バーコードの歴史に深く興味を持った筆者は、文献を紐解いてみた。資料によると研究は今から66年前となる1948年から始まったという。米ドレクセル大学の大学院生バーナード・シルバー氏は、商品の情報を読み取る仕組みはないかと、スーパーマーケットチェーン「フードフェア」の社長が悩んでいることを耳にしたそうだ。早速シルバーは友人のノーマン・ジョセフ・ウッドランド氏と試行錯誤を重ね、モールス信号からインスピレーションを受けた"元祖バーコード"の形成にいたった。

国立アメリカ歴史博物館(National Museum of American History)のWebサイト。キャッシュレジスタやデスクトップ型電子計算機からリンカーンのトップハットなど、米国の歴史や文化をWebからも見られる。

翌年の1949年10月に申請を行い、3年後の1952年10月には晴れて米国特許の1つに加わった。なお、前述のフードフェアは1967年にバーコードを導入し、1970年代まで規模を拡大し続けたということだ。

その後ウッドランドは大学からIBMに席を移し、研究を続けたが結局は断念。最終的には食料品業界の業界団体であるGS1(Global Standard One:多数の企業が参加していた)が定めたUPCコード(Universal Product Code)を標準とし、米国で一般的に使われるようになった。

ちなみに、最初にバーコードで購入された商品は、1974年6月のフルーツガムというのがいかにも米国らしい。そのガムは現在でも国立アメリカ歴史博物館に展示されていることから、米国人はバーコードの誕生を歴史の1つと捉えているのだろう。