モードと名車の饗宴|ラルフ ローレン 日本上陸50周年を祝うイベントが迎賓館赤坂離宮で開催

ラルフ ローレンが1976年の日本上陸から50周年を迎えた。そんな節目を祝うキックオフイベントが去る4月24日、迎賓館赤坂離宮で開催された。日本唯一のネオ・バロック様式宮殿という格調高き舞台は伝統と品格、文化を超えて人々をつなぐブランドの精神と呼応する。

【画像】壮麗な迎賓館赤坂離宮をバックに、ラルフ・ローレン氏所有と同一モデルの珠玉のクラシックカーが並ぶ!(写真16点)

渡辺謙、菊地凛子らをはじめ各界の著名人16名を迎えたこのイベントは、ファッションを通じた日米国際文化交流会として開催された。ブランドの世界観を描いたドキュメンタリー上映後には、2部構成のパネルディスカッションが実施された。

第一部に東京大学大学院准教授・社会学者の藤田結子氏、マリ・クレール事業室エクゼクティブ アドバイザーの田居克人氏、ファッションエディター&カルチャーストラテジストのティファニー・ゴドイ氏、第二部にモデルの森星氏、ファッションジャーナリストの生駒芳子氏が登壇。

両セッションのホストを務めたのはブランド創始者の息子であり、チーフ ブランディング&イノベーション オフィサーのデイビッド・ローレンだ。ブランドのヘリテージと未来を担う存在として、際立った存在感を放ったことは想像に難しくないだろう。

そして”存在感”という言葉がもうひとつ似合う光景が、迎賓館赤坂離宮・本館正面玄関前に広がっていた。石畳の上に整然と並べられた9台の車はラルフ・ローレンがコレクションとして愛蔵する車両と同一のモデルであり、今回は日本のコレクターたちの協力のもと特別に貸し出された珠玉の面々だ。それら9台のクラシックカーをご紹介しよう。

ベントレー4½リッター・ブロワー

ベントレー・ボーイの一人、ティム・バーキンが創始者W・O・ベントレーの反対を押し切ってスーパーチャージャーの搭載を実現させた伝説的モデル。エンジン前方に搭載されたルーツ型スーパーチャージャーはアメハースト・ヴィリアーズが設計し、4.5リッター直4エンジンと組み合わされた。1930年のル・マンにも参戦したが、W・O・ベントレーが危惧したとおり信頼性に課題を残した。しかしその豪快な排気音と剛毅なスタイルは今もモータースポーツ黎明期の魂を伝え、コレクターズカーとして不朽の地位を誇る。

ジャガーSS100

「100」の名は100mph(約160km/h)という最高速度を目指したことに由来。SS社(後のジャガーカーズ)が手掛けた2シーターオープンスポーツで、ウィリアム・ライオンズがデザインした流麗なボディは戦前スポーツカーにおける美の頂点として称えられる。2.5リッターエンジンは実測で約95mph、後に3.5リッターエンジンで初めて100mph超を達成した。1936年から1940年まで314台のみ生産された希少なモデルだ。

ジャガーXK120クーペ

1948年のアールズコート・モーターショーでデビューし、当時の市販車世界最速を誇った一台。「120」の名は120mph(約193km/h)という最高速度に由来する。搭載されるXKエンジンは3.4リッター直列6気筒ツインカムで、ジャガーのアイデンティティを確立した。1949年にはベルギー・ジャブケー高速道路で132.6mphを記録している。

ポルシェ550スパイダー

1953年パリ・オートサロンで発表されたポルシェ初の専用レーシングカー。軽量なボディにエルンスト・フールマン設計の1.5リッター空冷水平対向4気筒4カム(通称「フールマンエンジン」)を搭載し、フェラーリやマセラティを打ち負かし”ジャイアントキラー”の異名を得た。1955年のル・マンでは総合4位、クラス優勝を飾っている。俳優ジェームズ・ディーンが”リトル・バスタード”と名付けて愛したことでも伝説となった。

メルセデス・ベンツ 300SL

4ストローク量産車として世界で初めてガソリン直噴エンジン(3.0リッター直列6気筒M198型)を採用。鳥が羽を広げるように上方へ開く「ガルウィング」ドアは、超軽量チューブラースペースフレームによる構造上の要請から生まれたデザインであることは、もはや忘れられていそうだ。1954年から1957年にかけて計1,400台が生産され、1950年代の技術革新とデザインの頂点として今なお輝き続ける。

モーガン プラス4

英国ウスターシャーの老舗メーカー、モーガン・モーター・カンパニーが半世紀以上守り続けるハンドメイドスポーツカー。アッシュ材を用いた木製フレームに職人がアルミボディを張り合わせる製法は創業当時から変わらず、大量生産が当たり前の現代においても英国流クラフツマンシップへの揺るぎない姿勢を示す。

アストン マーティンDB5

1964年に公開された映画『007/ゴールドフィンガー』に登場し”世界で最も有名な車”の称号を得たグランツーリスモ。4.0リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、カロッツェリア・トゥーリング・スペルレッジェーラが手掛けた軽量アルミボディを纏う。なお、映画用に仕立てられた劇中車のうち1台は1997年に盗難に遭い一時期、行方不明になるも中東の個人コレクションに収まっていることが判明している。

マクラーレンF1

1992年にゴードン・マレーが設計し、BMWモータースポーツ製6.1リッターV12自然吸気エンジンをミドシップする。ドライバーを中央に置く3座レイアウトを採用し、エンジンルームは金箔で断熱処理。CDプレーヤーに至るまで徹底した軽量化も話題になった。自然吸気市販車として1998年に記録した最高速度243mphは、2005年にケーニグゼグに破られるまで世界最速記録を保持した伝説的マシンだ。

ポルシェ918スパイダー

新車時デビューからもう10年以上が経過しているとは思えない、未来感を今でも漂わせる。4.6リッターV8エンジンと前後に配した2基のモーターを組み合わせ、システム総合出力875psを発揮するプラグインハイブリッドハイパーカー。2013年9月、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで6分57秒という市販車最速記録を樹立し、性能と電動化の両立という命題に対するポルシェの回答を世界に示した。

ファッションと車という二つの美学を等価に扱うラルフ・ローレン。その哲学が会場に見事に奥行きをもたらしたこの日の光景は、まさに圧巻の一言であった。

文:古賀貴司(自動車王国) 写真:ラルフ ローレン

Words: Takashi KOGA (carkingdom) Photography: Ralph Lauren