インストーラーで一抹の不安に

「QuarkXPress」全盛時、日本国内はもとより、海外でも沢山のユーザーがいた。そのため、ワールドワイドなカタログを作成する仕事の場合、QuarkXPressのファイルが送られてくる事が普通だった。

しかし、日本語の環境で作成した英文のドキュメントは、そのままでは英語版に持っていく事はできなかったのである。そのため、高価なパスポート版というQuarkXPressを別途買う必要があったり、それでも海外とのバージョンの違いまでは解消できなかった。

正直、今回、テキストエンジンが変更になった事で、アプリケーションは共通になるだろうと思っていたが、インストーラーを見ると、言語別になっているのである(図1)。

図1インストール時の言語のオプション。この時点では各国語共通のファイルである事はあきらめかけていた

「インターナショナル英語」と書かれたポップアップがあるものの、明確な「日本」という言葉はなく、「東アジア」となっている。少しだけ期待してインストールを行った。

ようやく各国語に対応

不安はすぐに消えた。インストールのカスタムオプションを見てみたところ、日本語以外にも沢山の言語をインストールするオプションがついていたのだ(図2)。そこで、Quarkの担当者に聞いてみたところ、今回のバージョンから、ファイルフォーマットが各国共通になったとの事だ。

図2インストールオプションを見た瞬間、もしや? と思ったが、その予感は見事に的中。各国語対応が果たされたのである

「InDesign」ユーザーなら「なにを当たり前の事」と思うかもしれないが、従来のQuarkユーザー、特に日本以外のドキュメントも作成しなければならなかったユーザーにとって、1本のアプリケーションですべてがまかなえる点は大きなメリットとなるだろう。

ちなみに各国語の辞書はアプリケーションの「Dictionaries」ディレクトリに保存されており(図3)、ユーザーは意識する事なく各国語を使って組版作業を行う事が可能になる。

図3 各国語に対応するファイルはアプリケーションの「Dictionaries」フォルダの中に用意されており、ユーザーは意識しなくても各国語が利用できる

追う立場になったQuarkXPress 8には、今までのような「ウチはこうだから」といった高慢さは感じられない。もちろん、まだまだ煮詰めてほしい部分もない訳ではないが、追う立場としての使命は充分に果たしてるといえる。

いろいろ触っているうちにInDesignに慣れきってしまった筆者ですら、ちょっと使ってみようかという気にさせられてきた。