テレ東のドラマ『コーチ』(毎週金曜21:00〜21:54)に出演する俳優・阿久津仁愛にインタビュー。役づくりをする上で意識していたことや、ドラマで共演する唐沢寿明や倉科カナの「すごい」と思ったところを教えてもらった。(全2回インタビューの1回目)
『コーチ』で演じる“泣き虫”刑事の葛藤
――阿久津さんがドラマ『コーチ』で演じる正木敏志は、感情を抑えるのが苦手で、すぐに泣いたり怒ったりしてしまって、捜査がうまくいかないという役どころです。
台本を読ませていただいて、率直に「すごい役だな」と思いました。正木くんは捜査の最中につい、犯人の気持ちにまで寄り添ってしまうんです。その優しさが長所でもあり、同時に刑事としては葛藤の種にもなる。そんな人間らしさを持った役だと感じました。
――刑事という職業を考えると、苦労も多そうです。
そうですよね。そんな正木くんを、唐沢さん演じる向井さんが導き、成長させてくれる物語だと感じました。脚本の中でも、その変化が丁寧に描かれていて印象的でした。だからこそ、ただ感情的になるのではなくて、相手に寄り添って安心を与えられるような温度感を大事にしつつ、感情が爆発する場面ではその熱量が真っ直ぐ届くように演じたいと思いました。
(感情的なほうへ)振り切りすぎてしまうと、ただ怒ってるように見えてしまう気がして。だからこそ、感情の緩急を意識して、相手の言葉や反応から何かを受け取ろうとする。そういう呼吸のような部分を大切に演じました。
阿久津仁愛が役づくりのために普段の生活で考えたこと
――正木くんの役説明を読んだとき、巻き込み型の登場人物なのかなと思ったのですが、受けも大切にしているんですね。
そうですね。刑事の仲間たちと一緒にいると、割とはっきりと物を言うタイプではあるんですけど、「どうしてこんなに泣いてしまうんだろう」と考えたときに、やっぱり相手のことを思えば思うほど、人間って感情的になるし、涙が出てくるものなのかなと。台本をいただいてから時間があったので、自分の今これまでのことを振り返ってみたんです。
僕自身、普段はあまり人に強く興味を持つタイプではなくて、感情移入もしにくいほうなんですけど、正木くんのように、誰かに寄り添う意識で生活してみたら、見えてくる景色が少し違いました。
――気持ちが分かった?
こういうことなのかも? と思える瞬間はありました。もちろん、完全に理解するのは難しいと思うんですけど……もし自分がこういう気持ちを受け取っていたら、きっと(感情が)あふれ出てしまうんだろうなと思いました。それからは、ドラマや映画を観る時も、いつもとは少し違う視点で捉えるようにしていました。
――自分が感情的になりやすいので、正木くんの役説明を読んだとき、感情移入してドラマを観ることができそうだなとも思っていたんです。
結構、気持ちが表に出やすいタイプなんですか?
――相手に激昂するようなことはないんですけど、漏れ出てしまっていると思います。
そういうとき、ちゃんと伝えるタイプですか?
――そうですね……自分なりに寄り添ってみて、落としどころを見つけられそうなら、間に人をはさむなりして、伝えるようにします。だから、正木くんがどんな人なのか楽しみで。
それでいうと、かなり寄り添っていると思います。相手に寄り添わないと出てこない言葉って、たくさんあると思うんです。今の時代、なかなか素直に言葉にできないことも多いじゃないですか。でも、正木くんは真っ直ぐ気持ちをそのまま伝えられる。そこがとても魅力的な役だなと感じました。

