Excelでグラフを作成するときに、「グラフの色」について悩んでいる方もいるだろう。そこで今回は、グラフの色を手軽にカスタマイズする方法を紹介していこう。この方法を使えば、色彩センスに自信がない方でも「オリジナルの配色」でグラフを作成できるようになる。気になる方は、いちど試してみるとよい。

自動作成されるグラフの配色

以前の連載でも紹介したように、Excelで作成したグラフは、(水色)→(オレンジ)→(灰色)→(ゴールド)→(青)→(緑)......という順番で「各系列の色」が着色されるように初期設定されている。

  • 自動作成されたグラフの配色

このような「色の組み合わせ」はExcelでよく見かける配色となるため、「もう少し違った配色にしたい」と考える方もいるだろう。

もちろん、グラフの色は自由にカスタマイズ可能である。とはいえ、統一感のある「色の組み合わせ」を指定するには、それなりのセンスが求められる。そこで今回は、グラフの色指定に関連するテクニックをいくつか紹介していこう。

「色の変更」コマンドの活用

最も簡単な方法は、「色の変更」コマンドを使う方法だ。表示された一覧の中から「好きな色の組み合わせ」を選択するだけで、グラフ全体の色を一括変更できる。

  • 「色の変更」コマンド

たとえば、「カラフルなパレット3」を選択すると、グラフの色は以下の図のように変化する。

  • 「カラフルなパレット3」を指定した例

この方法は手軽で簡単なのが特長といえるが、残念ながらそのバリエーションは多くない。「カラフル」のカテゴリーに用意されている配色は、初期設定を含めて4パターンしかない。

「モノクロ」のカテゴリーには計13パターンの配色が用意されているが、これらは同系統の色を使って「各系列の色」を指定する仕様になっている。このため、グラフの識別性は低くなる。見た目を重視し、落ち着いた雰囲気のグラフに仕上げたい場合などに活用できるだろう。

  • 「モノクロ パレット8」を指定した例

「配色」コマンドの活用

続いては、「ページ レイアウト」タブにある「配色」コマンドを使って、グラフの色を変更する方法を紹介する。

  • 「配色」コマンド

こちらも「好きな色の組み合わせ」を選択するだけで、グラフ全体の色を一括変更することができる。たとえば、配色に「デザート」を指定すると、グラフの色は以下の図のように変化する。

  • 配色を「デザート」に変更した例

ただし、この方法にも弱点がある。それは、Excelブック全体の色が変更されてしまうことだ。ワークシート上に作成した表の色(文字の色、塗りつぶし色)も一緒に変更されてしまうため、「利用できる場面は限定的......」となるかもしれない。

オリジナルの配色を作成するには?

前述したように、Excelには手軽に配色を変更できるコマンドが用意されている。とはいえ、これらはExcelに用意されている機能の一部であり、「オリジナルの配色」とは言い切れない。「オリジナルの配色」でグラフを作成するには、やはり、自分で一つずつ色を指定していくのが基本となる。

「各系列の色」を変更するときは、その系列を右クリックし、「塗りつぶし」コマンドで色を指定すればよい。このとき、「同じ行に並んでいる色」を指定するようにすると、グラフ全体のトーンを統一できる。

  • 右クリックメニューの「塗りつぶし」コマンド

ただし、この方法で指定できるのは、Excelがあらかじめ用意している色だけ。このため、グラフ全体の雰囲気を大きく変化させることは望めない。「オリジナルの配色」で色を指定するには、一覧から「塗りつぶしの色」を選択する必要がある。

  • 「塗りつぶしの色」を選択

すると、「色の設定」ダイアログが表示される。ここで「ユーザー設定」タブを選択すると、色を自由に指定できるようになる。

  • 「色の設定」ダイアログの「ユーザー設定」タブ

このように操作することで「オリジナルの配色」を実現することは可能だが、必ずしも上手くいくとは限らない。というのも、バランスのとれた「色の組み合わせ」を指定するには、その人自身の色彩センスが問われるからだ。正直な話、統一感のある「色の組み合わせ」を即座に見つけ出すのは難しいといえるだろう。

