スマートフォン選びといえば、多くの人が気にするのはカメラ性能や最新のAI機能、あるいは価格でしょう。ところがその裏側では「環境への負荷をどこまで減らせるか」というサステナビリティの行動が、メーカー共通の重要なテーマになりつつあります。その象徴的な事例が、サムスン電子の「Galaxy S26」シリーズです。
Galaxy S26シリーズは見た目やスペックだけでなく「長く安心して使えること」を重要な設計思想に加えています。ボディーには耐久性の高いアルミ素材と強度に優れたガラスを組み合わせることで、落下や日常的な使用時にも傷がつきにくい構造になっています。端末の寿命が延びユーザーの買い替えの頻度が下がれば、結果として新たな資源の投入や廃棄される端末の量も抑えられます。
素材面では外装だけでなく内部パーツにも再生由来の素材が使われています。Galaxy S26シリーズではプラスチック、ガラス、アルミニウム、コバルト、リチウム、スチール、銅、金、タンタルなど10数種類のリサイクル素材が使用されているとのこと。ユーザーは意識しなくとも「環境を考えた素材を使ったスマホ」を手にしているわけです。
純正の充電器はコンセントに挿したままでもほとんど電力を消費しないよう待機電力を下げています。またパッケージもプラスチックを極力使わないよう、Galaxy S26シリーズの箱の内部の台紙や緩衝材は紙素材が中心。いわゆる使い捨てのプラスチックパーツは姿を消しつつあります。
サムスン電子は環境ビジョンとして2021年から「Galaxy for the Planet」として「Galaxyシリーズの再生素材採用」「パッケージの脱プラスチック」「充電器の消費電力実質ゼロ」「モバイル関連事業部(MX事業部)の埋め立て廃棄物ゼロ」という4つの目標を掲げ、2025年まですべてを達成。その次のステップとして、2030年までに取り組みの対象を製品からより広い事業活動や生態系全体へと広げる新しい目標を設定しました。
Galaxy S26シリーズと同時に発表されたそれらの目標は「スマートフォンラインナップ全体での再生素材使用の促進」「工場や事業活動での節水や水の再利用など、水の還元の強化」「製造拠点やサプライチェーン全体での環境負荷低減・環境回復」の3つ。製品製造から一つ上のステージに立った取り組みです。
ところで再生由来素材の使用は、昨今話題になっている「レアアース」の問題にも直結します。レアアースはスマートフォン内部の様々なパーツにも使われる重要な素材です。しかし産地が特定の国や地域に偏っていることから、輸出規制や地政学的な対立によって、供給が不安定になるリスクが指摘されています。たとえば自動車業界ではレアアース磁石が足りずに一部モデルの生産に影響が出るケースも報じられています。
このレアアースの供給リスクに対して、サムスン電子は「使い終わったスマホから資源を回収して、次の世代の端末に戻す」という動きを進めています。Galaxy S26シリーズではこれまでの再生プラスチックや再生金属に加えて、コンデンサーなどに使われるタンタルについてもリサイクル由来の素材を採用し始めました。希少性が高い金属を再利用のサイクルに乗せることで、新たな採掘への依存を少しでも減らし、調達リスクと環境負荷の両方を抑えようとしているわけです。
近年ヨーロッパでは、「修理する権利(Right to Repair)」をめぐる議論も進んでいます。ユーザーが自分の製品を長く使えるよう、部品の提供や修理マニュアルの公開、一定期間の修理可能性の確保などをメーカーに求める考え方です。スマートフォンもその対象に含まれており、「壊れたら買い替える」前提から、「直しながら使い続ける」前提へと発想を転換しようとしています。
このように、いまやスマートフォン業界だけでなく、各国・地域のルールづくりの面でも環境負荷を減らす取り組みが加速しています。近年、スマートフォンのOSアップデート期間が延びているのも、単に買い替えサイクルの長期化に対応するだけでなく、中古端末やリサイクル品として使い続けるユーザーを意識した動きだと考えられます。ハードウェア、ソフトウェア、そして製造する工場や素材レベルに至るまで、スマートフォンを取り巻くあらゆるレイヤーで「長く使い、資源を循環させる」ことを前提にした設計やルールづくりがこれからは求められていくでしょう。
業界の中心的なプレーヤーであり、スマートフォンに加えてスマート家電やスマートホーム全体を展開しているサムスン電子にとって、サステナビリティの活動を先頭に立って進めることは、業界全体、ひいては地球規模の方向性をリードすることにもつながります。環境対策は「特別な取り組み」ではなく「普通に良いスマホを選んだつもりが、結果として地球にも少し優しい選択になっていた」という形が、これからのスマートフォン業界にとって理想的な姿と言えるのではないでしょうか。









