俳優の古川琴音が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)での初ナレーションに挑んだ。担当したのは、19日放送される「僕と師匠とチンドン屋~24歳 令和の師弟物語~」。にぎやかな音と派手な装いで街を練り歩き、店や催しを宣伝する“チンドン屋”の世界に憧れ、師匠のもとに弟子入りした24歳の若者を追った作品だ。
その彼に「すごく感情移入しました」という古川は、師弟のやりとりに自身の芝居観と重なるものを見いだした――。
客の反応や周囲の様子にまで気が回らず…
かつては、町の宣伝役として親しまれてきたチンドン屋だが、SNSやウェブ広告が主流となった令和の時代に、その姿を見かける機会は少なくなった。そんな逆風の中でも、この世界に憧れを抱き、師匠のもとに、弟子入りした若者がいる。
東京・中野に拠点を置く「チンドン!あづまや」の門をたたいたのは、24歳の風知さん。親方の足立さん(54)に憧れ、この世界に飛び込んで1年半。チンドン屋の仕事は、ただ目立つことではない。目の前の人の表情を読み、空気を感じ、その場を笑顔でいっぱいにすること。師匠が何より大切にしてきたのが「周りを見ること」だ。
風知さんもその大切さは理解しているのだが、現場ではいつも気合が空回り。客の反応や周囲の様子にまで気が回らない。技術での成長は認めつつも立ちはだかる課題に、足立さんはある策を思いつく。
また、風知さんの暮らしにも変化が訪れる。チンドン屋の収入ではとても生活が成り立たない中で、続けてきたアルバイトを突然クビになり、住んでいたアパートも引き払うことに…
脳裏に刻まれた「慣れた分の壁に当たってる」
このドキュメンタリーで古川が「すごく感情移入しました」というのが、風知さん。「上手くなりたいという気持ちやチンドン屋に対する憧れの気持ちとか、“こうなりたい”という熱い思いをたくさん持っている方なんだなと思いました」と印象を語る。
一方で、その強い思いがあるからこそ、「もっと早くいろんなことを自分でできるようになりたいという気持ちが先走ってしまう時もあったり、ちょっと空回ってしまっているように見える時もあったりしました」と分析。そのもどかしさには自身も重なる部分があるといい、「風知さんはよく笑っているけれど、その笑顔の中には、本当のなりたい自分と、まだそこまで届いてない自分の葛藤がすごくあるだろうなと思いました」と受け止めた。
そんな弟子を見守る足立さんについても、「この仕事を広めることももちろん大事だけれど、それ以上に風知さんのことを大切にして、受け継いでいきたいという気持ちが強い方なんだなと思いました」と心を打つものがあった。
風知さんに感情移入したからこそ、足立さんの言葉の数々が脳裏に刻まれた。特に印象に残ったというのは「慣れた分の壁に当たってる」という指摘。
「自分にも思い当たることがあったので、すごく見抜かれているような気がしました。昔の自分が言われているのではなく、もしかしたら今も、未来の自分から見ると“慣れが入ってた”と思う時があるのかもしれない。でも、“そうなりたくない!”という気持ちでいます」
さらに、足立さんが風知さんに「周りを見て」と伝えた上で、「自分もできているか分からないけど、一緒にやっていこう」と声をかけていた場面について、「足立さんも、ご自身の師匠に言われ続けてきた言葉なのかもしれないですね。分からないながらも手探りでやってきた部分だったのかなと思いました」と想像を巡らせた。

