連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の脚本を手掛けているふじきみつ彦氏にインタビュー。17~18年来の盟友であり、本作で高石あかり(高ははしごだか)演じる主人公・トキの父・松野司之介役を務めている岡部たかしについて話を聞いた。
113作目の朝ドラとなる『ばけばけ』は、松江の没落士族の娘・小泉セツと、夫のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、怪談を愛する夫婦の何気ない日常を描く物語。小泉セツがモデルのヒロイン・松野トキを高石あかり、小泉八雲がモデルのレフカダ・ヘブンをトミー・バストウが演じている。
岡部たかしの存在の大きさ「松野家の雰囲気も、僕の筆の進みも変わっただろうなと」
ふじき氏は、長年の演劇仲間である岡部と朝ドラで作品を共にできる喜びを語る。
「これが岡部の最初の朝ドラだったらもっと自分的には盛り上がったのかもしれないです。その前に印象的な『虎に翼』や『ブギウギ』に出て、『情熱大陸』などにも出て、1回売れ終わったくらいのタイミングなので、感慨はそこまでないですけど、ずっと一緒に演劇をやってきましたし、めちゃくちゃうれしいです」
そして、岡部が主要キャストとしていてくれることで、「めちゃくちゃ助かっています」と感謝する。
「(ヒロインの父を演じた)『虎に翼』があったので、最初は出ないだろうなと思っていたのですが、スタッフの方たちから『岡部さんどうですか? トキの家族に僕のことを知っている人がいたほうが書きやすくないですか?』とお話があって、出てもらうことになりました。いるといないとでは、だいぶ松野家の雰囲気も変わったでしょうし、僕の筆の進みもだいぶ変わっただろうなと思っていて、完全に当て書きができますし、そこが一番助かっています」
岡部が演じている司之介は、松野家が多額の借金を抱える原因を作ってしまうなど、困った人だが、愛する家族のために不器用ながら奮闘する憎めない人物。
「第1週で頑張っていたけど、あれだけ家に迷惑をかけてしまった人なので、弱腰になってしまうのもありかなと思いつつ、無神経なところもあって、困った人だなと思います」
司之介も勘右衛門も自分の生き方を貫き、自分では悪いと思っていない
ふじき氏は、司之介のように「いい人で悪気はないけど、すごく失礼な人」を自身が描く演劇に必ず登場させ、その役割をいつも岡部に託しているという。
「無自覚にちょっと失礼なことを言ったりやったりして周りを困らせる。でも本人は全然悪いと思っていなくて、それがちょっとした悲劇や喜劇を生み、見ている人が笑ってしまうというのを書くのが僕は好きで、だいたい失礼なことをするのは彼なんです」
岡部のみならず、勘右衛門役の小日向文世なども、現代の価値観からすると疑問を感じてしまうような生き方を見事に表現してくれていると語る。
「司之介も勘右衛門も、自分の生き方を貫いていて、自分では悪いと思っていない。ほかの人もみんなそれぞれの生き方があって、変えられないところがあり、現代の人からすると、それはないんじゃないという風に見えてしまう。だけど本人たちは真面目に生きているというところを演じてくれているなと思います」
そして、「『ばけばけ』は、今まで生きてきた生き方をなかなか変えられないけど、ちょっとずつ変わっていくというお話でもあります」と語っていた。
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