OpenTypeFontにフルアクセス可能に

豊富なグリフ数とプリンタフォントいらずの簡便さで徐々にユーザーに浸透し始めているOpenTypeFont。以前のバージョンでは使用できてはいたが、その機能を活かすための仕様が用意されていなかった。

しかし、今回のバージョンからは明確にOpenTypeFontにアクセスできる機能が備わっている事がわかる。まず、InDesignにも備わっている「字形」パレットが搭載され、そこから異体字にアクセスする事が可能となった(図1)。字形パレットの使い勝手はInDesignのものとほぼ同じで可もなく不可もなくといったところだ。

OpenTypeの異体字にアクセス可能な字形パレットを装備。文字の表示サイズは自由に変更する事ができる

OpenTypeの合字機能にも対応。図のように分数等を規定の文字幅におさめるといった事もOpenTypeなら簡単にできる

また、OpenTypeFontの機能には合字機能等が含まれるが、これにも文字設定ダイアログで対応する(図2)。このようにQuarkXPressもようやく、OpenTypeFontにフルアクセスする事が可能になったのである。

その他の気になった機能

さて、この連載では10回にわたって気になる機能を紹介してきたが、これ以外にもIllustrator 8以上のネイティブファイルやPDFファイルの貼り込みのサポート、文字組の編集機能、ぶら下がり文字のサポート等、多数の改善点がみられる。

正直なところ、私がもう一度QuarkXPressに戻るかは微妙なところだが、過去の資産を大量に所有しているユーザーの場合でも、安心して使えるバージョンである事は間違いない。そして、次のバージョンで3.3や4.1といった古い形式がサポートされる保証がないだけにこれ以上待つメリットはないだろう。筆者自身も意見として古いバージョンのサポートを打ち切るべきではないかとこれまでメーカーに進言してきた。

その事から考えても旧環境にしがみついているユーザーが最新環境に移行するための最後のチャンスである事には変わりない。

率直に言って、OSやソフトウェアのサポートもない状態で仕事を行うというのは危険であり、プロとしての認識に欠けるといっても過言ではない。InDesignを選ぶか、QuarkXPressを選ぶかはユーザーの自由だが、印刷会社も旧環境のサポートの打ち切りをにおわせており、使えなくなるのはそう遠い日の事ではない。

今回のQuarkXPress 8は、移行のための機能がいくつも備わっている事をみれば、その事が理解できるのではないだろうか?

いい加減、旧環境にしがみついていては進歩はないのだ。