連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の脚本を手掛けているふじきみつ彦氏にインタビュー。朝ドラという長丁場への挑戦や作品に込めた思い、子育てと執筆の両立などについて話を聞いた。
父親になって変えた生活サイクル「子供といる時間は仕事はしないと割り切って」
『ばけばけ』は15分×125回という長丁場で、ふじき氏のキャリアにおいて最長となるが、朝ドラへの挑戦をどのように感じているのだろうか。
「今まで書いた最大が15分×32回の夜ドラ(『褒めるひと褒められるひと』で、そのときも長いなと思ったくらい、あまり過去に1時間×12回みたいなドラマを書いたことがなく、連ドラが向き不向きかわからないぐらいの状態だったので、これは大変になるだろうなと思いつつ、引き受けたからには頑張ろうと。長さはそんなに感じてないですが、先を見通して書けないタイプなので、先々までの筋道をつけることに苦労しています」
現在、子育てをしながら執筆に取り組んでいるそうで、超朝型の生活リズムでうまく両立させているという。
「4時ぐらいに起きて6時ぐらいまで書いて、子供が起きてから8時過ぎに保育園に預けに行くまではお父さんをやっている時間になり、9時~17時半ぐらいまで書いたら保育園にお迎えに行って、またお父さんの時間になって、21時半ぐらいに子供と一緒に寝て、また4時に起きて。間に合わないときは2時とかに起きますが、基本的にそのペースを守ってやっています」
そして、子供が生まれてから今の生活サイクルに変えたと明かす。
「前は時間がたくさんあったので、そんなに朝早く起きる必要もないし、夜中何時まで書いていても大丈夫で、土日もフルで使えていました。子供が生まれて最初の頃は、5分でも隙間を見つけて書こうという感じでしたが、これは割り切らないと書けないと思い、今の生活サイクルに。子供といる時間は仕事はしないと割り切って、子供が寝ている時間と保育園に預けている時間しか書かないと決めたら、その時間に集中するようになって、割と楽に仕事に向かえるようになりました」
このサイクルに落ち着くまでには葛藤もあったという。
「書くことがすごく好きで、書く時間があればあるほどうれしいタイプなので。子供が生まれて最初の半年間は苦しくて、なんでこんなに書く時間が取れないんだろうと思いましたが、自分が変えるしかないので結果的には変わりました。仕事の分量は変わってないのに、仕事をする時間は半分ぐらいになってしまっていますが、やればできるもんだなと思っています」
小泉八雲の功績ではなく夫婦の日常生活に焦点を 平和への願いも込めて
113作目の朝ドラとなる『ばけばけ』は、松江の没落士族の娘・小泉セツと、夫のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、怪談を愛する夫婦の何気ない日常を描く物語。小泉セツがモデルのヒロイン・松野トキを高石あかり(高ははしごだか)、小泉八雲がモデルのレフカダ・ヘブンをトミー・バストウが演じている。
小泉八雲は怪談で知られる作家だが、『ばけばけ』ではその功績に焦点を当てるのではなく、夫婦の日常を描いていく。
「作家としての小泉八雲さんとその妻という、偉人のお二人を描く方法もあったと思いますが、『ばけばけ』に関しては、2人の日常生活にスポットライトを当て、そちらを描きたいと思って書いています。なので、小泉八雲ということは怪談のことがたくさん出てくるのではないかと思われると思いますが、実際はそんなに出てこなくて。第5週から小泉八雲さんをモデルにしたヘブンが登場しますが、そんなに怪談が出てこないなと皆さん思うかもしれません」
今年は戦後80年という節目の年。『ばけばけ』で戦争について直接的に描くことはないが、ドラマには平和への願いも込められているという。
「ヘブンとトキが出会って一緒になっていくまでをじっくり書いていいます。ここから先は貧しいけど平和な家族の日常がずっと続いていきますが、ヘブンは全く知らない土地である日本に初めて来て怖かったと思いますし、トキも初めての“異人”で怖かったと思います。第5週ではヘブンを見て『天狗だ!』と言うくらいですが、心を開いてお互い歩み寄っていく姿勢を描くことで、地球は一つというか、いろんな価値観があるけど歩み寄れたらいいなというところが描けたらいいなと思っています」
さらに、「朝8時から『ばけばけ』が始まりますが、その前に戦争の話などニュースが流れたあとですから、(平和について)直接的にメッセージを送っているわけではないですが、そういう風に見てもらう方がいてもいいのかなと思っています」と語った。
27日から第5週が始まり、ついにトキとヘブンの物語が始まる。
ふじき氏は「ヘブンが松江に来るので、松江のいろんなところが出てきますし、雰囲気がガラッと変わります。ヘブンがいろいろ引っ掻き回したりもするので、そこをぜひ見ていただけたらと思います。ヘブンが出てくることで、ほかの新しいキャストも登場しますので、いろいろ楽しみにしていただけたらと思います」と今後の見どころをアピールしていた。
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