
「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本対韓国」(15、16日・東京ドーム)を前日に控えた14日、東京ドームで両国代表が前日練習を行った。来季以降につながる強化試合となる同シリーズ2試合の日韓戦は、互いの「吸収」が大きなテーマとなりそうだ。
来年3月に東京ドームで行われる1次ラウンド(プールC)で同組の「第6回WBC」、同秋の「アジアプロ野球チャンピオンシップ(APBC)」、再来年の「第4回プレミア12」へと続く3年連続の日韓対決。侍ジャパンは宮崎合宿からNPBとは異なるWBC方式の試合ルールへの適応を進めてきた。「ピッチクロック」「ピッチコム」など国際基準の機器に慣れることが目的だ。韓国プロ野球(KBO)は2年前からこれらを導入しており、タイム制での試合進行がすでに一般化している。日本側としては実戦を通じ、韓国選手のテンポや時間の使い方を参考にし、国際大会仕様のリズムを体に染み込ませる狙いだ。
一方で、韓国も日本からの「学び」を重要視している。韓国球界に詳しいNPB関係者によれば、今回の強化試合の開催は韓国側から打診されたもので「国際大会以外で日韓が代表戦を行うのは史上初。しかも来年3月のWBC予選で直接対戦するのに(オファーしてきた)」という異例の申し出に、当初は驚きの声も上がったという。
背景には、韓国が抱える危機感がある。近年のWBCやプレミア12では日本に苦杯をなめ続け、主要大会で日本を破ったのは2015年の「第1回プレミア12」準決勝(東京ドーム)が最後。その間にアジアで頭角を現したのが台湾だ。アナリストやトレーナーなど海外人材の積極登用、U-18世代からの計画強化といった取り組みが結実し、24年の「第3回プレミア12」では日本を破って初優勝を飾った。
対照的に韓国はレジェンドOB中心の指導体制と実績偏重の選手選考が続いてきたことから、アジア上位の座から後退した形となった。柳志炫監督(リュ・ジヒョン=54)が就任した今年1月からは方針転換を図り、今回は投手全員が20代。最年長は25歳の郭斌(クァク・ビン=斗山)で、次世代育成が明確に打ち出された。「投手は日本がアジアナンバー1」という認識は韓国球界内でも共通で、オール20代で構成された侍ジャパン投手陣は〝生きた教材〟と見られている。
WBC本番を控えた2連戦。日韓両軍にとって、勝敗以上に「相手から何を学ぶか」が問われるシリーズとなりそうだ。
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