2番目に注目されたのは20時36分で、注目度76.4%。三浦庄司(原田泰造)が亡き殿・田沼意次(渡辺謙)への忠臣ぶりを示すシーンだ。
「毒は毒でも眠る毒?」庄司が驚きの声をあげる。「へえ。眠っている間に入れ替えちまえってことで」眠っている間に殺すのかと問いかける庄司に、蔦重(横浜流星)は阿波の孤島に閉じ込めることになっていると説明した。納得の行かない様子の庄司に、蔦重は自分のたくらみで人が死ぬことに抵抗があること、さらに柴野栗山が親殺しは大罪であり、義はあっても将軍・徳川家斉は大罪を犯すことになり、それを仕掛けた者も外道に成り下がると進言したことで、阿波へ送ることが決まったと言う。
そこへ水野為長(園田祥太)がやってきた。「いかがでございましたか? 首尾は」蔦重が静かに尋ねる。「無事、替え玉はお城に。本物は阿波に向かい出立されました次第!」為長が笑顔で報告する。蔦重はほっと胸をなでおろし、庄司は涙を流しながら仏壇に向かう。「殿、若殿…やりましたぞ。やりました。やりました」と、田沼意次と田沼意知(宮沢氷魚)の位牌に手を合わせる。その姿を為長が涙ぐみながら見つめた。蔦重も仏壇に向かい手を合わせ、静かに目を閉じた。
「三浦さん、疑ってごめんなさい」
このシーンは、疑惑の人・三浦庄司の涙に、視聴者の視線が集まったと考えられる。
長年、意次に仕え続けていた庄司は、意次が老中を失脚してからも蔦重との橋渡しを務めるなど、その忠誠心が揺らぐことはなかった。第44話「空飛ぶ源内」では、意次を老中から追い落とした松平定信が訪ねて来たが、心中穏やかでなかっただろう。しかし、共通の敵である傀儡好き・一橋治済を討つために定信の提案を受け入れ立ち上がった庄司。見事に仇討ちが果たされると、真っ先に意次・意知に報告する姿はまさに忠臣のものだった。
そんな庄司だが、意次・意知の存命中から、治済のスパイではないかという疑惑がネット上では絶えなかった。前回、毒饅頭配り(村上和成)を手引きしたのは庄司ではないかという声すらあった。SNSでは「三浦さんずっと良心やったね。疑ってごめんなさい」「この忠臣を裏切り者呼ばわりしてたのはどこの誰だとあの世の田沼様も怒ってるだろうな」「三浦様が田沼様父子に手を合わせるシーンが本当に良かった」と、ようやく疑いが晴れた庄司に投稿が集まった。
治済が送られることになった阿波は、蜂須賀家が藩主として統治した地域で、藩としては阿波と淡路の二国を合わせた徳島藩として知られている。治済の替え玉となった斎藤十郎兵衛は蜂須賀家お抱えの能役者。徳川家康に仕えた蜂須賀家政が藩祖となり、石高は約25万石とされている。四国でも屈指の規模を誇る藩だ。藍の生産を奨励し、全国市場をほぼ独占するほどの経済力を持った。財政的に豊かで江戸時代を通じて安定した藩として評価されている。1827(文政)10年)に徳川家斉の二十二男・斉裕が第十二代藩主・蜂須賀斉昌の養子となり、1843(天保14)年に家督を継いで十三代藩主となった。この展開は治済の政略が反映されている。