近くにいる友だちと写真やファイルをやり取りするとき、スマートフォンがiPhone同士なら「AirDrop」、Android同士なら「Quick Share(旧Nearby Share)」を使うものですが、iPhoneとAndroidなど異種間の場合はそうもいきません。かといってBluetoothは通信速度が遅く、メールやSNSなどインターネットを経由する方法は効率が悪いという問題があります。
Wi-Fi Aware(ワイファイ・アウェア)は、そのような場面での利用が想定された「付近のデバイスと直接つながる近距離ワイヤレス通信規格」です。通信にはWi-Fi網を使用しますが、SSIDやパスワードといった情報は不要、近くのWi-Fi Aware対応端末を自動検出してくれます。2台の端末が直接つながるP2P接続のため、ルータなどの機器は必要ありません。通信速度は数百Mbps程度とBluetoothより圧倒的に高速、ビデオなどの大容量ファイルも余裕で扱えます。
規格は2015年にWi-Fiアライアンス(無線LAN関連規格を決める業界団体)により「NAN(Neighbor Awareness Networking)」として制定され、Android端末ではAndroid 8.0からサポートされていますが、iPhoneでサポートされないこともあり普及していませんでした。しかし、EUは2023年5月にデジタル市場法を制定、AirDropに用いられている独自の通信規格(AWDL、Apple Wireless Direct Link)が排他的だとして、Appleに代替策を要求しました。
AppleはEUの要求を受け入れる形で、2025年秋に公開のiOS 26からWi-Fi Awareをサポートしました。AWDL/AirDropを置き換える形で実装されたのではなく、フレームワークの提供にとどめているため、Wi-Fi Awareに対応するよう開発されたアプリ限定ではあるものの、OSの違いを気にせず付近の端末と直接ワイヤレスでファイルをやり取りする時代が近づいています。
