連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で主人公・のぶの夫・柳井嵩を演じた北村匠海にインタビュー。撮影を通して感じた自身の創作活動の原点や、やなせたかしさんからの影響などを聞いた。
『あんぱん』を通して感じた創作活動の原点「絵を好きでいてよかった」
112作目の朝ドラとなる『あんぱん』は、漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さん夫婦をモデルに、何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『アンパンマン』にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。小松暢さんがモデルのヒロイン・朝田(柳井)のぶ役を今田美桜、やなせたかしさんがモデルの柳井嵩を北村匠海が演じ、脚本は中園ミホ氏が手掛けた。
作品の中で嵩が絵を描くシーンがたびたび登場するが、北村は小学生時代に絵画教室に通うなど、絵に慣れ親しんできた経験が大いに役立ったと語る。
「心底、絵を好きでいてよかったなと思う瞬間がたくさんありました。何かを描くシーンは、先生の指導のもとやっていましたが、改めて絵がすごく好きになりましたし、絵を描くことは一度も苦じゃなく、楽しかったです」
撮影の合間にもよく絵を描いていたという。
「全員はできなかったですが、オールアップした方の似顔絵をずっと描いていたり、常に何か絵を描いていたような気がします。周りのキャストを巻き込んで絵しりとりをしたり、絵とは隣り合わせでした」
そして、『あんぱん』を通じて自身の創作活動の原点を思い返したそうで、「自分がなぜ創作することを好きだったのかというのは絵画教室から始まっている」と語る。
「絵画教室で絵を描き、家に帰れば粘土で遊んで架空のモンスターを作り、粘土に飽きたらブロックで何か作り、ずっと何かを作っていたなと思い返しました」
そして、創作に関して嵩とリンクする部分があったという。
「柳井嵩もずっと何かを描いていて、僕も歌詞を書いたり、何か作るということを子供の頃からずっとやってきたので、あの頃に培った、何か作ることを楽しむということは、柳井嵩にも流れていたなと思います」
「アンパンマンのマーチ」の歌詞を自問自答する日々
作品を通して『アンパンマン』の持つ普遍性の素晴らしさも改めて実感。「これほどの普遍性はもう二度と生まれないだろうなと思うぐらい素晴らしい」と称え、『あんぱん』も普遍的に届けなければいけないということで、『アンパンマン』の背景にある戦争もしっかり描きつつ、のぶと嵩の日常を届けることが大切だったのではないかと語る。
「僕ら2人が日々感じていたのは、『ご飯がおいしいね』という、すごく普通の毎日なんです。今このご時世で、この温かさを届けられただけでも、『あんぱん』という作品に意義があったのではないかなと。普通の毎日をどれだけ大事にできるかというのを、のぶと嵩は日々噛みしめていたような気がします」
また、寛(竹野内豊)のセリフとしても用いられた「なんのために生まれて なにをして生きるのか」という「アンパンマンのマーチ」の歌詞を自問自答する日々でもあったと明かす。
「これはエンタメ業界に課せられている言葉な気もします。作品一つ一つに対して、自分は何を残して、何を伝えたいのか、何のためにこの作品に僕が選ばれているのかという理由を自分の中でしっかり持ち続けないと、時間は過ぎていくし、世の中はどんどん変わっていく。一つ一つ、一日一日役者としてどう向き合うかというのを、常にその言葉で突きつけられていたような気がしていました」
DISH//のボーカル・ギターとして音楽活動も行い、作詞作曲も手掛けている北村。やなせさんが作詞した「アンパンマンのマーチ」は、制作過程で「命」にまつわる歌詞がたくさん盛り込まれていたが、子供向けではないと指摘され歌詞を変更したという経緯に触れ、「僕も『歌詞が暗すぎる』と言われることがけっこうあるんです」と明かす。
「ポジティブを描くためにはネガティブが必要で、必ず影の部分も表現したいとずっと思っているし、ずっと落とし込んできているつもりなんですけど、それを天国のやなせさんが肯定してくださっている感覚があって。おこがましいですが、やなせさんの言葉に僕自身も救われつつ、『大丈夫だよ』って言ってくださっているような気がして、そこはすごくリンクしていたなと思います」と語っていた。
1997年11月3日生まれ、東京都出身。2008年に映画デビュー。映画『君の膵臓をたべたい』(17)で注目を集める。近年の主な出演作は、映画『東京リベンジャーズ』シリーズ(21・23)、『明け方の若者たち』(21)、『スクロール』(23)、『法廷遊戯』(23)、『悪い夏』(25)、ドラマ『教場』(21、23)、『ナイト・ドクター』(21)、『名探偵ステイホームズ』(22)、『星降る夜に』(23)、『アンチヒーロー』(24)、Netflix『幽☆遊☆白書』(23)など。映画『愚か者の身分』が10月24日公開予定。
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