• 街を練り歩く足立さん、風知さん (C)フジテレビ

    街を練り歩く足立さん、風知さん (C)フジテレビ

今回の作品を通して、チンドン屋そのものへの印象も大きく変わった。古川は「かっこいいと思いました」と第一印象を語り、「ジャズみたいですよね」と表現する。

「音だけを鳴らしていればいいわけじゃなくて、一緒に練り歩いているチームで、宣伝文句を言うタイミングだったり、相手の音だったり、お店とかその場の環境とか、いろんなものとセッションをしなければいけない。見ている以上に深いことなんだろうなと思いました」

そこには、芝居との共通点も感じ取ったそうで、「舞台でも、ただセリフを覚えて言っていればいいだけではなくて、相手の顔を見て、自分が発見したり、変わっていくこともたくさんあるんです」と明かす。

また、「最初こそ、風知さんみたいに、自分がこの舞台に立っている感覚が好きだったり、そうなれている自分に満足しそうになったりすることもありました」と回想。だからこそ、「物語として伝えたいこと、伝えなきゃいけないことがあるので、周りの人と一緒に作って、自分の塩梅を考えないといけない。演劇とチンドン屋さんは全然違うことをしているようですが、言ってることがすごくよく分かりました」と強く共感した。

自身にとっての“師匠”は…

自身にとっての“師匠”を聞くと、「私の場合、一人ではなく、いろんなところにいろんな部分でいろんな師匠がいる感じなんです」と回答。その上で、強く印象に残っている存在として、茶道を通じて出会った女性を挙げた。

「私の先生のお師匠さんなのですが、その方が開くお茶会に参加したことがあったんです。もう90歳を超えていたんですけど、座敷に入ってきた時の存在感がすごく焼き付いています。小さく座る姿、ウグイス色の着物、そして鈴の音が鳴るような素敵な声……“どう生きていけばこの人のようになれるのだろう”と、一目会っただけで思ってしまうような、すごく美しい人でした」

その圧倒された存在は、役者として目指す在り方にも影響を受けたようだ。

ナレーション収録にも感じた「ジャズ」

今回が初となる『ザ・ノンフィクション』のナレーション収録。「すごくドキドキしながらやっていました」と振り返りつつ、「実際に映像を見ながら、声を聴きながら、BGMを聴きながら声を入れていくと、やっぱりそこに自然と乗っていくような感じがして、楽しかったです」と手応えを口にした。

まさにこの収録にも「ジャズ」を感じたようで、「気持ちを入れすぎると力んでしまったり、言葉が出てこなくなったりするので、周りと自分の声を冷静に混ぜていく感じでした」という。

ナレーションという仕事については、「自分の声を聴きながら、お芝居ではないのに、不思議と客観視しながら演じられているような感じがして面白いです」と説明。「音響ブースにあるつまみを、心の中で回してるような感じ」と独特の感覚を披露した。

●古川琴音
1996年生まれ、神奈川県出身。2018年に俳優デビューし、NHK連続テレビ小説『エール』で主人公夫妻の娘を演じて注目を集める。その後も『この恋あたためますか』『コントが始まる』『海のはじまり』などのドラマに出演し、NHK特集ドラマ『アイドル』では主演を務めた。現在、映画『街の上で』が東京・テアトル新宿、京都・出町座で公開5周年アンコール上映中。6月からは主演を務めるドラマ『ミッドナイトタクシー』(NHK)が放送予定。