「将来の“なりたい自分”がまだわからない」という悩みを抱えるみなさんに、いろいろな企業で活躍する先輩たちの姿を通してロールモデルを見つけてもらう企画「#先輩ロールモデル」。

今回は、マーケティングやブランディング、事業開発など幅広い領域で企業の成長を支援する【電通】で働く先輩社会人にインタビュー。

学生時代は医療系学部で学び、最終的に電通に就職をした先輩にお話を伺いました。

プロフィール:大野 里菜さん

・データを活用し、主に新聞やテレビなどの広告・メディアの価値を定量的に可視化する取り組みに携わる。

・学生時代は、医療系学部で大学院進学と就職で悩んだ末、「一度社会に出たい」という想いから本格的に就活を始めた。

INDEX

学窓会員限定!エントリーシートで工夫した点大公開! 具体的なお仕事内容 入社直後~経験してきたこと 部署異動によるギャップにどのように対応していったか どのような学生時代を過ごしてきたか 大学生へのメッセージ
社会人編

――自己紹介をお願いします。

株式会社電通の大野里菜と申します。現在入社5年目で、入社から4年間は新聞局という新聞メディアに関わる仕事をしており、今年の1月からはメディア・コンテンツビジネスの変革に取り組むMCトランスフォーメーション局に所属しております。 

――現在の仕事内容について、詳しく教えてください。

MCトランスフォーメーション局の中の、メディア・コンテンツ・データ開発部という部署に所属しています。私たちの部では、さまざまなメディアのデータを活用した業務を行っていますが、その中でも私は主に新聞とテレビのメディアデータを活用し、広告やメディア価値の可視化手法の開発、またその利用推進などを行っています。メディア価値の可視化にはさまざまなアプローチがありますが、その中で2つのアプローチ方法について紹介します。1つは、各媒体の強みや効果を横断的に比較する方法、もう1つは、特定のメディア、例えば「新聞」という媒体の価値をより深く掘り下げていく方法です。

前者のアプローチではできる限り同一条件で比較できるようにアンケートデータを活用することが多いです。後者については媒体によって異なりますが、アンケート調査だけでなく、メディアの接触データやログデータを掛け合わせた分析なども行っています。


――現在の業務において、苦労する部分を教えていただけますか。

効果検証にはさまざまな手法が存在するため、万能な1つの手法というものはありません。 例えばアンケート調査はその都度モニターに質問できるので、さまざまな要件に柔軟に対応できますが、毎回費用が発生するという側面があります。また「回答者が本当に真剣に答えているのか」という正確性の問題もあります。

一方、ログデータの分析は実際の購買データなどを用いるため、信頼性は高いです。しかし、その購買が「本当に広告の効果によるものなのか」を証明しづらいという難しさがあります。このように、クライアントのニーズに応じて手法を柔軟に使い分ける必要がある点は苦労するところです。

――では、反対に楽しく感じる部分はどんなところでしょうか。

私自身そもそもデータを見ることが好きだという点が大きいです。電通には個別のアンケートデータはもちろん、さまざまな業界のデータや電通が独自に収集している調査データなどがあります。そうした多様なデータを活用することで、1つのキャンペーンの効果測定をする際にも認知度や起用するタレントの人気度などの背景情報まで掘り下げて分析を進めることができます。そのような方法で解像度を上げながら効果を検証していく過程は、非常に楽しく感じています。

――次に、入社後の経歴を教えてください。

入社後、電通は総合職採用なので、約2ヶ月の新入社員研修を経て、新聞局への配属が決まりました。想定していなかった配属先だったので、ワクワク感がありつつも、驚きと不安も抱えた気持ちで社会人生活をスタートさせました。

しかし実際に新聞局での業務を始めると、コロナ禍で直接会う機会は少なくてもオンラインでのコミュニケーションは活発でしたし、新聞局の仕事も非常に楽しく、自分にできることが増えるにつれてモチベーションも上がっていきました。2年目や3年目には、新入社員のトレーナーとして彼らの成長を実感しながら業務に取り組む機会もありました。 新聞局でさまざまな業務を経験し、組織体制の変更などを経て今年の1月から新しい部署で仕事をしています。今も変わらず高いモチベーションで取り組んでいる状況です。

――トレーナーとしての経験はご自身の成長にどう影響しましたか。

大きく2つの影響がありました。

1つは、視野が広がったことです。自分のことで精一杯だった1年目から、後輩の成長も考える立場になったことで物事をより広く見られるようになりました。

もう1つは、相乗効果が生まれたことです。私自身もまだ経験が浅い中で、1年目の社員が持つ今だからこその新しい知識やフレッシュな意見を聞きながら一緒に仕事を進めることで、お互いに高め合うことができたと感じています。

――部署が変わると文化の違いなどもあったかと思います。どのように適応していきましたか。

私は「広告が大好きで、広告の仕事がしたい」というよりは「広告も手段の一つとして、より広くマーケティングや課題解決に関わりたい」という気持ちで入社しました。そのため、部署が変わることで社外の方と関わる機会が増えたり、覚えることが増えたりしたことに、マイナスな印象はなく、新鮮な気持ちで楽しく仕事ができていました。

――部署を異動した際に、新しい職場で自分らしさを発揮するために心がけたことはありますか。

「フレッシュさ」と「新聞のプロフェッショナルであるという意識」を心がけていました。異動先の部署は年齢層が高めの方も多かったので、若手としての元気の良さや新鮮な視点を自分らしさとして大切にしつつ、これまでの経験から「新聞の知識では誰にも負けない」という思いを持って取り組んでいました。


