Alibabaが2009年に開始した、11月11日「独身の日」商戦が今年で7年目を迎えました。驚異的な成長を続けてきた毎年恒例のこのお祭りは、7年経っても衰える気配を見せません。Alibabaの公表によると、24時間の取引額は前年比59.7%増の912億1700万元(143億1000万米ドル)にものぼり、2014年のサイバーマンデーの20億4000万米ドルなど比較にならない規模です。

このオンラインショッピング祭りは、今のところ主に中国に限定されていますが、その影響は徐々にアジアや他地域にも広がっています。Alibabaの成功を受けて、他国のEコマース大手も中国の賢い消費者の動向を見つつ、停滞気味のローカル市場での売上を伸ばそうとしています。

早くから始まるキャンペーン

消費者の奪い合いは、11月11日よりずっと前から始まっていました。

モバイルショッピングが売上を牽引している中国では、ショッピングアプリがユーザーエンゲージメントの新たな主戦場となっています。AlibabaのTaobaoやTmall、およびその競合など、Eコマース大手のアプリを手がけるパブリッシャーは、11月11日のセールに向けて消費者の関心を引くために、アップデートを数週間前から実施しました。また、「11.11」の日付がすべてのアプリのアイコンに追加されたことは、来たるイベントに向けて注目を集めました。

昨年、人気ショッピングアプリは11月11日が近づくとダウンロード数の増加が見られましたが、iOSに新たに追加された「ショッピング」カテゴリーでも同様でした。『Store Stats』を見ると、TmallのiOSにおけるダウンロード数ランキングは、11月11日までの数週間に急上昇しています。同アプリは10月末50位台でしたが、11月11日前には2位まで上昇しています。

11月11日当日には、中国のiOS App Storeの無料アプリ上位6つのうち、5つ(JingdongとSuning.comを含む)が「ショッピング」カテゴリーのアプリとなり、この「独身の日」がいかに中国の消費文化に浸透しているかがわかります。

ソフトバンクがAlibabaの戦略を日本で応用

Alibaba Groupの筆頭株主であるソフトバンク傘下のYahoo! JAPANは、日本で「いい買物の日」というショッピングイベントを提携各社と開催しました。日本語で「11」と「いい」をかけたこのセールは、明らかにAlibabaの戦略を参考にしたものです。

Alibabaの世界展開

Alibabaにとって、今後の成長のカギは中国の外にあるかもしれません。例えば、中国のローカル販売業者を国外の積極的な消費者と結びつけるAliExpressもまた、11月11日商戦の波に乗っていますが、同サービスはすでにスペインやロシアなどで人気を得ています。ロシアでは11月11日に現地小売業者の一部にプラットフォームを解放するなど、AliExpressは中国以外の主要市場にも着実に進出を果たしています。『Store Stats』で見ると、同アプリのダウンロード数ランキングはこの時期、主にGoogle Playのブラジルやインドといった重要な市場で急上昇しています。ちなみにブラジルとインドは、Google Playでそれぞれ2番目と3番目にダウンロード数が多い市場です。

今後の注目ポイント

中国における11月11日商戦の成熟に伴い、現地の小売業者はグローバル市場に目を向けつつあります。今後は、中国のEコマース大手が国外の消費者をターゲットにしたプロモーションが増えるかもしれません。その一方では、中国の消費者の高い購買力の恩恵にあずかるために、国外の競合各社も中国の商戦に参加を試みていくでしょう。

本稿は、App Annie 公式ブログ にて2015年11月13日に公開されたコンテンツを転載したものです。

執筆者紹介

App Annie

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