フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)が、1995年10月の番組スタートから30周年を迎えた。これを記念して、話題を集めた作品と「その後」の物語を、5週連続で放送する。

12日に放送される第2弾は、デジタル化が進む社会に背を向けるように自給自足の暮らしを目指した父子を、番組史上最長の20年にわたり追い続けた「われら百姓家族」(2000年~放送)。ナビゲーターとして見つめた宮崎あおいは、登場人物とディレクターが長年かけて築いた信頼関係を感じ、「その方にしか撮れない、あの方たちの顔がありますよね」と語る――。

(注)…宮崎の「崎」は正しくは「立つ崎」

  • 『ザ・ノンフィクション』30周年特別企画のナビゲーターを務める宮崎あおい

    『ザ・ノンフィクション』30周年特別企画のナビゲーターを務める宮崎あおい

自分たちで育てた豚や鶏の命に手をかける

登場するのは、兵庫県の山村で暮らす大森昌也さんと、長男・ケンタ、次男・げん、三男・ユキト、長女・ちえ、双子のれいとあいという6人の子どもたち。一家は都会を離れて山奥に移住した。

畑を耕し、米を育て、川の水で水力発電を起こす。豚や鶏も自ら育て、時に子どもたちがその命に手をかける。農作業や家事で学校に行けない日も多く、「勉強より労働」という父の信念に反発しながらも、命の重みと働く意味を体で学んでいた。

しかし、父への反発や都会への憧れが生まれ、やがて子どもたちはそれぞれの人生を選び始める。寡黙な長男・ケンタは恋に落ち結婚。畑好きの次男・げんは山に残り家庭を築く。都会に憧れた三男・ユキトは役者を目指し上京。双子の姉妹は学歴の壁や都会の冷たさに涙しながらも夢に向かって歩み出していった。

そんな中、父・昌也さんが病に倒れ、再び子どもたちが父の元に集まる。20年前に別れた妻も見舞いに現れ…。

  • 「われら百姓家族」の大森家

    「われら百姓家族」の大森家

  • ヤギを飼う子どもたち

    ヤギを飼う子どもたち

  • (C)フジテレビ

現在の子どもたちに感じる親の影響

この家族たちの姿に、「お父さんもそうですし、みんなが若々しく見えます」と印象を語る宮崎。そして、「その後」の物語での子どもたちの姿を見て、「育った環境はやはり大きいですよね。親の考えに影響を受けていると思いました」と印象を抱いた。

前週に放送された「借金地獄物語」では、風俗店で働く女性が「体張って嫌な思いして稼いだ150万円のほうが、宝くじで当たった1億5000万円より重い」と話す一方、「われら百姓家族」では、次男が「あんまりお金が欲しいと思わない。ここにいたらお金使わないから」と淡々と語る場面が。

この感覚のギャップの大きさに、『ザ・ノンフィクション』が追うテーマの幅広さをまざまざと感じながら、「個人的にあそこまで突き詰めた自給自足は大変だなと思うので、ほどほどがいいです(笑)。山で暮らして自分たちで作ったものを食べて、市販品も買ったりするようなバランスがいいなと思いました」と本音を吐露した。