物に与えられた天性であり、大変そうにしか見えない。でも原田さんが大きな口を開けて笑いつつも、時にはシュールな姿……とテレビ番組で繰り返しギャップを披露して、楽しそうにしていると、二刀流の生き方に親近感を感じてしまうではないか。