フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)が、1995年10月の番組スタートから30周年を迎えた。これを記念して、話題を 集めた作品と「その後」の物語を、5週連続で放送している。
12日に放送される第2弾は、山奥で自給自足の暮らしを目指す父と6人の子どもたちを追った「われら百姓家族」(2000年~)。番組歴代最長の20年にわたる長期取材を行い、今回「その後」の取材でこの家族と8年ぶりに再会した込山正徳ディレクターが、その生活を目の当たりにしての印象や、現在の子どもたちから感じることなどを語った――。
ニワトリの首をはね、イノシシやシカを自分たちで解体
この家族を取材することになったきっかけは、込山Dが図書館でふと手にした一冊の本。それが、大森昌也さんの書いた『六人の子どもと山村に生きる』だった。
当時、テレビディレクターの仕事に一区切りがつき、「人間が生きていく中でお金だけでいいのだろうか…」と考えていた上、子育ての真っ最中だったこともあり、「山で子育てしながら暮らしてる人がいるのか…」と興味を持って現地を訪れた。
実際にその自給自足生活を目の当たりにすると、「本を読んで想像していた以上に、自分たちで何でもやっていたんです。野菜や米を作るのは当然のこと、ニワトリの首をはねて食料にして、イノシシやシカも自分たちで解体していましたから」という衝撃の光景が。
その中で気づいたのが、「思春期になり町に行っていろんな情報に触れるようになると、この生活が嫌だと思う子どもが出てくるようになっていたんです」と、複雑な思いを抱えた姿。ここから、「単に自然の中で自給自足の生活を送る家族を追うだけではなく、人間の成長物語にもなって深いドキュメンタリーになる」と予感して撮影がスタートした。
研修に来た若い女性たちと恋に落ちる
2000年に放送された第1回は、四季を追って1年間密着して番組にすると大きな反響に。そこから、BSも含めて計7回放送され、番組歴代最長20年の長期取材シリーズとなった。
動物を食料にする、いわゆる“命をいただく”場面は、シリーズの中でも印象的なシーンだが、それ以上に込山Dが興味深かったというのは、若者たちの交流。この自給自足生活に泊まり込みの研修で来た若い女性が大森家の男子たちに興味を持ち、交際に発展し、実際に長男と次男はそのまま結婚に至った。
こうして恋をして、家族が増えていくなど人生を歩む姿、さらには都会への憧れ、父親が男手一つで子どもたちを育てていく境遇、離れていった母への葛藤などは、あの『北の国から』(フジテレビ)とも重なる。
そんな名ドラマと同様に人気シリーズになったのは、「6人のきょうだい、それぞれの成長をそれぞれの年代で見ることができたというのが、視聴者の皆さんにとっても興味深かったのではないでしょうか。その様子をカメラを入れても嫌がらずに撮影させてくれたことが、長く続いた理由だと思います」と分析。
ちなみに、「われら百姓家族」の完結編(2017年)と、『北の国から』の最終回(2002年)のサブタイトルは共に「遺言」だが、「多少意識したかもしれないですね(笑)」とのことだ。
