大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で富本豊前太夫の後見で実力派の太夫・富本斎宮太夫(とみもといつきだゆう)を演じる、歌手の新浜レオンにインタビュー。富本斎宮太夫役で大事にしたことや、“蔦重”こと蔦屋重三郎を演じている主演の横浜流星との共演エピソードなどについて話を聞いた。

  • 新浜レオン

    新浜レオン

江戸時代中期の吉原を舞台に、東洲斎写楽、喜多川歌麿らを世に送り出し、江戸のメディア王にまで成り上がった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く本作。脚本は、『おんな城主 直虎』(17)以来、8年ぶり2度目の大河ドラマとなる森下佳子氏が手掛けている。

新浜演じる富本斎宮太夫は、31日に放送の第33回「打壊演太女功徳(うちこわしえんためのくどく)」で登場。江戸浄瑠璃の流派のひとつ、富本節の全盛期を支えた人物で、江戸で米不足が深刻化し打ちこわしが相次ぐ中、蔦重とともに“ある策”を講じる。

今回が大河ドラマ初出演。子どものころから両親と大河ドラマを見ていたという新浜は、「最初は信じられなかったですね」とオファーを受けた時の心境を明かす。

「普段、歌手として活動していますが『いつかは大河ドラマへ』という大きな夢はあったんです。でも、まさか今年なんて想像していなかったので。全国ツアー中にスタッフさんと食事に行った時に『大河(出演)の話があるんだけど』って言われて、それはそれは驚いて(笑)。もう、スケジュールだけはとにかくハマるようにと。奇跡的に全てがハマって出演できたので、本当にうれしい気持ちでいっぱいでした」

富本斎宮太夫を演じるうえで、準備したことは“所作”だったという。

「僕は演歌、歌謡の世界でデビューしましたが、あまり着物を着ることがなかったんです。だから着物を着て歩くとか、かっこいい立ち方とか、扇子の使い方とか、そういう一つ一つのマナーから勉強しました」

富本斎宮太夫は、歌(語り)の力で“ある事件”を落ち着かせるという役どころ。「歌手の自分とはリンクする部分もありますが、今の歌い方とは違うため、歌い方はこぶしを抜くとかビブラートを抜くとか、そういうところはかなり苦戦しながら、先生に教えてもらいながら準備しました」と語る。

「たとえば『か』の発音とか、そういったところを本当に細かく指導してもらって……。当時の正確な言い方は難しいんですけど、当時により近づけるような形の語りにする、というところは、最後の最後まで意識しましたね」

歌の力、語りの力で人の心を動かす富本斎宮太夫を演じ、改めて感じたこともあった。

「いつの時代も芸事ってこんなに人を動かすんだな、と。それが一番うれしかったですね。津波などの自然災害や政治のことなど、生きていたらいろいろなつらいニュースがいっぱいあるけど、自分が歌っているこの瞬間だけは、癒し、何よりのエールにしたいという気持ちは、今回当時のことを勉強しながら、より強く思えました。改めて、素晴らしい職業をやらせてもらっているんだなと実感する時間になりましたね」