学生時代編

――どのような学生時代を過ごしてきましたか。

まず大学1年生の頃は、新生活へのワクワク感もあり、勉学に励みながら、将来への期待を抱いて過ごしていました。この頃はまだ就職活動のことは考えていませんでした。 その後、2年生から3年生にかけては医療系の学部に所属していたため、専門の授業や実習が多くなり、日々の勉強と部活動に追われていました。余裕がない中でしたが、説明会やインターンシップに参加し、大学院に進学するか、就職するかなど進路について考え始めました。そして4年生になる前頃から本格的に就職活動に取り組みました。私は理系だったこともあり周りがそこまで就活モードではなかったので、かなり遅いスタートだったと思います。ただ、コロナ禍でできた時間を活用して就職活動を進め、現在の会社に入社したという流れです。

――大学4年生のときに大学院進学と就職で迷い、最終的に社会人として働くことを選んだ理由は何だったのでしょうか。

私の場合は「早く自立したい」という思いが一番強かったからです。同じ学部の9割くらいは大学院に進学していたのですが、私は大学院で研究したいことが明確にあったわけでもなかったので一度社会に出て働きながらその後のことを決めていきたいと考え、就職を選びました。

――周囲の多くが大学院に進む中で、ご自身は就職を選ばれたことに不安はありませんでしたか。

もし私が同じ医療系の業界で就職しようとしていたら、大学院まで進まなければ厳しい部分もあり、不安を感じたかもしれません。ですが、社会に出ると決めた時に、特に医療系に縛られずにキャリアを考えようと決めていました。その点では、他の文系の学生と同じように4年で就職することに、特に不安はありませんでした。

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――次に、エントリーシート(ES)について教えてください。

自己PRでは、自分が考える強みだけでなく周りの人に聞いた上で共通して挙げられる強みを書くようにしていました。また、内容に一貫性を持たせるためガクチカのエピソードと関連づけるように意識していました。

――ガクチカとの関連性を意識したとのことですが、具体的にどのようなエピソードを自己PRと結びつけましたか。

ガクチカや自己PRを書く際は、まず「自己PRで何を一番伝えたいか」を先に決めるようにしていました。私の場合、家族や友人に協力してもらい、人の立場や意見を気にかけてしまう自分の性格に気づき、「調整力」を強みとして自己PRで伝えようと考えました。そこで、ガクチカでは部活動でマネージャーとして多くの関係者との調整業務に力を入れたエピソードを伝えていました。


――続いて、志望動機について教えてください。

志望動機では自分視点の理由を一方的に伝えるのではなく、自分の就活の軸とその会社でできること・求めている人材像を照らし合わせ、両者が合致していることを示すようにしていました。

――その2つが合致していると判断した、具体的なポイントは何だったのでしょうか。

電通を受けた時の話をしますと、私は就活の軸として、「1つの型にはまらず、柔軟に幅広い仕事をすること」としていたのですが、電通はクリエイティブ力が突出した人などの特定のタイプの人を求めているのではなく、多様な人材を求めている印象がありました。ですので「幅広く仕事がしたい」という私の思いと合致していると伝えていました。入社後の今もそこにギャップはありません。

――反対に、合致していないと感じた部分はありましたか。 

これは当初私が抱いていたイメージですが、会社として「クリエイティブ力」を求めているだろうと考えていました。その点について、私自身は例えば絵が上手いとか想像力が特別豊かというわけではなかったので不安に感じていました。

しかし、実際に入社して分かったのは、ここで言う「クリエイティブ力」とは優れたコピーを考えたり絵を描いたりする能力だけを指すのではない、ということです。仕事上の課題解決に向けて考え抜く力や新しい価値を創造する力など、そういった幅広い能力全てが「クリエイティブ力」という言葉で表現されていました。ですから、就職活動の時点で自分が考えている言葉の意味に囚われすぎず、挑戦してみることが大切なのではないかと今では思っています。

――長所と短所について教えてください。

長所はガクチカや自己PRと一貫性のある内容を心がけました。短所については、ただ伝えるだけでなく、その短所を自覚し、対策をしている場合はそれも併せて伝えるようにしていました。

特に、短所については、私は仕事とプライベートで短所が異なると考えていますが、根本的な短所として「優柔不断」な点があります。とはいえ仕事で優柔不断すぎると業務が進まないので、対策を立てていました。例えば、メリット・デメリットを整理した上で「このタイミングまでには必ず決める」と期限を設けたり、ある程度で区切りをつけたりといったことです。このように本来の短所に対して、仕事の面ではきちんとカバーしているということをもし面接で質問されたら伝えるように心がけていました。

――最後に大学生へメッセージをお願いします。

電通は部署によって仕事内容、組織風土、求められる知識が非常に多様です。また、私自身の就職活動も至らない点が多かったと感じています。ですので、今日の内容はあくまで1つの意見として捉えていただき、皆さんのこれからの進路選択や就職活動の少しでも参考になる点があれば嬉しく思います。いろいろと悩むことも多い時期だと思いますが、ときにはリフレッシュしつつ就職活動を頑張ってください。


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取材:渡部(ガクラボメンバー 
文:田中 妃音(ガクラボメンバー)
編集:学生の窓口編集部
取材協力:電通

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