フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)が、1995年10月の番組スタートから30周年を迎えた。これを記念して、話題を集めた作品と「その後」の物語を、5週連続で放送している。

2日に放送される第5弾は、全身に転移したがんに苦しむ中、日本では許されていない安楽死をスイスで選んだ母と、その決断を見つめた家族の“その後”を追った「私のママが決めたこと~あれから2年 母を思う旅~」。放送直後から大きな反響を呼んだ前作「私のママが決めたこと~命と向き合った家族の記録~」(2024年)に続き、再びナレーションを務めたのが清原果耶だ。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した清原果耶

    『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した清原果耶

亡き母の最期の地を訪ねる旅へ

「私のママが決めたこと~命と向き合った家族の記録~」は、TVerの見逃し配信が73万回再生(8日間)をマーク。これはドキュメンタリーとして異例の数字で、19年11月から番組が配信されているTVerの「報道・ドキュメンタリー」ジャンルで歴代最高記録となった。最終的には84万回再生に達し、ニューヨークフェスティバルで金賞を受賞するなど、国内外で高く評価された。

夫と2人の娘と暮らしていたマユミさん(当時44)は3年前、子宮頸がんが見つかった。抗がん剤治療などを尽くしてきたものの、がんは再発を繰り返し、脳など全身に転移。耐えがたい苦痛の中で、彼女は日本では合法化されていない“安楽死”をスイスで実行するという選択肢を考えた。スイスでは“安楽死”は合法で、外国人にも許されている。苦しんできた母の決断に対し、家族は戸惑いながらも受け入れた。

今回の放送では、最愛の母が最期を迎えたスイスへ2人の娘が旅に出る。母が訪れた場所、行きたかったライン川沿いのカフェ、そして雄大な自然の中で夫と娘たちが今、思うこととは…。

「あのご家族はどうなったんだろう…」と気にかけていた

清原は、母を見送った家族の“その後”に再び声で寄り添った。

「以前、この物語に参加させていただいてから、『あのご家族はどうなったんだろう…』と、頭の片隅でずっと考えていました。今回“その後”を見せていただけるのはありがたいな、という気持ちが湧きました」

ナレーションでは、作品の核心にある“声をどう届けるか”という問いに、改めて向き合ったという。

前回の放送時には、清原の周囲においても、番組に対する大きな反響があった。

「多くの方々から、『ザ・ノンフィクションを見ました』といったお声をかけていただき、思い思いの感想を伝えてくださいました。誰かの気持ちや意思を届けることに触れる機会は多いのですが、番組のナレーションを務めさせていただいたことで、そういったことに少しでも関われたのかなと思って、うれしかったです」

30周年を迎えた『ザ・ノンフィクション』について、清原は番組の存在そのものに敬意を込める。

「番組ディレクターの方が、何かしら強く興味を惹かれる対象を見つけて、それを追い、理解を深めようとする。そういった命の燃やし方が、すごく素敵ですよね。何事に対しても、“知ろうとすることをやめたら終わりだ”、と思っている私にとって、『ザ・ノンフィクション』は、何かを知ろうと探究し続けることの大変さと、その大切さを、改めて思い知らせてくれるような存在です。自分の世界を広げることはそんなに簡単ではないですし、世界は一歩踏み出してみないと分からないことばかり。だからこそ、番組を通じてそうした機会を作ってくださる方々に対して、尊敬の念しかありません。陰ながら応援しています」

  • (C)フジテレビ

●清原果耶
2002年1月30日生まれ。大阪府出身。「アミューズオーディションフェス2014」でグランプリを獲得し、NHK連続テレビ小説『あさが来た』(15)で俳優デビュー。NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』(21)ではヒロインを演じた。映画『護られなかった者たちへ』(21)で第45回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、2023年に初舞台『ジャンヌ・ダルク』で第31回読売演劇大賞優秀女優賞・杉村春子賞を受賞した。