前回はPOC(Proof Of Concept、概念実証)を活用して導入後の効果を導き出し、社内予算を獲得するためのポイントを紹介した。今回は導入フェーズにおけるポイントを紹介しよう。

導入フェーズには効果を左右する2つの重要な判断がある

RPAを導入すれば、経験したことのないようなレベルで業務の生産性向上を図り、大幅なコスト削減を実現できると考えている企業は多いかもしれない。ただし、期待通りの導入効果を上げるための重要な判断が導入フェーズにあることを知っておきたい。

どのロボットエンジンを選ぶべきか

最近は日本でも多くのロボットエンジンが販売されている。購入する側としては選択肢が増える反面、一定の知識がないと何を選択すれば良いか判断が難しくなる。ここではロボットエンジンを選択するうえでのポイントを挙げてみよう。

ロボットエンジンは大別すれば、デスクトップ型のロボットエンジンとサーバ型のロボットエンジンの2種類に分けられる。デスクトップ型は、個々のデスクトップPCにインストールして利用することで、デスクトップの作業(タスク)を個別に自動化するツールだ。多くの場合、人間がロボットに作業をさせるタスク単位にキックして処理を行う。個人レベル、タスクレベルの自動化、効率化を目的とする場合に力を発揮するロボットエンジンである。

一方のサーバ型のロボットエンジンは、業務フローに合わせて、サーバにインストールされたロボットが該当業務を担当するクライアントPCに出向いて作業を行う。ここで重要なのは、ロボットが業務フローに沿って、人間の手を介すことなく必要な作業を自動的に行う点だ。これにより、業務プロセスレベルでの自動化が実現できる。

タスクが連動する業務プロセスレベルでの自動化が図れることによって、導入効果も大きくなる。RPA(Robotic Process Automation)は、文字通りプロセスの自動化を目指すものなので、本来のRPAを実現できるのは、サーバー型のロボットエンジンだといえよう。

自社のRPA化目的に合わせたロボットエンジンの選択が肝要だ。

どの導入パートナーとともに進めるべきか

ロボットエンジン選択と並んで重要なのが、導入パートナーの選定である。ロボットエンジン同様、RPA導入を支援するパートナー企業も多くなってきた。さまざまな特長を持った導入パートナーの中から、自社のRPA化に適した導入パートナーを選定するためには、どうすれば良いのか。

それは、導入パートナーに何を求めるのかを明確にすることだ。RPAの技術だけが必要なのか、それとも、RPAの技術に加えて業務知識など自社が考えているRPA化に関するナレッジもあった方が良いのか。私は最低でもRPA技術とRPA化の対象業務の知識は必要だと考えている。欲を言えば、関連する業務システムに関する知見もあった方が良いだろう。

なぜか? 第1回の記事にも記載したが、導入効果を最大化するためには、業務プロセスレベルでRPA化することが重要だ。そのためには、現状の業務フローを元にRPA化後の業務フローを考え、その中からRPA化する業務やRPAでオペレーションする業務システムの機能を決めていく必要がある。この場合、業務知識や業務システムに関する知見を持ち合わせていなければ、作業の効率や精度が低いものになりかねない。そのため、業務知識ならびに業務システムの知見は必要だと考えている。

これから導入するRPAの効果を最大化し、プロジェクトを効率的に進めるうえでふさわしいパートナーを選定してほしい。

次回はケーススタディをベースにRPAの導入効果を検証していく。

著者プロフィール

秋葉尊

秋葉 尊

オデッセイ 代表取締役社長

大学卒業後、NECに入社。
20年にわたり中堅企業や大企業に対するソリューション営業やマーケティングを担当。
2003年5月にオデッセイ入社、代表取締役副社長に就任。
2011年4月代表取締役社長に就任、現在に至る。

ATD(Association for Talent Development)タレントマネジメント委員会メンバー、HRテクノロジーコンソーシアム会員、日本RPA協会会員を務める。