最近では検索といっても単なるウェブ検索だけに留まらず、ブログ、ソーシャルメディア、ショッピングなど多岐にわたります。また、検索には欲しいものをいち早く見つけることとは別の側面が存在します。膨大にある情報をミクロの視点でひとつひとつ見るだけでなく、全体像を見渡してスキミングを可能にしたりトレンドを見出すマクロの視点も存在します。Flashを使って多くの情報を視覚化するサイトは幾つか存在していますが、それらの多くは興味深い視覚効果を作り出しているものの、検索サイトとして利用してみたいと思えるサイトは多くありません。その中で6月15日に公開されたSpezifyは、Flash特有のダイナミックな視覚効果を用いながら「使える」要素を幾つか盛り込んでいるサイトです。


Spezify のトップページは検索フィールドのみ表示されているシンプルなインタフェース。検索ボタンはなく「Enter」又は「Return」キーを押すことで結果が表示されます

ブログ、アマゾン、YouTube など様々な検索エンジンから戻ってきた結果を隙間なく表示されるインターフェイス。検索結果にはそれぞれ固定リンクも用意されているので、結果を誰かに送ること出来ます。検索キーワードに日本語は使えませんが、結果には日本語のサイトもヒットします


Spezifyは、スウェーデン在住のFelix af EkenstamとPer Perssonによってスタートしたプロジェクト。ウェブ検索だけでなく、ブログ検索、Twitter, YouTube, Flickr のようなソーシャルメディアサービスの検索、アマゾンの商品検索を同時に行い、結果をひとつの大きなキャンバスに一挙に表示します。検索エンジンによって色分されたカードが隙間なくスクリーン上に敷き詰められていきます。写真や動画のカードをクリックすると、サイトへ移動することなく、その場で観覧することが可能です。ウェブ検索とブログ検索は表示されてる内容は変わりないですが、クリックすると検索元とドメイン名を確認することが出来ます。結果に出てきたアイテムはすべて、最初のクリックで内容を確認(又はプレビュー)が出来、プレビューの際に表示されるボタンをクリックすると新規ウィンドウでサイトへ訪問出来る仕組みになっています。YouTubeやFlickrのような場合こうしたインタラクションは有効ですが、その他の情報の場合はプレビューなしで見れたり、右クリックからリンク先へ移動出来るようなオプションがあると良いでしょう。

表示されている結果をクリックすると拡大表示されます。YouTube の動画はその場で確認することが出来ます


様々な情報を一挙に見れるという点でいえば、類似サイトと変わりないですが、使いやすさを向上するための工夫が幾つかなされています。検索サイトでは必須ともいえる、検索結果の固定リンクがあり、いつでも気になるキーワードを観覧することが可能です。一連の操作はキーボードで可能になっており、矢印キーの移動、Enter/Returnキーによるカードの選択も出来るようになっています。キャンバスをドラッグすることで移動だけでなく、マウスホイールを使ったスクロールも出来、Shiftキーを押すことで横スクロールも対応しています。こうした機能はごく小さな違いですし、HTMLサイトでは当たり前の『機能』ですが、Flashでも同等の操作性を実現することで、双方の利点が組合わさったような体験を提供することが可能です。


ウィンドウの右上にあるアイコンをクリックすると、Spezifyで検索出来るサービスを有効にするかどうか設定することが出来ます

矢印キーで画面の上下左右へ移動出来るだけでなく、Tabキーを使って検索アイテムを選択することも出来ます。黄色にアウトラインされているところが、選択されているアイテムで、「Enter」又は「Return」キーで拡大表示で見ることが出来ます。再びキーを押すと、元のサイズに戻ります。慣れればキーボードだけで操作が可能ですが、アイテムの選択順が分かり難いのが残念


検索エンジンの細かい設定といったカスタマイズ、キャンバスに敷き詰められたカードのフィルタリングやソーティングなど未だに実装されていない機能もありますが、現在もバグフィックスもふくめ開発は進められています。Twitterのほうでもその模様は伝えているみたいなので、興味がある方はぜひフォローしてみてはいかがでしょうか。