大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で天才絵師・喜多川歌麿を演じた染谷将太。横浜流星演じた“蔦重”こと蔦屋重三郎とコンビを組んで才能を開花させ、世間に認められる天才絵師へと成長した歌麿を演じきった染谷に、12月14日に放送された最終回の撮影エピソードなどを聞いた。

  • 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』最終回の場面写真

    大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』最終回の場面写真

江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱万丈の生涯を描く本作。染谷は、5月11日放送の第18回で初登場。以来、天才絵師・歌麿として蔦重とタッグを組み、美人画で江戸に旋風を巻き起こした。そんな歌麿の最後の撮影は、最終回のラストシーンだったという。

「昨年末からの合流だったので、(収録期間は)約10カ月だったんですが、とても濃密で濃厚な時間でした。無事に演じた、という安心感と、作品全体がやっと無事に撮り終わったっていうこともあり、ほっとしましたね」

最終回は、とても『べらぼう』らしいと感じたと染谷。

「全員揃って蔦重を囲んで、そしてそのままクランクアップ……という、たぶんなかなかない形だったと思うんですけど。(織田信長役を演じた)『麒麟がくる』とか、もう1人孤独にひっそり終わっていったので(笑)、(『べらぼう』は)終わり感がすごい、お祭りのような感じでした。とても悲しいシーンではありますけど、お祭り感があったし、とても『べらぼう』らしい、という気持ちでした」

歌麿を演じた染谷にとっても、グッとくるシーンがあったという。

「最後は(蔦重が)病に倒れて、みんながすごく不安になって、歌麿も本当はたぶん一番泣きたい人だろうけど、涙は絶対に見せずに自分が描いた作品を持ってくる、作品で元気づける、ということが、自分としてはすごくグッとくるシーンだったんです。この作品の続きが見たいならちゃんと生きろよって笑顔で言うところは、思わず自分もグッときちゃいそうになるけど、それを我慢して元気づける。そこが印象深かったですね」

作中では、妻・きよ(藤間爽子)との死別というつらい展開もあり、染谷は「一番衝撃的でした」と振り返る。

「台本が来た段階で、普通にショックでしたね。亡くなるということは知っていたんですけど……2人のシーンとか、すごく切なく描かれていたので。台本を読んでちょっと涙が流れてしまうぐらい、ショッキングなシーンでした」

きよとの別れや蔦重との確執など、本作では歌麿としてつらいシーンが多かった染谷。だが、だからこそやりがいを感じ、モチベーション高く演じていたという。

「すごく労わってくれる方が多かったですね。友人などから『歌麿、大丈夫?』『大変だね』って言っていただくことは多かったです。すごく苦しい場面が多かったですけど、だからこそ楽しめたというか、それらを表現していくのは面白い作業でもあって、やりがいを感じながら楽しくやっていましたね。つらいものはつらいですけど、生き生きと演じることができました」

そんな染谷にとって、天才絵師・歌麿を演じたことは、どのような経験だったのか。

「不思議な経験でしたね。演じていて、感じたことのない感情を感じることが多かったです。怒りと言っても一言で怒りとは言いきれない感情であったり、蔦重に対する愛情であったり、その蔦重に対する愛情も歌麿の中でどういう愛情なのかが処理しきれなかったり……そういう表現は今までになかったですし、役者としても、1人の人間としても、すごく素敵な経験をさせていただけたなと思います。本当に、いろんなことがあった歌麿なので(笑)」

■染谷将太
1992年9月3日生まれ、東京都出身。7歳で子役として活動を開始し、9歳のときに『STACY』(01)で映画初出演。2011年、映画『ヒミズ』(12)で主演を務め、「第68回ヴェネツィア国際映画祭」マルチェロ・マストロヤンニ賞を受賞。その後も、数々の賞を受賞している。近年の主な出演作に映画『陰陽師0』(24)、『若き見知らぬ者たち』(24)、『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』(24)、『爆弾』(25)、ドラマ『麒麟がくる』(20)、『ブラッシュアップライフ』(23)、『風間公親-教場0-』(23)、『CODE―願いの代償―』(23)、Netflix『サンクチュアリ -聖域-』(23)、『地面師たち』(24)、『イクサガミ』(25)など。脚本と演出を手掛けた特集オーディオドラマ『だまっていない』が12月29日にNHKラジオ第1で放送。

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