本家本元がアプリを提供

環境が違っても正しいレイアウトでドキュメントを表示することができ、簡単に内容を改竄されないため、ビジネスの現場でPDFが利用される機会は多い。スマートフォンでPDFを閲覧できるアプリもいろいろあるが、本家Adobeが提供しているのが「Adobe Acrobat Reader」だ。

閲覧できるのはもちろん、本文に注釈を書き込むこともできる。もちろん、注釈つきのPDFを表示した時は、その注釈も表示可能だ。互換アプリの中には注釈が見えないものや、書き込みができないものも多い中、普段PCで行なっているようなことは基本的に無料で行える。

有料のライセンスを購入することでPDFの書き出しやページ構成の編集なども行えるようになるが、ここでは無料で利用できる基本機能について紹介しよう。

Adobe Acrobat Reader

拡大・縮小しながら閲覧

ローカルに保存したPDFファイル、またはDropboxのようなクラウドから取得したPDFファイルを開く時に、アプリとして「Adobe Acrobat Reader」を指定すると、すぐに内容が表示される。全画面表示されている状態で画面をタップすると、上部に検索やしおりの挿入などが行える基本メニューが表示される。

画面いっぱいの全画面表示ではドキュメントが読みやすい

画面内をタップすると上部に基本メニューが表示される

ピンチ操作で部分的に拡大表示すれば、細かい文字もしっかりと読むことができる。拡縮時には一度粗い画像で表示され、少し時間をかけてから鮮明な表示になるイメージだが、粗い状態でも十分に文字は読むことができるから、内容を確認したいのに待たされるということはあまりない。

標準では1ページごとに表示され縦につながる連続表示になっているが、メニューを表示して右上のボタンから「表示モード」を選択すると、単一ページや2ページ表示などを指定することも可能だ。

拡大すれば細かな文字もしっかりと確認できる

単一ページ表示など表示方法の切替えも行える

注釈やコメントの記入は自由自在

文字のあるところをロングタップすると、コピー、ハイライト、取り消し線、下線というメニューが表示される。文字は自動で句読点から句読点までの1ブロック分が選択されるが、両端に表示されているアイコンをスライドすると選択範囲の変更は可能だ。ハイライト、取り消し線、下線については、それぞれ実行してからもう一度タップすると色や太さ、透明度といったプロパティの変更が行える。

文字をロングタップすると注釈メニューが表示される

注釈をタップして色や太さなどを変更

文字のない部分をロングタップすると、メモ、テキスト、フリーハンド、署名というメニューが表示される。メモは付箋をつけた注釈の記入で、テキストはページ表示状態で中見が見えるテキストの追加だ。フリーハンドでは直接指先をつかって図形を描いたり、部分を指定したりすることができる。こちらも色等の変更が可能だ。

署名については、最初に利用した時に署名の記入を行なう必要があるが、2度目以降はメニューから「署名の挿入」を行なうことで判を押すような感覚で署名の追加が可能になる。

文字のないところをロングタップするとメモ等が行える

手書き入力やテキスト注釈で指示を書き込み

PDF専用の「Adobe Document Cloud」と連携

アプリインストール後、ファイルを開くのではなくアプリを開いた時や、アプリのトップ画面に戻った時「Mobile Link」という注釈が表示される。これはクラウドサービスである「Adobe Document Cloud」との連携を行なうかどうかという設定だ。ここで「オンにする」を選択してAobe IDでログインしておくと、同じIDでログインしたPCとのドキュメント連携が簡単に行える。

Mobile Linkをオンにすれば「Adobe Document Cloud」と連携可能だ

Adobe Document Cloudはテキストファイルなどのアップロードも可能ではあるが、基本的にPDF専門のクラウドサービスだ。DropboxやOneDriveには他のファイルも多く置いてあるという場合、PDFはここに集約してしまうという使い分けをするのもよい。ファイルが散らかってしまっている人や、複数PCからPDFの閲覧が多い人にとっては便利だろう。

PC側ではブラウザでログインすると、ブラウザ上にドラッグ&ドロップする形でファイルの追加が可能だ。ブラウザ上でのファイル閲覧もできる。PC側でアップロードしたファイルは自動的にスマートフォン側のアプリでも「最近のファイル」タブに表示されるようになる。さらに「ローカル」と「DOCUMANT CLOUD」タブでどこに保存されているファイルなのかを区別することも可能だ。

PCではブラウザを使ってPDFのアップロードを行なう

クラウドのファイルとローカルファイルはタブで確認できる

ローカルにあるファイル、またはDropbox等から開いたファイルについては、ファイル名をロングタップして選択した後、右上のメニューボタンから「Document Cloudに保存」を選択するとアップロードできる。ここで指定してアップロードしたものや、クラウド上のファイルをスマートフォンアプリで注釈を加えるなどして変更したものについては「送信トレイ」タブで保存状態を確認可能だ。

ローカルのファイルもスマートフォン側からクラウドに保存できる

編集・アップロードしたファイルの保存状況は「送信トレイ」で確認

100回目まで連載してきましたAndroid向けのビジネスアプリですが、今回の掲載を持ちまして終了とさせていただきます。2年に渡りご愛読いただき、ありがとうございました。 なお、9月よりiOS版ビジネスで役立つアプリの紹介連載を開始します。そちらもご期待ください。

利用料金:無料

制作者:Adobe

Adobe Acrobat Reader