アーティストとして活動する一方、今年に入り連続ドラマで主演を果たすなど、俳優としても精力的に活動する岩橋玄樹。そんな岩橋がスクリーンデビューを飾る映画『男神』が9月19日に公開を迎える。演じるのは、巨大建機を自在に操る無骨な職人・山下裕斗。これまでのパブリックイメージを鮮やかに覆すその役柄に、岩橋はどう向き合ったのか。俳優業への探求心、アドリブで挑んだ英語シーンの裏側、そして人生の「大勝負」として語った過去の出来事などを語った。
ミステリアスな物語が展開する中、土埃と汗にまみれたワイルドな姿でスクリーンに登場する岩橋。ノースリーブの作業着にヘルメット。その瞳には、確かな意志と男気が宿る。映画『男神』で岩橋玄樹が演じた山下裕斗は、重々しい作品のトーンに風穴を開ける、キーパーソンだ。映画初出演という新たな挑戦の場で、岩橋はかつてないキャラクターと出会った。
「お芝居は何回かやらせていただいていますが、映画は初めてでした。でも、ドラマと映画の違いをあまり意識せず、自分ができることをしっかりやって楽しもうと撮影に臨んだので、すごくいい経験になりました。最初にオファーをいただいた時は、英語を話すシーンがあるということは知らなかったんですが、台本を見たら英語のセリフがあったので、僕が普段、海外を行き来していることを汲み取って、海外っぽいキャラクターを少し入れてくれたのかなと感じました。初めての映画出演でしたが、色々と新しいチャレンジができ、とてもいい経験になりました」。
撮影は、巨大な穴がぽっかりと口を開ける、ミステリアスな雰囲気漂うロケ地で行われた。自然に囲まれた非日常的な空間が、より一層、作品の世界観へと没入させたという。
「ノースリーブにヘルメットっていう、結構いかついキャラクターだったので、やりがいがありました。今まであまり演じたことのない役が、自分にとってはすごく新鮮でした。ただ……毎回撮影に入るたびに泥だらけにならないといけなかったので、それが結構つらかったです。クランクインからずっと泥だらけで。撮影が終わって、その泥を落とすのが本当に大変でした(笑)」。
語学力を活かして英語セリフのアドリブにも対応
劇中、海外の大学教授と流暢な英語で議論を交わすシーンがある。それは、裕斗が単なる現場の職人ではなく、広い視野と知識を持つ人物であることを示す重要な場面だ。驚くべきことに、このシーンはアドリブが多用されたという。それは、岩橋の持つ語学力と表現力、そして共演者との化学反応が生んだ、奇跡の瞬間だった。
「教授と話すシーンは、もともと台本が1、2ページくらいあったんです。でも、段取りの段階で、現場で話し合って『ここは全部アドリブでいった方が気持ち的にもいいんじゃないか』という話になりました。セリフも全部覚えてきたのですが、『マジか!』って(笑)。結構ビビりましたけど、結果的にアドリブで自分の感情、思っていることを英語で表現できた。あのシーンは、映画の中で自分にとって一番大切なシーンですし、裕斗のキャラクター性があそこに詰め込まれているのかなと思います」。
アメリカでの生活経験を持つ岩橋だからこそ、可能になった大胆な演出。それは、日本の緻密に計算された撮影スタイルと、アメリカの現場で重視される瞬発力が融合した瞬間でもあった。
「アメリカの撮影は、すごくシンプルで、その場の『アート性』が重要視されているイメージ。でも日本は、しっかり計算されていて、ここを大切にしていこう、という思いがある。どちらの国の良いところも見てきているので、それを今後、自分が出る作品に活かせたらいいなと思います。英語のシーンも、まさに自分の映画に対する思いをアドリブで全部言ったという感じでした」。



