――長くスポーツ実況を中心に活躍されてきましたが、今年4月から山形の系列局・さくらんぼテレビで『Newsイット! やまがた』のキャスターを週3日担当されていますね。

山形には妻が米沢出身というご縁しかないのですが(笑)、行って良かったです。報道部の記者、アナウンサーチームはみんなマルチロール(※複数の役割を担当)で、独自ネタも取ってくる。県内で一番新しく、人員の規模も小さい局なのに、『Newsイット! やまがた』の視聴率は、県内横並びでも老舗の局に次ぐ勢いで、かなり頑張っているんですよ。このチームの中に入って、ポテンシャルを実感しました。むしろこちらが刺激を受けていますね。それと、全国ネットで東京から送られてくる映像を通じて、フジテレビアナウンス部の後輩たちの仕事ぶりを見ると、また発見があります。

――東京のテレビ局では見えないことがあるんですね。

東京から全国ニュースばかりを手がけていると感じられない視点がたくさんあります。さくらんぼの収穫やお米の話題など、自分が担当しているローカルニュースが県内の人にとっていかに大切な情報なのかということを、しみじみ感じています。定年間際でこんなご縁をいただけるとは、うれしいですね。

子どもの養育費のため…「俺に老後はない」

――そして8月末で、37年勤めたフジテレビを退職されます。60歳以降も在籍する契約の選択肢もあったかと思いますが、なぜ退職を決められたのでしょうか。

新しいチャレンジをするなら60歳で始めたほうがいいかなと。体力的な面も含め、総合的に判断しました。おかげさまで今担当している週3日の『Newsイット! やまがた』と、日曜日の『BSスーパーKEIBA』(BSフジ)、『今夜はナゾトレ』のナレーションは、全て継続でやらせていただけることになったので、本当にありがたいです。

――そこにプラスして、新たなチャレンジということですね。

特に何も決まってはいないのですが、ここ数年は若手に経験値を積んでもらうためにサッカー中継の登板機会が減っていたので、事情やタイミングさえあれば、地上波とは言わないまでも、BS、CS、FODも含め古巣でも、もしお話があればフジテレビ以外でも、お役に立てればと思っています。

――それこそ、ラジオというチャンスもありますよね。

ラジオのオファーは全力募集中です(笑)。まだ何も決まっていないので、不安なことは不安なのですが、新しいチャレンジができるということをプラスに捉えて、次のステップに進んでいきたいと思いますね。

――この決断について、ご家族はどのような反応でしたか?

そんなに難しい話はせずに「父ちゃん頑張って!」という感じですね(笑)。子どもが今中学3年と1年で、これから養育費がかかる年頃なので、それもモチベーションになります。今の奥さんと結婚して、そして子どもを授かった時点で、「俺に老後はない」「最低でも70歳までは働かないと」と腹に決めましたから(笑)

――フジテレビは一連の事案から改革が進み、アナウンサーが所属する組織も「アナウンス室」から「アナウンス局」に改組されました。変革の時を迎えている後輩の皆さんに伝えたいことは何でしょうか?

管理業務により軸足を置いたプレイングマネージャーの立場も長く経験し、いろいろなアナウンサーの涙も、喜びも見てきました。時には彼らの意に沿わない厳しいことを言わなければならない時もありましたし、出来のいいマネージャーではなかったと思います。それに60を過ぎているのに何も成長がない私ですから、本当に大したことは言えないですが、見てくださる視聴者の方、取材対象や自分が実況するアスリート、サラブレッド、その背後にいるいろいろな方たちへのリスペクトを忘れずに、ということですね。その気持ちを持って今を一生懸命やってくれるのがいいと思います。

細かいことは今までも言ってきましたし、離れる人間があんまりごちゃごちゃ言うのもアレですから、まあこんなところですね(笑)

●青嶋達也
1965年生まれ、静岡県出身。早稲田大学卒業後、88年にフジテレビジョン入社。競馬やサッカーをはじめとするスポーツ中継の実況のほか、『笑っていいとも!』『FNN NEWSCOM』『セリエAダイジェスト』『THE WEEK』などを担当。8月末で同局を定年退職し、以降も『今夜はナゾトレ』のナレーション(フジテレビ系)、『BSスーパーKEIBA』(BSフジ)、『Newsイット! やまがた』(さくらんぼテレビ)を担当する。