お風呂のお湯を毎回入れ替えるのは、水道代、ガス代がかかるため、2回に1回程度追い焚きにするご家庭は多いのではないでしょうか。ただ、冬場はお湯が冷え切っていて、追い焚きはかえってガス代がかかるのでは? と感じる人もいるでしょう。そこで、冬場の追い焚きと、冬場のお湯の入れ替えは、どちらが光熱費がかかるのか検証してみたいと思います。

  • 寒い冬のお風呂「追い焚き」と「入れ替え」光熱費を節約できるのはどっち?

    寒い冬のお風呂「追い焚き」と「入れ替え」光熱費を節約できるのはどっち?

「追い焚き」と「入れ替え」どちらが経済的?

冬場のお風呂で、追い焚きをした場合とお湯の入れ替えをした場合のそれぞれの光熱費を求めて、どちらが経済的か比較してみましょう。

光熱費を求めるには、ガス代や水道代の使用量単価、冬場の水温、給湯器の熱効率などの条件を設定する必要があります。地域や各家庭によって条件は異なるので、ここでは「東京都の戸建て(都市ガス)」を想定して試算してみたいと思います。

<条件>
お風呂の湯量: 200 L
水道水の温度: 10℃
追い焚き前の水温: 20℃(フタをしていた場合)
仕上がりの湯温: 40℃
水道料金: 1L当たりの単価0.24円 ※1
都市ガス料金: 1㎥当たりの単価155.14円 ※2
都市ガス発熱量: 1㎥当たり10,750kcal ※3

※1 「節水について |東京都水道局」を参照
※2 原料費調整制度に基づく2025年11月検針分のガス料金について|東京ガス
※3 都市ガスの種類・熱量・圧力・成分 | 東京ガスネットワーク

また、熱効率も考慮しなければなりません。熱効率とは、給湯器が投入された燃料からどれだけ効率よくお湯を沸かせるかを示す数値です。熱効率が高いほど、少ないエネルギーでお湯を沸かすことができます。一般的なガス給湯器の熱効率は約80%、省エネ性能がいいものは95%となっています。

ここでは熱効率80%として計算します。

ガス代を求める計算式は以下になります。

ガス代 = 湯量200L × (仕上がりの温度 − 温める前の温度) ÷ (10,750kcal × 熱効率80%) × ガス料金単価155.14円

*追い焚きの場合

【ガス代】
200L × (40℃ − 20℃) ÷ (10,750kcal × 80%) × 155.14円 ≒ 72円

*入れ替えの場合

【ガス代】
200L × (40℃ − 10℃) ÷ (10,750kcal × 80%) × 155.14円 ≒ 108円
【水道代】
水道料金単価0.24円 × 200L = 48円
【合計】
108円 + 48円 = 156円

追い焚きの方が84円お得に

追い焚きの場合の光熱費は72円、お湯を入れ替えた場合の光熱費は156円になり、追い焚きの方が84円安くなりました。

追い焚きは保温効果を高めてさらに経済的に

水道代がかかる分、お湯の入れ替えの方が光熱費がかかってしまいますが、同じ水温であれば、追い焚きもお湯の入れ替えもガス代は同じです。それならば、断熱性を高めてお湯の温度が冷めないように保てば、追い焚きのガス代はさらに節約できます。

戸建ては、浴室に窓があるケースが多いので、マンションと比べて冬場は浴室が冷え切ってしまい、追い焚きに多くのエネルギーを費やすことがあります。断熱性の高い窓にする、高断熱浴槽、断熱フタを使用するなどして、お湯の保温効果を高めれば、戸建てでもガス代を抑えることができます。

特に浴槽のフタは重要です。冬の寒い浴室で、フタなしで放置すると6時間で16℃も湯温が下がるという実験結果もあるので、使い終わったらすぐにフタをして保温効果を高めましょう。

追い焚きは何日までオッケー?

追い焚きが経済的であることはわかりましたが、気になるのが衛生面です。

衛生微生物研究センターが行った調査によると、入浴後に一晩放置すると、風呂水中の細菌数は数千倍に増加することがわかりました。

  • 風呂水中の細菌数 出所: 衛生微生物研究センター「お風呂の残り湯は使ってもよい?」をもとに筆者作成

    風呂水中の細菌数 出所: 衛生微生物研究センター「お風呂の残り湯は使ってもよい?」をもとに筆者作成

残り湯の細菌は主に人の身体に由来するものなので、通常は病気の心配はありません。しかし、お湯を何度も使いまわしたり、お風呂掃除をしていなかったりすると、大量の雑菌が繁殖し、場合によっては健康被害を引き起こす恐れがあります。

お湯を1〜2日程度で交換し、定期的な清掃を行っていれば、細菌による健康被害のリスクは高くないとのことなので、追い焚きは1回まで(2日目まで)に留めた方がいいでしょう。

2日に1回追い焚きで月1260円の節約!

追い焚きは経済的ですが、衛生面から考えると、2日に1回はお湯を入れ替えた方がいいので、「2日に1回追い焚き」と「毎日入れ替え」をした場合の1か月の光熱費を比較しました。

  • 2日に1回追い焚きで月1260円の節約に(筆者作成)

    2日に1回追い焚きで月1260円の節約に(筆者作成)

2日に1回追い焚きをすると、1か月で1,260円節約できることがわかりました。夏場はシャワーで済ます人も多いと思うので、6か月で比較すると7,560円の節約になります。

お風呂は毎日きれいなお湯で入りたいという人にとっては、追い焚きは選択肢に入りにくいかもしれません。とはいえ、追い焚きには「節約」以外のメリットもあります。

お湯を抜いて、浴槽を洗って、お湯を入れるという手間が省けるので、家事の「時短」につながります。その際は、衛生面の配慮として翌日はしっかり浴槽を洗う、こまめにフタを閉めて保温するといった基本を押さえると安心です。

忙しい毎日こそ、追い焚きを上手に取り入れて節約&時短につなげていきましょう。