配色を紹介しているWebサイトを参考にする

このような場合に活用したいのが、配色のサンプルを紹介しているWebサイトだ。こういったWebサイトは、「配色」や「color scheme」、「color pattern」などのキーワードで検索すると簡単に見つけられる。

具体的な例を示していこう。最初に紹介するのは、「SchemeColor.com」というWebサイト。このサイトには、組み合わせのよい配色が何十組も紹介されている。

  • 「SchemeColor.com」のWebサイト

好きな配色が見つかったら、その配色をクリックする。すると、以下の図のような詳細ページが表示される。ここでは、各色の上にマウスを移動し、「HEX値をコピーするアイコン」をクリックすればよい。

  • HEX値をコピーするアイコン

HEX値をコピーできたらExcelに戻り、先ほど示した手順で「色の設定」ダイアログを開く。続いて、「Hex」の項目に「Ctrl」+「V」キーで値を貼り付けると、「Webサイトに表示されていた色」を「各系列の色」として指定できる。

  • コピーしたHEX値を貼り付け

同様の作業を繰り返して「各系列の色」を指定していくと、「オリジナルの配色」のグラフにカスタマイズできる。

  • 配色をカスタマイズしたグラフ

もっと変化を付けたい場合は、グラフの背景(グラフ エリア)に配色の中の1色を指定してもよい。その後、「各系列」に影を付けると、以下の図に示したようなグラフに仕上げられる。

  • 「グラフ エリア」にも色を指定した例

このように、Webサイトで紹介されている配色を参考にすることで、色彩センスに自信がなくても、短時間で「オリジナルの配色」を指定することが可能となる。

もうひとつ具体例を紹介しておこう。「Palettable」は、好きな色を選択しながら「オリジナルの配色」を作成できるWebサイトだ。

トップページを開くと、ランダムな色が1色だけページ全体に表示される。表示された色が気に入らなかった場合は「Dislike」ボタンをクリックすればよい。すると、別の色が再びランダムに表示される。

  • 「Palettable」のWebサイト

好きな色が画面に表示されたら「Like」ボタンをクリックする。すると、その色に合う「2色目の色」が右側に表示される。この色も「好き」or「嫌い」を選択することが可能だ。気にいらなかった場合は「Dislike」ボタンをクリックすると、別の色を再提案してくれる。

  • 2色目の選択画面

2色目として提案された色が気に入ったら「Like」ボタンをクリックする。すると、「3色目の色」が提案される。もちろん、この色も「好き」or「嫌い」を指定することが可能だ。

  • 3色目の選択画面

このような手順で色の「好き」or「嫌い」を指定しながら、最大で5色まで「色の組み合わせ」を作成できるのが「Palettable」の特長となる。配色を作成できたら、各色のHEX値をドラッグして選択し、「Ctrl」+「C」キーでコピーする。

  • 「Ctrl」+「C」キーでHEX値をコピー

以降の操作手順は、先ほど示した手順と同じ。Excelに戻って「色の設定」ダイアログを開き、コピーしたHEX値を貼り付けていくだけだ。これでグラフを「オリジナルの配色」にカスタマイズできる。

  • 配色をカスタマイズしたグラフ

もちろん、配色の中の1色を「グラフ エリア」に指定して、グラフ全体の背景色として活用してもよい。

  • 「グラフ エリア」にも色を指定した例

今回、紹介したWebサイトは「Webを制作するときに役立つサイト」となるの一般的であるが、グラフの作成に応用できない訳ではない。

「グラフの色指定に悩んでいる......」という方は、こういったWebサイトを参考にしながら色指定を進めていくと、統一感のある配色をスムーズに指定できるだろう。誰でも気軽に実行できるテクニックなので、気になる方はいちど試してみるとよいだろう。